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2010年11月4日(木)

【まり探】解けない時は大人の解決方法で? 『ザックとオンブラ』インタビュー

文:電撃オンライン

 まり蔵探偵事務所

 新作旧作問わず、さまざまなミステリー・ホラー・サスペンス系のアドベンチャーゲームを紹介していく“まり蔵探偵事務所”。今回は、10月28日にKONAMIから発売されたDS『ザックとオンブラまぼろしの遊園地(以下、ザックとオンブラ)』の開発スタッフに、所長のまり蔵がインタビューを行いました。

 『ザックとオンブラ』は、主人公の手品師・ザックを操作して、不思議なイキモノ・オンブラが巻き起こす事件を解決していくアドベンチャーゲーム。180種類以上のミニゲームが用意されており、プレイヤーはミニゲームをクリアすることでゲームを進めていきます。

 今回お話を伺ったのは、プロデューサーの向峠慎吾さんと、ディレクターの河野純子さん。開発の経緯からミニゲーム制作の苦労まで、さまざまなことを話していただきましたので、ぜひご覧ください!(インタビュー中は敬称略)

【まり蔵探偵事務所】

プロデューサー
向峠 慎吾(むかいとうげ しんご)さん

本作のプロデュースを担当。これまでにかかわってきた作品は、『ポップンミュージック』、『ビートマニア II DX』などの音楽シミュレーションシリーズや、『エレビッツ』シリーズなど。


【まり蔵探偵事務所】

ディレクター
河野 純子(かわの じゅんこ)さん

 本作のディレクターで、シナリオも執筆。数多くのAVG制作に携わっており、『シャドウ オブ メモリーズ』ではプロデューサー、『タイムホロウ 奪われた過去を求めて』ではディレクターを務めた。



●女性人気が高かったのは意外な結果?

――まず、本作を制作することになった経緯を教えていただけますか?

向峠:『ザックとオンブラ』を作る前は、僕がDS『エレビッツ ~カイとゼロの不思議な旅~』、河野さんがDS『TIME HOLLOW ~奪われた過去を求めて~』の制作に携わっていまして。2人ともそれが終わって、「さて、どうしよう」という時期があったんです。次の作品を作るにあたって、僕はオリジナルの作品が作りたかったんですが、河野さんはストーリーがしっかりしたアドベンチャーゲームが得意でキャラ絵も描けるということで、じゃあ一緒に組んでやりましょうかと。そういった感じでスタートしました。

河野:今回は、キャラ絵は描いていませんけどね。

向峠:でもグラフィックの監修はしていますよ。結構厳しい監修を(笑)。

――では、本作のテーマを教えてください。

河野:今回は、ライトなユーザーさんにも広く楽しんでもらえるアドベンチャーゲームをテーマに作りました。

向峠:誰でもできるようなことを目指しました。難易度もそうですし、途中で詰まったりしないとか、テンポよく進むとか、そういった基本的なコンセプトは僕と河野さんで話し合って決めました。

河野:あと、1回プレイしたら終わってしまうのはやはり寂しいので、何回でも遊べるアドベンチャーを目指しました。

向峠:ミニゲームを入れて、ミニゲームも1回解けば終わりではなく、そこでもう少し遊べるようにすることは意識しましたね。

――ターゲットはやはりライト層を狙って?

向峠:そうです。(試遊台を用意した)東京ゲームショウ(TGS)では、思っていたよりも多くの女性が遊んでくださっていました。ちょっと年齢層の低い、小学生や中学生の方にも興味を持ってもらえたようです。

――私もTGSで試遊しましたが、女性の方がたくさん並んでいましたね。

向峠:キャラクターや世界観が響いたのかもしれませんが、そこまで想定はしてませんでしたね。ある程度とは思っていたのですが、ちょっと意外でした。

●オンブラは最初、もっとキモかわいいキャラだった?

