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2010年11月30日(火)

【洋鯨亭 37回】『Fallout: New Vegas』ローカライズ裏話を聞く!(前編)

文:電撃オンライン

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■ローカライズに対するプレッシャー

──前作のローカライズではユーザーさんから非常に高い評価を受けました。今回その期待に対するプレッシャーはありましたか?

 ありましたねーーーっ(苦笑)。無言のプレッシャーのようなものがありました。「当然前作よりクオリティを落とさないよね?」というようなプレッシャーを、いろんな場所で感じましたね。それはインターネット上の書き込みなんかでもそうですし、いろんな方にお会いした際に「何百時間やりました!」みたいなことを言っていただくたびに、うれしいのと同時にすごくプレッシャーを感じました(笑)。

──以前行った洋ゲーに関するアンケートの回答でも『Fallout 3』のローカライズは高評価でしたよ。実際に、「神ローカライズ」と書いている方もいたくらいでしたし。

 おぉぉ、ありがとうございます! そういうご意見は、本当にうれしいですね。ゲーム制作って、基本的にはオリジナルのゲームを開発している人たちが一番偉いんです。僕らは、あくまでゲーム制作のお手伝いをしているだけなんですよ。だからこそ、彼らが作ったものをローカライズの段階で台無しにしたくないと考えていますし、色々と努力をしています。それだけに、ローカライズに対していい評価をいただけたことは、何よりもうれしいですね。

 ローカライズって、個人的には“引き算”だと思っているんです。本国で開発されたものが100だとすると、それを他の言語に修正する時点で、すでに制作者の意図などが少しずつ薄れていくわけじゃないですか。だから、新たに要素を足すことはほとんどできないですし、僕たちは引き算をどれだけ最小限にとどめるかが大事なんですね。その辺のバランスがとても難しい作業なので、これからもユーザーさんの声を励みにがんばります。

■ゲームの序盤に関するアレコレ

──今作は前作と違って核シェルター・Vaultからスタートしないのは、どのような意図があったのでしょうか?

 一番大きな理由は、前作はVaultから外の世界に出るまでが非常に長いというご意見が多かったからなんですね。だから、近作はとにかく早く冒険の舞台に出てもらおうと。こういったユーザーさんのご意見は、ゲーム制作に積極的に取り入れているんです。たとえば、今作で武器がカスタマイズできるようになったのも、そういったご要望があったからですし。

 あと、海外ではPC版のMOD(データのカスタマイズ)が盛んで、そのコミュニティで紹介されたデータのうち、これはいいねと評価されたものはコンシューマー版にも取り入れたりしているんですよ。

──ハードコアモードを入れたのも、ユーザーさんの要望の1つだったんですか?

 これは別の理由ですね。今回開発を担当したObsidian Entertainmentのスタッフは、作りたい作品の傾向が非常にマニアックなんですよね。ゲームが本当に大好きな彼らが作っていると、どんどんコアユーザー向けになってしまうんです。それこそ、「これどーやって進むんだよ!」みたいな感じで。だからハードコアモードも、彼らは最初から通常の仕様として作っていたはずなんですよね(笑)。

 でも、難しい設定のままにしてしまうと結果的にはユーザーさんを選ぶことになってしまい、色々な人に遊んでもらえなくなってしまいますから、この難易度を基準にするのはどうなんだろうと。そういった判断もあって、今回のように選択式になったんじゃないかなと思います。

──ハードコアモードは、始める前に色々と警告が表示されますよね? あの内容が結構厳しくて、あれを読んで最初からプレイしようと思う人は少ないんじゃないでしょうか(苦笑)。

 そうですね。『Fallout』シリーズはこれまでPC版のMODも含めて、色々とできることが増えていったじゃないですか。で、増えたことで自由度がさらにアップしているのに、このハードコアモードでさらに気にしないといけないことが増えるとなると、間口がどんどん狭まってしまいますよね。そうなると、特にまだこういった作品への認知度が低い日本のマーケティング的にも、あまりよろしくはないと思います。ただ、システムとしては『FONV』の世界をサバイバルする上で非常にポイントとなる要素を含んでいますので、ぜひ1度は試していただきたいと思っています。

――ちゃんと食べて、しっかり寝て、水分補給して、無茶すると死んじゃうというゲーム……なかなかハードですよね(笑)。

 でも、発売後の状況を見ていると意外と最初からハードコアモードでプレイされている方も多いようですし、ぜひぜひ(笑)。

■挿入曲は名曲ぞろい

──前作も含めてゲーム中に流れる音楽が雰囲気に合ったいい曲ばかりなのですが、これらの曲をまとめたCDを発売したりしませんか?

 んー……これは著作権の問題があって、かなり難しいですね。色々と交渉しなければならないですし。一応、前作の発売時には何曲かを収めた特典CDを配布しましたけど、これも少ない枚数で、特典ということで無料配布だったから実現したようなものなんです。そういったこともあって、今回も音楽に関しては国内で販売されている原曲のCDやレコードを探していただくしかないですね……。

■待ち遠しいダウンロードコンテンツの配信は?

──前作でも好評だった、追加ダウンロードコンテンツ(DLC)の配信予定はありま……(すか?)

 ノーコメント!(笑)

──(笑)。では、あるか、ないかで言う……(と?)

 ノーコメントです!!(笑)

──力強いお言葉、ありがとうございます(笑)。いやー、絶対にあるとは思っているんですけどね。期待しております。

※注:インタビュー時はノーコメントとおっしゃっていましたが、海外では12月21日にDLCの第1弾として『Dead Money』が配信されることが発表されました(11月17日発表。ただし、日本国内での配信時期は未定)

■インタビュー前編はここまでです

 前編は、広告のお話を中心に軽めの話題でまとめてみました。今回のお話で、話題性十分だったあの広告が世に出るまでには、紆余曲折があったことがわかりました。

 さて、来週はもうちょっと突っ込んで、ローカライズの話題を中心にお届けします。裏話だらけの貴重な内容になりましたので、楽しみにお待ちください。

Fallout: New Vegas(R)(C) 2010 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. Fallout, Fallout: New Vegas and related logos are trademarks or registered trademarks of Bethesda Softworks LLC in the U.S. and/or other countries. Developed in association with Obsidian Entertainment Inc. Obsidian and related logos are trademarks or registered trademarks of Obsidian Entertainment Inc. All Rights Reserved.

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