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2010年11月9日(火)

初心者が送る初心者のための『タクティクスオウガ 運命の輪』プレイレポート

文:サガコ

 スクウェア・エニックスから、11月11日に発売されるPSP用ソフト『タクティクスオウガ 運命の輪(以下、タクティクスオウガ)』。今回は、ライター・サガコによる『タクティクスオウガ』初心者に向けたプレイレポートを掲載する。

『タクティクスオウガ 運命の輪』 『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲こちらがデニム(主人公)の姉・カチュアさん。いつでも本音をぶつけてくるのはいいんだけど、ちょっと怖イィ。▲戦場でのアドバイスをくれた騎士(女性)の背中に苦言を吐くカチュア姉さん。すごく怖イィ。

 お、おはようございます……「あと1マップだけ」で寝るつもりだったのに、気がついたら夜が明けていたサガコです。これで幾度目の朝焼けかっ!

 いよいよ! いよいよ多くの人々が待ち焦がれている『タクティクスオウガ』の発売日が近づいてまいりました! 本日は「俺、15年待ってたんだぜーっ!」という、優秀かつコアなファンの皆さんのことはさておいて! さておくぞ!(だって君たちはこのゲームのおもしろさと魅力を誰より強く知っているだろう!?)

 「ぶっちゃけ『タクティクスオウガ』ってどんなゲーム?」と思ってらっしゃる方々をメインターゲットに、レポート兼ゲーム概要をお届けしたいと思います。いわゆるオウガバージンなユーザーに向けて、オウガセカンドバージンなわたくしめが、初心者モード全開で本作の魅力をお伝えしてまいる、と。こういう趣向でございます。

 ちなみになぜセカンドバージンなのかというと、15年前のオリジナル版発売時にあまりにシステムも物語もハードすぎて、精神的に幼かった私はまったく楽しむことができなかったからです……。第1章の序盤で物語の骨子がつかめず挫折したあの日も、今や懐かしい思い出。

 PSP版の序盤をプレイした今となっては、昔の自分を悔やむこともなくなりました。なぜなら、こんなにおもしろいゲームをまっさらな状態で噛み締めながらプレイできる幸せが、ここにあるのだから! 15年、元気に歳をとれて本当によかった……。

◆そもそも『オウガ』シリーズとは?

 スーパーファミコン世代を知らぬ若い人たちの中には、そもそも『オウガ』シリーズをご存じない方もチラホラいらっしゃるのではないでしょうか。

 『オウガ』シリーズとは、ゲームデザイナー松野泰己さんが主にディレクションを手がけたS・RPGの作品群を指したものです。1993年にスーパーファミコンで発売された『伝説のオウガバトル』を皮切りに、複数のシリーズ作品があります。数々のハードに移植されるほどの人気ぶりで、日本のゲーマーにS・RPGの楽しみを広く知らしめたシリーズとして、今も多くのファンを虜にし続けています。

 なんといっても象徴的なのは、シリーズを貫く壮大な叙事詩“オウガバトルサーガ”の存在です。世界の誕生から、神や悪鬼の存在や伝説を通して、人間同士の権力闘争や愛憎、国家の栄枯盛衰を描く物語。全8章からなるといわれていますが、その詳細な全容はいまだ明らかにされてはいません。というのも、シリーズとして第1章から順序立てて描かれているわけではなく、第1作となる『伝説のオウガバトル』もサーガの第5章を描いたものにすぎないからです(ちなみに本作は第7章)。

 とはいえ、前後のシリーズ作や“オウガバトルサーガ”をちっとも知らなくても、何の問題もなく世界観や物語を楽しむことができますので、臆することはありません。

『タクティクスオウガ 運命の輪』 『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲ゼテギネアと呼ばれた時代の物語。さまざまな人々の思惑が絡み合って、ストーリーは進行していきます。▲シリーズを遊んでいると、他の作品に登場した人物がこちらにも出てきて……という、壮大なサーガならではのつながりが楽しめます。本作をプレイして興味を持ったら、『オウガ』シリーズの過去作をWiiのバーチャルコンソールや、ケータイで遊んでみるのもよろしいかと。

 さて、本作の魅力の1つに挙げられるのがなんといっても重厚なストーリー展開。プレイヤーの選択肢や行動次第で、国家の在り様までもが変化していきます。魅力的なシナリオを堪能するために、まずは島の歴史をカンタンに把握しておきましょう。ちょっと社会科の勉強のようになりますが、これを把握してからゲームのオープニングを見たほうが、より世界観に入り込めるはずです。

 ちなみに読むのが面倒な人は、ゲームを始める際にスタートボタンをすぐに押さず、少し待っていると世界観解説のムービーが見られますよ。

◆では、ごくカンタンに歴史を解説!

 舞台は海洋貿易で栄えるヴァレリア島。長く争っていた3つの民族と複数国家が1人の王によって統一され、紛争のない王国を築き上げたと思ったのも束の間、王の死によって島は再び、民族同士の争いの時代に突入します。

 貴族階級のバクラム人は、海を越えた大陸の大国ローディス教国の助けを借りて島の北側に新たな国家を建立。一方で、人口で圧倒的多数を誇るガルガスタン人は島の南側に自分たちの領土を主張します。

『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲ヴァレリア島全図。この島の覇権を争って、民族同士が血を流します。そこにあるのは誇りか、それとも愚かさなのか。

 主要な2つの民族により、大きく南北に分断されたヴァレリア島。双方が島をを握ろうと睨(にら)みあいを続ける中、島の南部に領土を抱えていたはずの第3の民族・ウォルスタ人は、国家領土を拡大せんとするガルガスタンの民族浄化政策によって、非人道的な排斥と弾圧の憂き目にさらされていました。

 主人公デニムはそんな少数民族ウォルスタ人の青年。自由や権力を削がれながらも、自治区としてあてがわれた港町ゴリアテで、父や姉、そして友人たちとそれなりに問題のない日々を送っていたのです。

 あの日……ローディス教国から派遣された暗黒騎士団ロスローリアンが、町を襲撃するまでは。

『タクティクスオウガ 運命の輪』 『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲こうして、ゴリアテの町の悲劇のシーンから物語は幕を開けます。

 ロスローリアンによって父親をさらわれ、2人きりの家族となってしまったデニムと姉のカチュア。そして、同様に襲撃で家族を殺され、天涯孤独となったデニムの友人ヴァイス。3人は意を決し、ロスローリアンの総長ランスロットに一矢報いんとするのですが……。

 あっ! いかん……つい、このまま滔々(とうとう)と全部喋ってしまうところだった!!

 はたしてデニムたちウォルスタ人は自由を勝ち取ることができるのか? なぜ、デニムの父はロスローリアンにさらわれてしまったのか? デニム、カチュア、ヴァイスの関係性はどのように変化していくのか?

 あなたはおそらく、想像以上に過酷な選択肢の数々を目の当たりにすることでしょう。権力と戦争と人の生死が直結した世界。血と誇りのために、多くの命が消えた時代。デニムの行動……つまり、あなたの選択が、多くの勝利が、たった一度の敗北が、国を左右し、未来を揺さぶります。その計り知れない重みを受け止めることこそ、『タクティクスオウガ』をプレイする醍醐味でもあるのです。

→次ページでは登場人物や便利なシステムを紹介!

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※画面は開発中のもの。

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データ

▼『タクティクスオウガ 運命の輪』ダウンロード版
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PSP
■ジャンル:S・RPG
■発売日:2010年11月11日
■価格:4,980円(税込)

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