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2011年1月25日(火)

【洋鯨亭 44回】前作を上回る完成度! Xbox 360『マスエフェクト2』レビュー

文:電撃オンライン

【洋鯨亭 44回】前作を上回る完成度! Xbox 360『マスエフェクト2』レビュー

 こんにちは。洋ゲー紹介所“洋鯨亭”のRONです。以前お知らせしましたように、今回は壮大なスペースオペラ作品、エレクトロニックアーツが開発し日本国内ではマイクロソフトが販売するXbox 360用SFシューティングRPG『マスエフェクト2(以下、2)』をご紹介しましょう。

 昨年末に掲載した第39回では、『2』の発売前に世界観がわかっていたほうがいんじゃないかなと思い、前作『マスエフェクト(以下、1)』の紹介をさせていただいたわけなんですが、あらためて本作をプレイしてみたら、一層その思いが強くなりました。

 その理由には、もちろん“シリーズを通しての世界観がわかるから”ということもあるんですが、それ以外にも前作で一緒に戦った仲間との再会により、懐かしさや感慨深さが味わえるからなんです。

 本作では仲間たちの過去に深くかかわる内容のミッションが用意されていて、それをプレイすることで各キャラクターへの理解が深まるようになっているんですね。そのため、ゲーム中での再会は思わず「おぉ!」という気持ちにさせてくれるんですよ。大げさに言えば、昔よく遊んでた友達と、久しぶりに会った時の感覚に近いワケです。

 今回はこの辺のお話も含めて、『2』の魅力をご紹介していきましょう。あ、本作の基本的なシステムなどについては『1』を踏襲しているので、第39回をご参照くださいね。

【洋鯨亭 44回】前作を上回る完成度! Xbox 360『マスエフェクト2』レビュー
▲まるで海外のSFドラマを観ているようにストーリーが楽しめた『1』の続編。もちろん『2』も、丁寧な作りでしっかりとした内容を楽しませてくれます。

■『マスエフェクト』で構築された世界がさらに広く! 深く!

 『2』の内容に触れる前に、まずは前作『1』のお話をおさらいしておきましょう。

 前作の物語は遠い未来の世界、2183年が舞台でした。この時代の人類は宇宙に進出し、火星で発見した未知のテクノロジーにより他の星系への航行技術を獲得するまでになっています。人類は異星人とのファーストコンタクト~戦争を経て、様々な種族が参加する宇宙連合“シタデル評議会”に加盟。

 しかし新参者であるために発言力が弱かった人類は、議会での地位向上に努めなければならない状況にありました。そんな折、スペクターと呼ばれるシタデル評議会から任命された捜査官の1人“サレン”の裏切りによって、人類を含む種族は滅亡しかねないほどの脅威にさらされることになります。こういった状況下で、主人公“シェパード”は人類初のスペクターに任命され、仲間とともにサレンの野望を打ち砕くべく宇宙を飛び回ることに! ……というような物語でした。

 これから改めてプレイする方のために細かいところまではあえて書かないようにしますが、『1』のエンディングでは主人公と仲間の活躍で(とりあえず)宇宙の危機が去ったことになっています。

 さて、前作は地球人以外にも様々な種族が登場し、その造形のユニークさに感心させられるとともに、種族ごとに細かく設定された生活環境、文化、政治的背景などの緻密さに驚かされたものです。

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▲『2』には前作よりも多くの種族が登場します。写真は本作で新たに登場する種族・ドレルの“セイン”というアサシン。ドレルは人間と爬虫(はちゅう)類を掛け合わせたような種族です。彼は病に冒され自らの死期が近いことを知っているためか、どこか達観した性格をしています。▲こちらは、サラリアンという種族の“モーディン”。豊富な科学知識を持っているだけではなく、戦闘もこなすことができるという戦う研究者です。

 本シリーズならではともいえるこの凝った設定は、重要なイベントすらない辺境の惑星1つや、この世界の科学技術にもおよんでいて、それらの設定テキストをすべて読んでいたらゲームの進行が滞るほどの分量になります(苦笑)。もちろん、読まなくてもメインストーリーの把握には影響を与えないものがほとんどですし、滞るというのは設定を読み解くのが楽しすぎてついついハマってしまい、イベントが先に進められないという意味なんですけどね。

 なので、緊張の戦闘シーンなどで疲れた時にふと骨休めに読んでみるとか、ゲームを進めていてわからない単語が出てきたら関連情報を見てみるという読み方でもいいと思います。いきなりたくさんの情報を詰め込んでも、混乱するだけですから。

 それでも、じっくり読んだら読んだで自分の中に『マスエフェクト』の世界が重層的にできあがってくるという楽しみが味わえることでしょう。

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▲ミッションを進めたり会話をしていくと、新しい用語が出てくることがあります。それらはメニューの“コーデックス”の項目から確認することが可能です。『1』をプレイされた方にはおなじみの情報ですね。

 つまり、本作は敵との銃撃戦をメインにしたシューティングRPGを期待している人も、SF作品らしく作り込まれた世界観を楽しみたい人も満足できる作品なんですよ。

 設定の細かさや、それにともなう情報の多さは『2』でも継承されている点なんですけど、前作を遊んでいる場合はその知識に『2』の新たな設定を上乗せしていく形で見ていけばいい分、テキストのボリュームに対する理解のしやすさは前作以上になると思います。

