2011年3月11日(金)
さて、直前のページに若林さんのカードプールを掲載しましたが……なかなか難しそうなカードプールですね。では、ここでデッキ構築をする前に、まずは『ミラディンの傷跡』ブロックのリミテッドでよく組まれるデッキタイプを紹介していこうと思います。
リミテッドでは、パックから出たカードを使ってデッキを組むので、とにかく強いカードを順番に入れた、場当たり的なデッキ構築になると思われることもあります。事実、そうしたデッキが強いことも確かにあるのですが、それだけでは勝てないこともあるのが『MTG』です。
実際にはブロックに登場する能力やカード間の相互作用により、いくつか有力なデッキタイプが存在し、おおむねそのいずれかに属するデッキを構築することになります。『ミラディンの傷跡』ブロックのリミテッドでよく見かけるデッキタイプは感染・金属術・コントロール・大型クリーチャーデッキの4種類です。それぞれどんな形になるのか見てみましょう。
“感染デッキ”は主に黒と緑で組まれるデッキで、必要なカードがそろっていれば無類の強さを発揮します。『ミラディン包囲戦』で例を挙げると、《荒廃後家蜘蛛》や《ヴィリジアンの堕落者》《肉食いインプ》あたりが優秀な“感染”クリーチャーに該当します。
さらに、手札を増やすカードが少なかった『ミラディンの傷跡』ブロックにおいて《腐敗狼》《病的な略取》といったカードを手に入れたことも大きなプラス材料です。また、地味なところですが最後のひと押しをするカードとして《ミラディンの血気》や《迫撃鞘》の追加も忘れてはならないところです。
“金属術デッキ”は、大量のアーティファクト・カード(40枚デッキのうち14枚程度)と赤白のカードで構築されます。もちろん入れられるのであれば、もっと多くアーティファクト・カードがあっても構いません。『ミラディン包囲戦』では《銅の甲殻》などのマナ・コストが軽くて強力な装備品や《回転エンジン》《主の呼び声》などのデッキタイプにあったカードを多く得ました。また、ファイレクシア軍のカードになりますが“生体武器”カードも“金属術”と相性がいいですね。
“コントロールデッキ”は、ややデッキタイプがあいまいですが、主に青と他に1色、それにアーティファクトを加えて、主にドラフトで構築されるデッキです。2色目に求められるのは除去で、赤や白が選ばれることが多いです。
デッキのコンセプトとしては“感染”や“金属術”デッキに入らないカード(つまり、ドラフトでは流されがちなカード)を使ってデッキを組むというもので、その代表的な例としては《空長魚の群れ》や《屑鉄潜りの海蛇》《炎生まれのヘリオン》などが挙げられます。『ミラディン包囲戦』からは軽い打ち消しである《鋼の妨害》、そして《火膨れ杖のシャーマン》《ルーメングリッドのガーゴイル》などが新規戦力として期待できそうです。
“大型クリーチャーデッキ”は、一部では“怪獣”とも呼ばれており、その名の通り巨大クリーチャーによって相手を踏みつぶすデッキで、緑を中心に組まれます。こちらも“感染”や“金属術”デッキには入らないカードでデッキを組めるのが特徴です。
《最上位のティラナックス》のようなサイズの大きいクリーチャーの攻撃を、除去呪文や《刃の翼》などのカードで補佐していきます。『ミラディン包囲戦』では軽いクリーチャーとして、土地を増やせる《ヴィリジアンの密使》、アタッカーとして《ファングレンの匪賊》や《メリーラの守り手》といったカードを手に入れました。
では、以上のような4つのデッキタイプがあることをふまえて、改めてカードプールを見てみましょう。すると、《マイアの戦闘球》や《決断の手綱》といったパワーカードはそこそこあるものの、全体的にちぐはぐな印象を受けるカードプールだということがわかります。
▲どうにかして、この2枚のパワーカードを生かしたいところなのですが……。 |
緑と黒に感染クリーチャーがある程度いるものの、いまいち決め手に欠けるプールです。また、プレイヤーにダメージを通すための除去として使えそうなカードがあまりないのもツラいところですね……。で、若林さんが組み上げたデッキがこちら。
17 土地 | 16 クリーチャー | 8 その他の呪文 |
7《沼》 7《島》 2《平地》 1《闇滑りの岸》 |
1《ファイレクシアの憤怒鬼》 1《伝染病の屍賊》 1《胆液の鼠》 1《黒割れのゴブリン》 1《肉食いインプ》 2《眼魔》 1《ヴィダルケンの解剖学者》 1《謎の原形質》 1《ミラディン人のスパイ》 1《銀のマイア》 1《鉛のマイア》 1《鉄のマイア》 1《危険なマイア》 1《ダークスティールのマイア》 1《マイアの戦闘球》 |
1《悪性の傷》 1《汚れた一撃》 1《形勢一変》 1《きらめく鷹の偶像》 1《転倒の磁石》 1《大量破壊の網》 2《縒り糸歩き》 |
青黒の感染デッキですね。全体的にマナ・コストの軽いカードを採用し事故の可能性を減らしています。色マナの要求が少ないものを選んで投入したとのことで、堅実なデッキ構成になっています。しかし、やはり全体的に有用な除去がなく、相手の大型クリーチャーに対処する方法がありません。さらに攻撃の手が細く、勝つまでに時間がかかってしまいそうなことも弱点と言えるでしょう。実際、このデッキで何度か対戦してもらったのですが……残念ながら結果は全敗!!
▲普段は友人とプレイをされているという若林さん。結果は残念でしたが、マナの支払いや攻撃などの手順をていねいにやっていました。いつも「オラくたばれ!!」とか「なめんな、カウンターじゃ!!」とか言いながら乱暴にプレイしているムサい参加者たちも皆、この日ばかりはていねいなプレイングを心がけていました。いいことですね。 |
今回の敗因には貧弱なカードプールだけでなく、私が《肉体と精神の剣》+《ボーラスの工作員、テゼレット》の神話レアパワー全開デッキだったり、カネキングが《宝物の魔道士》+《飛行機械の組立工》コンボ内包デッキだったりと、デッキパワーが高めだったこともあります。
しかし、投入すべきカード――たとえば《決断の手綱》などがそうでしょう――が抜けていたり、勝ちにいたるプロセスがあいまいだったりと、このデッキを改造するポイントはいくつかあります。次回は、具体的なデッキ構築の方法を説明しながら、このデッキを改造していこうと思います。実際に強くなるのは若林さんのデッキですが、結果として“デッキ構築力を上げたい”という、てけおんの要望は満たしているはずなので問題ありません。
皆さんも“自分だったらこのカードプールでどういったデッキを組むか”を考えながら次回をお待ちくださいませ。思いついたデッキ案がありましたら、下のアンケートフォームから送ってみてくださいね~。
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[Text by ねこひげ合同会社/ゆば]