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2010年10月26日(火)

新たな層に向けた作品を! 『ぽかぽかアイルー村』ができるまでを開発者が語る

文:電撃オンライン

 カプコンから8月26日に発売されたPSP用ソフト『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村(以下、ぽかぽかアイルー村)』の開発スタッフにインタビューを行った。

『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』

 『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』は、1匹のアイルーとなって、アイルーたちが作り上げる村での生活を楽しむゲーム。畑で野菜を収穫したり、クエストに行ってアイテムを入手したりと、さまざまなことをこなすことで、個性的な未知なる能力を持ったアイルーが集まってくる。アイルーたちをたくさん呼んで、村をにぎやかにすることが目的のゲームだ。

 今回、本作のプロデューサー・北林達也さんと、『モンスターハンター』シリーズのアシスタントプロデューサーの小嶋慎太郎さんにインタビューを行った。開発経緯からさまざまなコラボレーションまで、『ぽかぽかアイルー村』がヒットに至ったさまざまな要素について聞いているので、ぜひご覧いただきたい。(インタビュー中は敬称略)

『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』
▲小嶋さん(写真左)は『モンスターハンター 1mぬいぐるみ アイルー』を、北林さん(写真右)はアイルーとハローキティとのコラボぬいぐるみを手にニッコリ。なお、サンリオくじは終了している。

■リアルなアイルーが画面に並ぶ!? 開発経緯を激白

――まず最初に、北林さんがこれまでに関わったタイトルについて教えていただけますか?

北林:『モンスターハンター』にかかわることになったのは、2009年4月に発売されたWii『モンスターハンターG』が最初です。それ以前になると、『ロックマンX』シリーズとか、PSPでリリースされた『イレギュラーハンターX』や『ロックマンロックマン』など、『ロックマン』タイトルを多く手がけてきましたね。もともとプログラマーだったので、その当時は『ブレス オブ ファイアII』、『III』、『IV』や『バイオハザード0』を作っていました。

――小嶋さんは、『モンスターハンター』の立ち上がりの早い段階からかかわっていたんですよね?

小嶋:『モンスターハンター』からかかわり、『MHP 2nd G』までさまざまなことを担当しました。PS2『MH2(dos)』のころからグッズを作る方にかかわることになりましたね。それと同時にイベントの手伝いをしたことから、このシリーズを使ったお祭り――“モンスターハンターフェスタ”の原型を企画しました。

――『ぽかぽかアイルー村』の企画は、いつごろに生まれたのでしょうか?

北林:企画が生まれたのは、Wii『モンスターハンターG』が発売されたすぐ後くらいです。『モンスターハンター』にかかわり、スタッフがかける思いや熱意にふれたことで、ちょっと他の方向からアピール――シリーズへのお手伝いができればと考えたのが、最初のきっかけです。その上で、アイルーを主役にしたゲームを作れないかと、辻本(※辻本良三プロデューサー)と小嶋に相談しました。

小嶋:ざっくり言うと、たまたま、近くを歩いていた僕に声がかかり、「おもしろそうですね」と答えたら、辻本が「じゃあ、よろしく」という流れでした(笑)。

『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』
▲アイルーのグッズに囲まれながら、制作秘話を語る2人。

――『ぽかぽかアイルー村』では、2人はどういった立ち位置でかかわっているのでしょうか?

北林:2人ともプロデューサーですね。小嶋はもともと『モンスターハンター』シリーズのプランナーで、世界観も精通しているので、本作でもかなり突っ込んで担当してもらっています。

――アイルーたちのデザインを大きく変えた理由を教えてください。

小嶋:アイルーのデザインは、『モンスターハンター』シリーズに出てくるデザインにするかとか、いろいろ候補はありました。しかし、『ぽかぽかアイルー村』という作品を作るにあたって、『モンスターハンター』本編とは違ったアプローチのものをつくろうというのは、序盤から決まってました。そこで色々試行錯誤はしましたが、アイルーの個性や表現の幅をより大きくするために、リアルタイプではないデフォルメタイプのアイルーにしようとなりました。

――今の画面に見慣れているためか、話を聞いてもリアルなアイルーの本作を想像できません。

小嶋:実験で出したんですが、リアルアイルー並べたらかなりシュールでしたよ(笑)。デザインの段階で、実際の画像のようにして並べた時に、一番しっくりきたのはやはりデフォルメしたアイルーでした。もともと、デフォルメしたアイルーはグッズでも出していますし、ユーザーにも認知され、人気があるので勝負しようと決めました。デザインが決まってから、ゲーム性に対しても、思い切ったことができるという雰囲気は生まれましたね。

北林:リアルなアイルーのモデルで展開していたら、今ほどいろいろな展開はできなかったのは事実です。あそこで現在のデザインにしていて、よかったと思います。

『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』 『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』
▲さまざまな表情を見せるアイルー。これまでに『モンスターハンター』で登場したアイルーと大きく異なる要素だ。

――ターゲットとして考えていたのはどこの層でしょうか?

北林:最初から女性を中心にした広い層を考えていました。もともと、『モンスターハンター』というゲーム自体、あの手のアクションゲームにしては女性ユーザーがすごく多い。そこで今回は、女性ユーザーをターゲットの中心にした新しい『モンスターハンター』の方向性を打ち出そうと。

小嶋:メインはまず女性で、その上で全年齢対象タイトルということで幅広い層を考えていました。『モンスターハンター』に興味があるけど手を出していない人、アイルーかわいいと思っているけどプレイしていない人、アクションゲームということでやっていない人、隣で友だちや家族がやっているのを見ているだけの人……そういった層にも、もっと『モンスターハンター』に興味を持ってもらいたいということを含めて、ターゲットを考えていましたね。

北林:『モンスターハンター』をまったくやっていなかった人が、『ぽかぽかアイルー村』を遊んでいるという声も多数聞いているので、そこは狙い通りだと思っています。いい方向に行ったと思っているので、ここを入り口にして『モンスターハンター』本編にも興味を持っていただいて、年末で『モンスターハンターポータブル(以下、MHP) 3rd』を検討してもらえたら。そういう点で大きな意味があったと思います。

――8月に発売したのは、なぜだったのでしょうか?

北林:本作の企画が出た段階から、『MHP 2nd G』と『MHP 3rd』への引き継ぎをやりたいと考えていました。なので、タイミングを模索した結果、ここで出そうと決めました。

小嶋:スピンオフ作品とはいえ、『モンスターハンター』の流れはあります。どうでもいいタイミングで出して、興味を持ってもらえなかったら意味がない。なので、『MHP 3rd』が出る前に出したいと考えていました。あと、全年齢対象なので、夏休みに出したいとは思っていました……まあ、発売日が8月26日だったので、すべりこみでしたが(苦笑)。

北林:宿題と『ぽかぽかアイルー村』、どっちをやるんだよ!? ってくらいのタイミングですからね(笑)。

小嶋:あと、“ぽかぽか”とタイトルにあるので、秋空の時に出したら「うん!? ぽかぽか?」ってなるじゃないですか? なので、そこは頑張って収めました。

『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』 『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』
▲『MHP 2nd G』のセーブデータがあるとオトモアイルーが本作に登場する。また本作のセーブデータがあれば、マイアイルーの防具が『MHP 3rd』でオトモアイルーの装備として使えるようになる。

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