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2011年2月12日(土)

『アイドライジング!』で闘うアイドルをカワイく描いた広沢サカキ先生を直撃!

文:電撃オンライン

 『アイドライジング!』で、第17回“電撃小説大賞”の金賞を受賞した広沢サカキ先生にインタビューを行った。

広沢サカキ先生インタビュー

 『アイドライジング!』は、アイドルたちが闘うショー“アイドライジング”に参加することになったヒロイン“アイザワ・モモ”と、彼女をサポートし一流のアイドルに育てようとするちびっこお姉さん“オウダ・サイ”の奮闘を描いた熱血系アイドルストーリー。アイドライジングに参加するアイドルたちは、特殊な力を秘めた戦闘用スーツ・バトルドレスの力を駆使して闘う設定になっており、ただ単に力と力でぶつかり合うだけではないバトルシーンも見どころの1つとなっている。

 それでは以下で、広沢先生と担当編集へのインタビューをお届けしていく。(インタビュー中は敬称略)

■ 応募理由はライトノベルが好きだから! ■

広沢サカキ先生インタビュー
▲広沢サカキ先生……ではなくこの日身に付けていたアイテム。

――それではまず、なぜ電撃大賞に応募しようと思ったのか、小説を書こうと思ったのかを聞かせていただけますか?

広沢:小学生のころから、いわゆるライトノベルを読んできたことが大きな理由です。そのころにはまだライトノベルという言葉も定着していなくて、ファンタジー小説というくくりだったんですが。

――具体的にはどのような作品を読んでいましたか?

広沢:『スレイヤーズ!』シリーズや、『魔術士オーフェン』シリーズです。以来、中学高校と読み続けていました。また、ライトノベルではありませんが、ここ2~3年は伊藤計劃さんの作品をよく読んでいます。

――ありがとうございます。こうした作品が好きだったことが応募した理由だったんですね。ちなみに、小説以外だとどういったものをご覧になっているんですか?

広沢:特撮やアニメなどです。早い子だと小学校を卒業するくらいで見るのをやめてしまうんでしょうけど、ずっと見ています。

――特に好きだった作品はありますか?

広沢:そうですね、作品の完成度で言うなら『プラネテス』、個人的な好みで言うなら『ラーゼフォン』ですね。

――ちなみに、『ラーゼフォン』は映画版とTVアニメ版とがありますが、どちらがお好きなんですか?

広沢:映画版ですね!

――お、即答でしたね。その理由は?

広沢:あの終わり方がとてもよかったです。まだ見ていない人はぜひ見ていただきたい作品でした。他には、最近の作品ですと『探偵オペラ ミルキィホームズ』でしょうか。あれはよかったですね。

■ “お約束”はとても大事! ■

――なるほど。『アイドライジング!』にも、そういった先生の趣味嗜好が反映されているのでしょうか?

広沢:はい(笑)。これは2作目になるんですが、今になって考えてみると、最初に書いたものもやっぱり自分の趣味嗜好が大きく反映されていた気がします。

――作品のどのあたりに自分の趣味嗜好が大きく反映されていると思いますか?

広沢:彼女たちが闘う時に着るバトルドレスのギミックなどでしょうか。特撮やアニメって、必殺技を出すまでに間があって、それを律儀に相手が待ってくれるじゃないですか。そのお約束的な流れが好きなんですよね。いやまぁ、ツッコむ人はツッコむ部分なんですが(笑)。

――確かに、作中でもそういった“お約束”を大切にするようにと、あるキャラクターが注意するシーンもありますもんね。

広沢:ええ。そういう様式美が好きなんですよ。でも盛り込むのであれば、できるだけ不自然に見せないようにそれをやりたいと思ったんです。先ほど「ツッコむ人はツッコむ部分~」と言いましたが、それは当然ある疑問だと思っていますので。ですから、そのお約束を必ず見せるための設定も用意しました。

――そうですね。あの設定は確かにこういった“お約束”を、“アイドライジング”の試合においてなくてはならないものにしていましたよね。

広沢:はい。

――作中に技名がでてきますが、この音声はバトルドレスから出ているんですよね?

広沢:その通りです。

――それはやっぱり、最近の特撮の影響も……。

広沢:はい! 平成ライダーは大好きです!!(笑)

――これまた即答ありがとうございます(笑)。本作のもう1つの要素に“アイドル”というものがありますが、なぜアイドルとバトル要素とを絡ませようと考えたのですか?

広沢:どちらも書きたい要素としてあったんですよ。けれど「女の子でガチバトルってちょっと……」と思う人もいると思うんです。そこで、ただ闘うというのではなく“バトルドレスを駆使して”というポイントを加えてエンターテインメント性をアップさせようと。

――確かに、読み進めていく途中でこちらも「ああ、人が死ぬというシリアスな展開にはならないんだろうな」という予測をなんとなく立てて読むことができました。

担当編集:ショーだから、といって戦闘にまつわる緊張感が薄れているかというとそうでもないので、そのあたりは楽しんで読んでもらえると思っています。

――出てくるアイドルたちの特技も個性的でしたよね。

広沢:駆け引きを見せたいということもあるんですけど、あまりに必殺技が強くなっていきすぎて、いわゆるインフレみたいなものになってしまい、展開が大味になるのがイヤだというのがあったんです。ですから、この作品では“必殺技は本当に一撃必殺!”とルール上で設定してしまい、それぞれのドレスが持っている特技を駆使して“いかに必殺技を当てるか”というアプローチでバトルを描いています。

――ここでちょっと、本作の設定資料がいくつか出てきたんですが、これを初めて見た時の印象は? お気に入りのものはありますか?

広沢:全部お気に入りなのですが……。イラストを見たことでイメージが固まったのは、“アイドライジング”でトップクラスに位置するアイドル・エリーですね。彼女のドレスにはヘッドマウントディスプレイのようなものが組み込まれているのですが、上がってきたイラストを見たらそれがあまりゴテゴテしたものになっていなかったんですよ。これはスゴイと思いました。

担当編集:そこは絵師さんのセンスに任せていました。バトルものというよりは、コスプレチックでカワイらしいイメージなので、読む人も楽しみの1つにしてもらいたいと思いまして。

――広沢先生から何か絵師さんに注文したところってあるんですか?

広沢:まったくありませんでした。要素だけを抽出してもらって、あがってきたものを見せていただいたら、素晴らしい出来でした。

 →お気に入りのシーンやキャラクターは?(2ページ目へ)

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データ

▼『アイドライジング!』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2011年2月10日
■定価:578円(税込)
 
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