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2010年11月9日(火)

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』

文:電撃オンライン

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■アイテムの合成が戦闘のカギ

 さて、本作はA・AVGということで、主人公の前にはクリーチャーなどの敵が立ちふさがることがあります。そして、そんな敵と戦うには銃を撃ったり、角材やパイプなどで殴りつけたり、さらに車でひくといった方法も用意されています。

 しかし、いずれも一定の効果はあるものの、何度も攻撃しないと敵を倒すことができません。それに、通常攻撃で倒した敵はいったん動かなくなるものの、しばらくすると復活してしまうんです。そして厄介な復活を阻止するには、死体の足をつかんで燃えている火にくべるなどで、完全に焼却しなければなりません。

 通常攻撃で倒した後に燃やすという流れは一番手軽な方法なんですけど、火を探したりとちょっと面倒ですよね。では、どういう方法がより効果的なのかというと、それは最初から炎を使って攻撃することです。このゲームに登場する敵は全般的に炎に弱く、撃ったり殴ったりするよりも直接燃やすほうがすぐに倒せます。

 そして直接敵を燃やすには、角材に火をつけて殴るという方法があります。この方法は手軽で非常に有効ですが、難点は角材。角材はそうそう転がっていないので、確実性に欠けてしまいます。

 そこで活用したいのが、本作の特徴の1つでもあるアイテム合成。これは手に入れたアイテムを組み合わせて武器の威力をアップさせたり、アイテムを使いやすくしたりすることができる機能のこと。これを利用すると、たとえば弾丸と酒入りのビンを使って“炎の弾丸”を作ったり、酒入りのビンと布切れを使って“火炎瓶”を作ったりすることができます。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲合成は、主人公が着ているジャケットの内側にストックしたアイテムを選んで行います。ジャケットは右側と左側で入れられるアイテムの種類が違うため、右側がいっぱいだから左側に、ということができません。そういた場合は、合成してアイテムのスペースを圧縮するといった工夫もしてみましょう。

 その他、車のガソリンタンクに穴を空けてガソリンをペットボトルに注ぎ、それにガムテープを巻きつけることで“設置式の爆発物”を作るといったことも可能です。設置式の爆発物は移動している敵の身体にはり付けて、自分まで爆風が届かない場所に運ばせてから射撃で爆発させるといった使い方ができます。

 これらの合成したアイテムの中でも“炎の弾丸”は本作の中心的な武器で、中~終盤はこれを多用することになります。武器はそのまま使うよりも、炎をまとわせて使うほうが威力がアップするので、合成は積極的に行うのがいいでしょう。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲敵に炎の弾丸を使うと、外傷部分から身体の内部に炎が広がります。左右の裂け目を狙えば、たった2発で倒すことも可能です。

 そしてこの炎を使った演出は、本作の裏のテーマなのかな? と思うほど凝っているんですよ。たとえば前述のガソリン入りのペットボトルは、ガソリンをこぼしながら歩くことができて、そこに火をつければこぼしたとおりに火が伝わっていきます。これでうまく簡易のバリアを作ったり、導火線の代わりに使うこともできます。

 また、垂直に立った木材に火を放つと、少しずつ火が燃え広がったあと炭になって構造がもろくなり、しばらくすると崩れ落ちる……なんていう感心するぐらい凝った物理演算が盛り込まれているんです。

 これも単に凝っただけの演出というわけではなくて、この物質が変化する過程を生かした謎解きも盛り込まれているんですから、驚きです。

■広大なセントラルパークをまるごと収録

 ゲーム中で主人公が探索することになる場所のほとんどは、ニューヨークでもっとも有名な公園・セントラルパークです。

 実際のセントラルパークのマップ(セントラルパーク公式ページ)を見てもわかるように、この公園は長方形の広大な敷地を有しています。なんとゲームはこれと同様のマップが収録されていて、しかもオープンフィールドになっているため、端から端までシームレスに歩いて移動をすることができます。

 しかし実際は南北に約4kmも広がる広大な公園ですから、ゲームでは園内に放置された車を使って移動するのがいいでしょう。ただし、これらの車は乗り捨てられていて、カギがありません。そのため、車内で配線をショートさせてエンジンをかけるか、社内に置き忘れられているカギを探して運転することになります。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲公園内に放置された車は、配線をショートさせることでエンジンを動かします。

 車は移動の他に謎解きにも使うことになるのですが、この使い方が本当に多彩なんですよね。たとえば勢いをつけて地割れでできた谷間を飛び越えたり、“設置式の爆発物”をはり付けて移動型の爆弾に仕立て上げることもできます。他にも運転中にドアを開けて飛び降りることができたり、ガソリンタンク部分を撃って爆発させて敵を倒すことができたりと、活用法はいろいろあります。

【洋鯨亭 第34回】私立探偵が悪魔に挑む物語『アローン・イン・ザ・ダーク』
▲ミッションの最初から最後まで、車を使うものもあります。崩壊するビルや地面を避け目的地まで走り抜けるのは、まるでアクション映画のカースタントのよう。洋ゲーは、こういうシーンの作り方が本当にうまいですね。

■シリーズを意識しなくても遊べます

 本作はシリーズ最新作という位置づけではあるのですが、これまでのシリーズを遊んでいなくても楽しめます。一応、ゲームでは過去の出来事に軽く触れてはいるのですが、それがストーリー展開や謎解きにかかわっているわけではないので、初めて挑戦する人も安心です。

 本作はにぎやかな大都市のど真ん中で展開されるホラーということもあって、従来のシリーズにあったような“舞台そのものの怖さ”はあまりないのですが、その分敵と戦うおもしろさはアップしています。特にアイテム合成を活用することで、戦い方に幅ができるのはいいなと思いました。

 またゲームを再開する際に、海外ドラマのあらすじのようにこれまでの物語を振り返ってくれたり、主観視点で射撃をする際には一部エイミングをアシストしてくれたり、意外と解除しやすい実績がそろっていたりと、様々な面で親切設計になっている点もうれしいですね。2年前の作品ではありますが、今やっても十分楽しめます。ですので、こういったタイプのアクションホラーが楽しみたい方は、ぜひこの機会に遊んでみてください。

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