――本作をプレイして、ストーリーがしっかり作られていた印象を受けたのですが、物語のコンセプトを教えていただけますか?

河野:ザックの成長物語にしようと思っていました。できるだけザックに感情移入できるようにしたいなと。

向峠:ザックは最初すごくヘタレだからね。

河野:WebやTGSで公開した体験版で一番心配なのがそこだったんです。体験版では、ただのヘタレで終わってしまって……。

向峠:中盤からカッコよくなるんですよね。僕は、観覧車の階段を駆け上がっていってドア開けるシーンがすごく好きなんですが。

河野:あれも最初のころなら考えられないですよね。シナリオを書いていて、できるだけザックというキャラクターに、遊んでる人が同調できるようにしたいと気をつけて書きました。

――キャラクターを作り上げていく上で、苦労なさったことはありますか?

向峠:オンブラは河野さんが描いているんですが、最初はモンスターみたいなオバケでしたね。

河野:「キモかわいいのがいいんですよ!」って言ってもなかなか通じなくて(笑)。それなら、キモ度を下げようと。

――それであんな丸っこくてかわいいビジュアルになったんですか。個人的にはザックのライバル役のラファエロがすごく好きなんですが。

河野:ラファエロのコンセプトは、“いかにザックと対照的なキャラクターにするか”でしたから。

向峠:ラファエロは、女性に受けそうなキャラクターですね。最初キザキャラなのかなって思ったんだけど、意外と子どもっぽくて。ボイスも石田彰さんでしたし。

河野:石田さんの声は、すごくカッコよかったです。ものすごくハマっていました。ラファエロは、続編があったらもうちょっと成長するんじゃないでしょうか。

向峠:よいキャラになりそうなポテンシャルは秘めていると思います。

河野:なるといいなぁ。

●ジーノ役・千葉繁さんのアドリブはまさに熱演!

――ザックの声に神木隆之介さん、ポリーの声に桜庭ななみさんを起用した経緯を教えてください。

向峠:まず、俳優を使いたかったというのが一番の理由ですね。神木君の場合は、俳優なんだけど声優の仕事も結構されてて実力もありますし、年齢的にもザックに近いので。実際収録の時にしゃべってもらったら、合うなって思いました。桜庭さんも、やはり声優経験がある女優さんということで選びました。

河野:桜庭さんは撮り始めた時、ちょっと低いかなっと思ったんですけどね。

向峠:そうですね。「元気な子どものイメージで」という指示はしました。ただ、桜庭さんはもともと元気な方なので、活発な感じの演技をしてもらったらやっぱりハマりましたね。

――収録には立ち会われたのでしょうか?

河野:はい、全部立ち会いました。

向峠:深夜までかかって大変でしたね。声優の皆さん、こんな時間まで大丈夫なのかなって(笑)。

河野:神木さん、桜庭さんの場合は学校にも通われているので翌日のことも考えると心配でした。

――神木さん、桜庭さん以外の声優さんで印象的な方はいらっしゃいましたか?

向峠:僕はジーノ役の千葉繁さんがやっぱりすごいなって思いました。

河野:千葉さんは、「(他の収録現場で)いつもアドリブを強要されるから、今回は自然な演技でって言ってもらえてうれしいです」っておっしゃっていたんです。でも、収録になるとアドリブをガンガン入れてきたので、実は好きで入れているんじゃないかと(笑)。

向峠:まさに熱演でしたね(笑)。

【まり探】 【まり探】
▲丸いフォルムが愛らしいオンブラ。開発当初はもっとキモかわいいキャラだったとのことですが、どのようなイラストだったのでしょうか?
【まり探】 【まり探】
▲石田彰さん演じるラファエロ。子どもっぽいところが、河野さんもお気に入りとのことです。▲向峠さんは、ジーノ役の千葉繁さんの演技を絶賛していました。

→次のページでは、ミニゲーム制作の苦労について語っていただきました!
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