 なので個人的には、物語を理解しやすくなるという点からも、ぜひ前作をプレイしておいてほしいなと思ってしまうんですよね。

 他にも『2』は『1』のセーブデータを参照して、『1』で作ったキャラクターの性別や容姿の他、自分の選択によって起こった出来事(重要な分岐内容)を引き継いだ形で物語が展開するというおまけがあります。こういったデータの引継ぎは、『1』と『2』がきちんとつながった物語であることを強く意識させてくれて、いい試みだなぁと思いました。せっかく『1』でシナリオに分岐があって、プレイヤーによって違う展開を見せてくれるゲームなのだから、『1』の結果が『2』でリセットされてしまうのも惜しい気がしますしね。

 ところで、冒頭から前作をプレイすることをしきりにオススメしていますが、一応本作では『2』から始める人でも楽しめるよう、しっかりと救済策が用意されているんです。次はその点についてご説明しましょう。

■オープニングからドラマチック

 先に書いたような引継ぎシステムがあるにもかかわらず、なぜ『2』から始めても問題がないのかというと、それは『2』のストーリー内容にあります。

 『2』は前作の2年後の物語になっていて、シェパードの乗った宇宙船・ノルマンディー号が人型昆虫といった風貌(ふうぼう)の“コレクター”という種族から激しい攻撃を受け、木っ端みじんに破壊されてしまうところから始まります。

 ノルマンディー号は、地球の最新鋭宇宙船。前作では惑星探索や敵との戦闘にも大活躍した愛着のある機体です。これが一瞬で破壊され、乗り組み員は命からがら脱出することになるのです。

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▲コレクターの宇宙船が放ったエネルギー兵器により、ノルマンディー号は無残にも大破してしまいます……。

 しかし、脱出に手間取る仲間を助けるために崩れ行く船に残ったシェパードは最後の爆発に巻き込まれ、そのまま船外に吹き飛ばされて広大な宇宙を漂うことになります。その後、奇跡的に発見されはするものの……なんと、すでにシェパードは死亡していたのです。

 ……と、思わず「おお、オープニングからしんでしまうとはなにごとだ」と某RPG的なセリフの1つも言いたくなるほどの急展開ぶりに驚かされてしまいました。ちなみに、シェパードの遺体を発見、回収したのはシタデル評議会ではなく、サーベラスという軍事企業。そしてサーベラスはこの後、とある理由から研究部門によりシェパードを肉体を再構築、そして蘇生するための計画“ラザラスプロジェクト”を密かに進めることになります。

 それから2年、秘密裏に進められたこの計画は無事に成功を収め、シェパードはこの宇宙に復活させられたというわけなんです(前作のセーブデータから容姿などが引き継がれるのは、復活にあたって様々なパーソナルデータを使っているというプロジェクトにもリンクするようでおもしろいですね)。

 ところが、復活までに要した2年の間に、シェパードを取り巻く状況は大きく変わっていました。前述のノルマンディー号を襲撃した敵・コレクターによる攻撃は、地球人の住むコロニー全体におよんでいますし、かつてのノルマンディー号のクルーはバラバラに活動しています。中には、すでに亡くなってしまった仲間もいるんです。ノルマンディー号襲撃事件の後、クルーたちはそのまま転属して他の宇宙船に乗っている、というわけではなかったんですね。

 そのため、本作でのシェパードの雇い主にあたるサーベラスの出資者“イルーシブマン”をはじめ、行動をともにするサーベラスの職員“ミランダ”や“ジェイコブ”など、シェパードのまわりにいる人物に関しては知らないことばかりです。

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▲イルーシブマン(幻の男)というコードネームで呼ばれる、サーベラスの出資者。多額の資金を投入してシェパードをよみがえらせた目的とは……?

 つまり、物語冒頭の時点でかかわるのは新キャラクターばかりですから、前作をプレイしていてもいなくても大きな影響はないというわけなんですよ。また、シェパードが他のキャラクターから昔のこと(前作のこと)を聞かれた際には、前作をプレイ済みの人向けと、未プレイの人向けの選択肢が同時に表示されるようになっています。

 前作を遊んでいれば的確な答えを返せばいいですし、未経験ならあいまいな答えを選んでしまった場合も“復活の影響でシェパードの記憶が混乱している”と思わせる演出を使いながら会話を先に進めていけるんですよ。プレイヤーとゲーム内のキャラクターに「復活したばかりだから記憶の混乱もあるだろう」と思わせる演出が、しっかりとなされているんですね。これはおもしろい解決策だなぁ、と思いました。

 主人公はこんな感じで各所をまわりながらかつてのクルーと再会し、時には再び仲間に加えながら、新たな敵・コレクターと戦うことになる、というのが『2』のストーリーです。

 シタデル評議会から任命されたスペクターという立場から、今度は評議会から危険な集団としてマークされている軍事企業・サーベラスに属することになったシェパードの立ち位置の変化と、それによって起こるかつての仲間との軋轢(あつれき)など、前作から引き続き登場する仲間とのやりとりも見どころです。

 また、本作では新たに主人公に善の“パラゴン”と悪の“レネゲイト”というパラメーターが設定されていて、会話や選択肢の内容によって変化していくようになっています。しかも特定の会話では会話を中断させて相手を攻撃したり、命を救ってあげるなど、善悪の基準で異なる展開に持っていくことができるようになっていますから、会話の重要度は前作以上のものに感じられるでしょう。

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▲パラゴンとレネゲイドにかかわる選択は会話場面の右下か左下に突然現れます。対応するボタンを押せば実行になりますが、どうするのかは一瞬で判断しなければなりません。画像は敵に攻撃されそうな場面で、先に撃つかどうかを問われている場面です。

→前作からの変更点は? 気になるポイントをチェック!(2ページ目へ)

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