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2010年11月29日(月)

【電撃ゲームス】11月の“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”は?

文:電撃オンライン

 “ゲーム屋さんがえらんだ良作!”の11月タイトルに、セガから発売されたPS3/Xbox 360用ソフト『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』が選ばれた。

 “ゲーム屋さんがえらんだ良作!”とは、ゲーム屋さんが実際に遊んで「これはおもしろい」というゲームを毎月1本オススメする活動。全国のゲーム販売店が加盟する日本テレビゲーム商業組合という団体が主催している。

 具体的な流れとしては、過去2カ月以内に発売されたタイトルの中で、累計販売数が10万本に満たないタイトル、さらにお店の人が実際に遊んでおもしろかったゲームを選定。全国のお店から毎月投票を募り、さらに有志による最終審査を経て、その月のオススメタイトルを決定する。その後、ゲームメーカーにも協力を仰ぎ、この取り組みに参加しているゲームショップの店頭に用意された良作コーナーで、ユーザーにゲームが紹介されるという仕組みだ。

 今回は11月のタイトルに選ばれた『ヴァンキッシュ』について、日本テレビゲーム商業組合・ゲーム販売研究会のアドバイザーでもある田下広夢氏に、『ヴァンキッシュ』が選ばれた理由とその魅力について語っていただいた。

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●動かすだけで気持ちいいTPSって、意外となかった

『電撃ゲームス』
▲『ヴァンキッシュ』

 全国のゲーム屋さんが、毎月1本、大ヒットはしなかったけど実際に遊んでこれはおもしろい、というゲームをオススメする“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”。11月に選ばれたのはPS3とXbox 360用タイトルとしてセガから発売された『ヴァンキッシュ』です。

 開発したのは2009年秋に発売された『BAYONETTA(ベヨネッタ)』の制作を担当したプラチナゲームズ。発売元のセガではかなり期待もしていて早い段階でお店にアプローチをかけていました。実際、PVを見ても、体験版をプレイしてみても、非常に完成度は高く、作品そのものは大変すばらしいと多くの流通さん関係者は考えていました。

 『ヴァンキッシュ』は、いわゆるサードパーソンシューティング(TPS)と呼ばれる俯瞰(ふかん)視点のシューティングアクションで、ウリはゲームのスピード感、テンポのよさ。多くのFPSやTPSは敵を警戒しながら進み、遮へい物に隠れ、じりじりと陣地を侵攻していくというというものが多いかもしれませんが、『ヴァンキッシュ』はそこがまるで違います。

 ブーストと呼ばれるダッシュで一気に戦場を駆け抜け、近接戦闘ではサマーソルトキックで敵を粉砕。ミサイルの雨が降ってきたらARモードを発動すると画面をスローモーションに、マシンガンで全弾撃ち落とした時には快感が脳天から突き抜けます。まるで、アクションゲームのような爽快感のある、動かすだけで楽しい、指が幸せなTPSです。

 また、難易度自体は高めであるものの、カジュアルオートという初心者のためのモードも搭載。このモードでプレイすると、近くの敵に自動で照準が合うようになります。多くのユーザーがFPSやTPSで最初につまずくのが“素早く照準を合わせる”というところですが、カジュアルオートなら腕に自信がない人でも、まずはこのゲームの爽快感を存分に楽しむことができます。この手触り、この気持ちよさ、今までTPSを敬遠していたアクションゲーム好きにも、ぜひやってみてほしいと、そう感じます。ただ、問題は作品のデキよりも、日本のシューティング市場にあります。

●ライトシューターがいない市場

 日本のシューティング市場というのは、現状のところ、極めて限定的なユーザーによって構成されている市場です。『コール オブ デューティ』シリーズでオンライン対戦を遊び倒すようなコアなシューターは一定数いるものの、そこを頂点としたピラミッド型の構造になっていません。つまり、裾野が狭い、ライトシューターという存在が極めて希少なんです。

 FPSやTPSというゲームジャンルの未来のことを考えると、このことはあまりよいとはいえません。コアなゲーマーばかりの市場に質の高い作品を投入し続けるというのは、非常にレベルの高いゲームが生まれると同時に、先鋭化し、新規ユーザーが入ってきにくくなります。そうすると、新規ユーザーが誰もが知る有名タイトルから入ってきて、だんだん成熟してより複雑なゲームを求めていくという流れの入り口がなくなることになり、市場は大きく成長しにくくなります。

●『ヴァンキッシュ』との出会いを

 そういった現状に対して、ゲーム業界のいろいろな人がいろいろなことを考えるわけですが、お店にはお店のできることがあります。たとえば、インターネットで流れる情報というのは、ユーザーが自分で選択してクリックして読む情報ですから、アクションゲームがやりたい人はアクションゲームの情報を、シューティングゲームがやりたい人はシューティングゲームの情報を手に入れます。情報の取捨選択がとても主体的に行われるのがインターネットです。

 そういう意味で言うと、ゲームのお店というのはちょっと違う役割があるんですね。あるゲームを買いにきて、あるいは、なんとなくお店をぶらついて物色したいと思った人が、展示してあるゲームを見ておもしろそうかもと思う、そんな出会いが演出できるのがお店という空間です。

 『ヴァンキッシュ』は触ってみれば、少し動かすだけで、おっ、ちょっとこれは違うかも、と思える気持ちよさを持っています。シューティングを敬遠していた人でも、遊んでみようと思ってくれるかもしれません。11月の“ゲーム屋さんが選んだ良作!”では『ヴァンキッシュ』が選ばれたということで、そんなシューティングとユーザーとの出会いを、お店の中で演出していきたいと思います。シューティングを遊んだことがないという人も、自分には難しいかもと思っていた人も、派手で爽快でテンポのいいゲームで気持ちよくなりたいという方は、ぜひ一度遊んでみてください。




実際の販売店での“良作ゲーム”コーナー例

 販売店での展開の一例。各お店の写真は10月タイトルのXbox 360『Halo:Reach(ヘイロー リーチ)』の店頭展開のもの。

ゲーム屋さん ゲーム屋さん
▲【wanpaku河内長野店】スクリーンショットや、ノーブルチームのPOPをたっぷり使って立体的に飾り付け。これまでの『Halo』シリーズと一緒にオススメしています。▲【お宝創庫阿久比店】手前にある白い手書きのPOPはお店の人による手書きのストーリー紹介。手書きで一生懸命かかれた文章って、なんとなく読む気になることがあります。不思議なものですね。
ゲーム屋さん ゲーム屋さん
▲【お宝創庫大府店】フキダシ型のPOPを大量に付けて、シリーズ未経験のユーザーにもどんなゲームなのかわかりやすく説明。▲【TVパニック鶴見駅前店】お店オリジナルのPOPは今Webで話題の『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』のパロディ。お店ならではの遊び心。


『電撃ゲームス』

毎月の“ゲーム屋さんがえらんだ良作”タイトルは『電撃ゲームス』ゲームス データスコープ コーナーで連載中!


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データ

▼『電撃ゲームス Vol.15』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年11月26日
■価格:500円(税込)
 
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