2011年2月13日(日)
――さて、ここからはすこし話題を変えて、兎月先生の趣味なども聞いていきたいと思うのですが……。
兎月:助かります! こっちのほうが話しやすいかもしれません……とは言っても、社会人になってからは、いわゆる社畜状態だったりするのですが(笑)。
――では、あまり趣味に時間を割いてははないといった感じですか?
兎月:小説の執筆というのが最大の趣味なんですけどね(笑)。
――それは盲点でした!
担当編集:これからは趣味とはちょっと違ったものになるかとは思いますが(笑)。
兎月:はい(笑)。えーっと、趣味ですよね。昔はバイクのチューニングをしたり、電子工作をしたり、みんなで二足歩行のロボットを作って“ROBOCON(※ロボットのコンテスト)”に出場したり……。といった感じですね。
――ロボットですか!
兎月:はい。大学生のころに“ROBO-ONE”という二足歩行ロボットによる競技大会がちょうどはじまったんですよ。それに出場しようとロボットを作ったりしました。レギュレーションを満たすことができずに出場できなかったり(笑)。
――作品にロボットが出て来たりはするのでしょうか?
兎月:それはなんとも言えませんが、いずれ出してはみたいですね。ロボットは好きですので。他には“研究者の業の深さ”も描いてみたいとは思いますね。私自身は浅いのでなんとも言えませんが(笑)。
――『アンチリテラルの数秘術師』では、そうした部分も描かれていたように思いますが?
兎月:そう言っていただけるとうれしいですが、もっともっとしっかりと描いていきたいですね。で、他に趣味は……。
担当編集:参考書をたくさん集めてらっしゃいますよね。
兎月:ああ、忘れていました!! 参考書を集めるのは確かに趣味かもしれません。我が家の本棚には怪しい参考書がたくさんあります。アイデアが出ない時にながめてみたり。
担当編集:この間持ってきていただいた『数秘術大全』は、なかなか持っている人はいないと思いますよ?
――あれ? 数秘術というと、本作のタイトルにもなっていますよね?
兎月:そうです。実は、数秘術って本当に存在する言葉なんですよ。
――そうなんですか!?
担当編集:最初に知った時はビックリしました。
兎月:今日では、いわゆる占いの一種なんです。あらゆるものに数字の関係性を見いだして、そこから世界の真理を読み解くというものですね。わかりやすいところだと、誕生日占いや姓名判断などですね。作中に使われている言葉は、だいたい実在するもので、調べてみると「ああ、本当はこういう意味なんだ!」といった具合に楽しめるかもしれません。
――参考書をよくお読みになっているようですが、いわゆるライトノベルなどは読まないんですか?
兎月:こうなる前は『ブギーポップ』シリーズなどを読みあさっていましたね。最近はそんなに読んでいないので、読まないとなぁとは思っているんですが。ちょうど『スレイヤーズ!』シリーズや、『魔術士オーフェン』シリーズなどが一世を風靡していたころで、私は『オーフェン』から読み出した口です。
――電撃大賞に送る上で注意した点などはありますか?
兎月:そうですね……。自分で書いてきたモノを見直してみると、いろいろな要素を詰め込みすぎるきらいがあると思ったんですよ。
――そこを減らしたと。
兎月:あとは読ませるためのテンポですね。前の作品では冒頭の60ページを割いて日常の描写をしていたのですが、こういったものを減らして、20ページくらいで物語を動かしてみたりしました。
担当編集:そうですね。読んでいてもそのあたりは意識できていると思いましたね。おもしろく読めました。
兎月:おおっ!
――どうしましたか?
兎月:初めてほめられました(笑)。
――そうなんですか(笑)。担当編集と改稿作業などもしてきたと思うんですが、これは今回初めての経験ですよね?
兎月:ええ。
――作業のほうは順調でしたか?
兎月:はい! 楽しかったですね(笑)。だんだん自分の書いたものがゲシュタルト崩壊していって、字ではなくて絵に見えるようになったり……。
――ええと、失礼ですが決して楽しそうには思えないのですが……。
兎月:大変でした(笑)。現在は誠一メインの視点に落ち着いていますが、最初の応募原稿はさまざまな人物の視点が入り交じっていたんです。それとタイトルですね。元々は『アンチリテラルの数学』というものでしたが、それだと固すぎるということで、今の形に変えたり。
――そうした作業のかたわらで、ドラマCDの収録にも立ち会われたそうですが、こちらはいかがでしたか?
兎月:「はかなげな印象」ということで、花澤香菜さんにヒロインを演じていただいたんですが、すばらしかったですね。まるで自分の作品じゃないみたいでした。不思議なもので、いざ音声になってみると文字の時と印象が違ったり、「ああ、こんな恥ずかしいこと言わせてたのか……」と思ったりしました。
――読んでいるとそんなに恥ずかしいところがあるようには思いませんでしたが?
兎月:それは聞いていただければわかります(笑)。誠一は羽多野渉さんに演じていただいたのですが、最初に演技を聞かせていただいた時に、ちょっとドライすぎるかな、と感じたんです。それを伝えたところ、完璧にこちらのイメージを理解してくれて、やっぱりプロの声優さんはスゴイと感心して聞いていました。
――それでは最後に、本作を読んでくれるであろう読者にメッセージをお願いいたします。
兎月:“数”を使って戦う能力バトルをお楽しみください! 数学がわからなくても楽しめますので、ぜひぜひ読んでみてください。
――ありがとうございました。
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