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2010年12月27日(月)

「あの仲間たちと冒険できてよかった」と思えるRPGを――『ラストストーリー』

文:電撃オンライン

 任天堂は、2011年1月27日に発売するWii用RPG『THE LAST STORY (ラストストーリー)』のプレゼンテーションを、本日12月27日に東京都内で開催した。

『ラストストーリー』 『ラストストーリー』

 『ラストストーリー』は、坂口博信さん率いるミストウォーカーが手掛けるWii用の完全新作RPGで、坂口さんが18年ぶりにディレクターを務めるタイトルでもある。敵のターゲットを主人公に引きつける“ギャザリング”や、魔法を撃った後に活用できる“魔法サークル”といった独特のシステムを使いこなすことで、戦術性に重きを置いたこれまでにないバトルを楽しめるのが特徴だ。

 さらには、舞台となるルリの街が、人々の生活感、街を構成するオブジェなど、実に細かなところまで丁寧でリアルに作られているのも魅力。街を歩いていると、看板に頭をぶつけて痛がる主人公の様子などは、実に“人の息づく”感触を伝えている。

 戦闘システムや街の様子、衣装の豊富なカスタマイズ要素など、実際に坂口さんのプレイを交えて行われたプレゼンテーション。その模様は、Ustreamで見ることができる。百聞は一見にしかずなので、ゲーム内容が気になる人はぜひ配信サイト、もしくは明日12月28日午後以降に公式サイトをご覧いただきたい。

『ラストストーリー』 『ラストストーリー』
▲プレゼン中、「地形へのインタラクションにこだわりたかった」と話していた坂口さん。物陰に隠れて奇襲を仕掛けたり、柱や橋などを魔法で破壊で破壊して敵を一網打尽にしたりと、本作が戦術性の高いバトルであることも披露してくれた。
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▲猪突猛進に突っ込むとあっさり返り討ちにされるのに、ギャザリングや魔法サークルなどを駆使して戦術的に戦うとラクに勝てる。戦術次第で勝敗が変わるバトルシステムであることが、坂口さんのプレイで紹介されている。

 ここでは、プレゼン後に坂口さんから聞いた内容を掲載する。坂口さんが、プレゼンにどのような経緯で臨んだのか、どのような決意を持って本作を作ったのか、知りたい人は一読してみてほしい。

『ラストストーリー』 『ラストストーリー』
▲ゲーム中、重要な場面で聴くことができるというカノンさんの歌も最後に披露された。▲フォトセッションも行われた。左から、プレゼンに出席した坂口さん、サウンド担当の植松伸夫さん、コンセプトアート担当の藤坂公彦さん、制作担当の松本卓也さん。

――今回のプレゼンテーションは事前の告知が大々的に行われましたが、どなたのアイデアなのでしょうか?

 ストリーミングのライブをやろうというのは、告知も含めて任天堂さんのプロデューサーの方が考えました。今回のような形は、僕もあまり聞いたことがないし、思いつきもしなかったのですが、話を聞いた後は「こういったネットワークの発達した時代にはアリだよな」と思って、やりました。

――ちなみに、岩田社長が来られることは本当に知らなかったのですか?

 本当に知らなかったですよ!(笑) でも、来ていただけるのはありがたいことだと思っています。

――プレゼン中、「これでダメなら最後の作品でもいいのかな、という思いで作った」という言葉もありました。

 内容に関しては、自分では120%作ることができました。けれど、この作品の評判がよくなければ、僕の感覚が時代とズレてきているということだと思います。だとすれば、生涯ということはなくても、しばらくゲームを作るべきではないのかなと考えています。そういう気持ちで自分の出せるものはすべて出したので、ぜひ遊んでもらって(おもしろいかどうかを)ジャッジしてほしいですね。

――今回、18年ぶりにディレクターを務めることになったのは、なぜなのでしょうか?

 やっぱり新しいゲームシステムにしたかったので、そうすると“お約束”がないんですよ。今までのスタイルだったら「ここはこんな感じに」と指示を出すと、勝手にチーム内で作ってくれますけれども。いったん、これまでのものを壊して再構築しようと思うと、組織ごと再構築しないといけないんですね。なので私が、現場に近いディレクターを担当することにしました。

『ラストストーリー』

――『ラストストーリー』のテーマは何ですか?

 “仲間”が今回のテーマですね。たとえばさっきのプレイでも、ダンジョンの中で仲間がしゃべっているのが聞こえてきたと思うんですよ。今回、ゲームを遊んだ後に、周りにいる仲間が生きていて、自分の友だちに思えてくる時があるんですね。だから「あの仲間たちと冒険できてよかった」と、遊んでくれた人が思えたらいいなと思っています。

――ダンジョン中の仲間の会話や仲間とのイベントのボリュームは、どのくらいあるのでしょうか?

 比較対象はないですけれど、かなりありますね。たとえば、ダンジョンの中であれば、ダンジョン内の状況に応じて仲間たちがいろいろ話をしてくれるんですね。そういうくだらない会話がたくさんあることで、ライブ感やノリにつながっているのではないかなと思っています。

――会話の内容はダンジョンの進捗にあわせてのものですか?

 そうです。基本的にダンジョンの進み具合に応じて話をしてくれますが、ダンジョン内の道が分かれていて、片方を進むともう片方の話は聞けない、みたいなことはあります。後半は、かなりストーリーにかかわる会話も増えてきますね。

――プレゼン中、バナナを投げて転ばせているシーンもありましたよね。

 バナナは、プレゼンで紹介した以外にイベントにも絡んでいます。鼻持ちならない貴族がお茶をしている横で、ウエイトレスが「あんな人たちバナナですべっちゃえばいいのに」みたいなことを言うんですね。それで貴族たちをバナナで転ばすと、その子がお礼をくれるんですよ(笑)。街の中は、くだらないことでもたくさん出来事があった方が活気が出ると思って、くだらないことをたくさん入れました。

――ゲームを制作し終えての感想をお聞かせください。

 もともとは、もっと早く終わる予定だったのですが、「これ(『ラストストーリー』)をいいものにしようよ」ということでスケジュールを延ばしていただいて、すごく丁寧に作れたことは、任天堂さんにとても感謝をしています。それとゲームというのは、最後はバグとの戦いになります。いつもは原因不明のバグが残るんですけれど、それも今回はきれいにとれましたし、バグがとれてよかったという安心感は、ゲームを作り終わってありますね。

(C)2010 Nintendo / MISTWALKER

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