2010年12月11日(土)
NEXONはPC用A・RPG『メイプルストーリー』の大規模アップデート“BIGBANG”を、12月15日に実施する。タイトル史上最大と言われるアップデートは3回にわけて実装され、システムやインタフェースなどの細かい部分は11月に実装済みだが、12月以降の第2弾、第3弾では新職業が追加される。
レベルキャップまでの必要経験値が半減するなど、大胆とも言える改修に対する韓国プレイヤーの反応や、今後の展開についてNEXON ライブ開発1室室長 オ・ハンビョル氏、ライブ開発2室室長 イ・ヒヨン氏、メイプル海外ライブ1チームチーム長 キム・ウジン氏、メイプル海外ライブ1チーム 日本パートパート長 クアック・キョンス氏、ネクソンゲーム運用5チームリーダー 中西啓太氏の5名に話を聞いてきた。
▲左から中西啓太氏、イ・ヒヨン氏、オ・ハンビョル氏、キム・ウジン氏、クアック・キョンス氏。 |
――本日はよろしくお願いします。“BIGBANG”アップデートは第1弾がすでに11月中に実装されているわけですが、なぜこのタイミングでインタビューの場を設けたのか、おたずねしたいのですが?
中西啓太氏(以下、中西):第1弾アップデートはインタフェース周りやバランス調整など目に見えない部分が中心だったため、プレイヤーの方が記事に目を通してくださっても、あまりおもしろい話でもないと思いまして……。新シナリオと新クラスが実装される、アップデート第2弾実装直前のタイミングとなりました。
――なるほど。それでは『メイプルストーリー』史上最大という今回のアップデート“BIGBANG”について、その特徴や魅力をお話いただけますか。
ライブ開発1室室長 オ・ハンビョル氏(以下、オ・ハンビョル):一言で申し上げますと、サービス開始から7年目を迎える『メイプルストーリー』が、新たなチャレンジと変化を求めて実装するのが“BIGBANG”です。『メイプルストーリー』らしさ、その長所は損なわず、よりよい方向へ進むためのアップデートだと考えています。
プレイヤーが一番体感できる“BIGBANG”の特徴は、キャラクターの成長速度と職業間バランスの調整、そして新クラスの3つでしょう。特に成長速度に関しては、レベル上限までに必要な経験値が従来の半分になり、かなり大きな改修です。もう少しアップデート全体として見るならば、一部マップの縮小やクエスト制限の開放、モンスターバランスの調整といった“メイプル世界の再配置”ですね。
中西:シナリオで言いますと、過去のアップデートで出てきた“暗黒の魔法使い”は魔法でメイプル世界の地形すら変化させ、混乱を引き起こしました。それに対抗する形で登場するのが、レジスタンスとなる新職業の“バトルメイジ”と“ワイルドハンター”になります。
――では2つの新クラスについて紹介をお願いします。
オ・ハンビョル:バトルメイジは魔法使いですが、近距離攻撃やPTプレイに貢献するオーラというスキルも使えるクラスです。ワイルドハンターは騎乗したまま弓で攻撃でき、スピード感を楽しめるのが特徴です。
――例えばワイルドハンターですが、既存の弓クラスにないスピーディな戦闘が楽しめるということは、逆にずっと弓クラスを育ててきたプレイヤーさんが不満を抱きませんか?
オ・ハンビョル:既存職と差別化するために、ワイルドハンターは弓使いと比較して攻撃範囲が短い、移動しつつ攻撃可能という違いがあります。同様にバトルメイジとメイジにも、長所と短所をそれぞれ設定しました。メイジは攻撃キーを押すだけの操作が簡単なぶん、飽きやすいクラスでした。バトルメイジはもっと打撃感のおもしろさが伝わりやすいキャラクターになっています。
▲バトルメイジ | ▲ワイルドハンター |
――日本で実装の際に、キャラクタースロットは増えますか?
中西:はい、第1次BIGBANG実装時に1スロット追加してあります。
――新マップというのはどのレベル帯向けのものですか。
中西:おもに新職業向けの新しい町と、その周辺に低~中レベル向けの狩場マップが10個ほど追加されます。
――オンラインゲームの中でも、サービス7年目というのはかなり古参タイトルの部類に入りますが、なぜ今になってのここまで大胆な修正・調整を行うのでしょうか? 逆に言えばもっと早くに実施できなかったのか、という疑問もあります。
オ・ハンビョル:7年という時間が経過したからこそ、大きな変化をに求めたのです。実は2009年の12月にオフラインで、そして2010年の頭にはオンラインで『メイプルストーリー』懇談会を開催し、韓国のプレイヤーと意見交換を行ったんです。そこで出た最も大きな意見を反映させたのが、“BIGBANG”になりました。
――具体的にどんな意見が多かったのか、あるいは開発側としては意外だった話、意識のギャップを感じたことなどがあれば教えてください。
オ・ハンビョル:開発とプレイヤーで最もギャップが大きいと感じたのは、職業間バランスへの不満でした。我々は「そうでもない」と思っていましたが、特に戦士クラスについての不満は大きかったようです。
――韓国のオンラインゲームで、プレイヤーと開発・運営元が直接話しができるようなオフラインイベントを実施するのは、かなり珍しくないですか?
イ・ヒヨン氏(以下、イ・ヒヨン):確かに韓国ではあまりやりません。『メイプルストーリー』でも直接プレイヤーとやりとりしたのは、まだ2回目です。
バランス調整のアップデートをもっと早くにできなかったのか、という点についてお話します。オンラインゲームのサービスでは、どうしてもコンテンツのアップデートに集中しがちなところがあります。“BIGBANG”のような濃いアップデートをしなければと心の中で常に考えつつも、なかなかできませんでした。
ちょっと裏話になりますが、“BIGBANG”については社内でも「本当にこのアップデートをやるのか」「開発の意図がちゃんとプレイヤーに伝わるのか?」という不安の声もかなりあったんです。しかし、彼(オ・ハンビョル氏)が「自分を信じてください」と説得して進めていきました。
オ・ハンビョル:『メイプルストーリー』はネクソンのラインナップの中でも、パワーのある大きなタイトルですから、このままでもよいのでは? という不安はありましたし、悩みました。ただ、『メイプルストーリー』がもう一歩前へ進むために必要なアップデートだと思い、周囲を説得しました。
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