2011年2月26日(土)
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『レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア』には、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれます。
CERO:Z(18歳以上のみ対象)
※18歳未満の方は購入できません。
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Take-Two Interactive Japanから2月10日に発売された、PS3/Xbox 360用ソフト『レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア(以下、RDR:アンデッド・ナイトメア)』。アメリカのロックスター・ゲームスが手掛けた自由度の高いこのアクションゲームを、電撃オンライン編集部のkbjがレビューする。
いきなり質問します。ゾンビ、好きですか? 自分は、夢にゾンビが出てきて、必死で逃げまわり、追い詰められてイヤな汗をかいて飛び起きるということを、何度も体験するほど好きです。えっ? 「それで好きなのか?」って!? 不思議なことに好きなんですね。作品によって違いますが、彼らは人間だった時の記憶や慣習を少し覚えていて、どこか人間っぽさがあるという設定に、たまらなくワクワクします。
そんな自分が興味を持っていたのが、この『RDR:アンデッド・ナイトメア』。理由は単純で、オープンワールドなゲーム性を確立した『レッド・デッド・リデンプション』の世界に、ゾンビが登場するという、1+1が3にも4にもなったような感覚があったからです。
本編である『レッド・デッド・リデンプション』は、その自由度の高さから、全世界で爆発的なヒットを記録した作品。西部劇のような世界を舞台に、主人公のジョン・マーストンは人質に取られた家族を救うため、いろいろな冒険をしていきます。
その特徴は、なんといっても自由度の高さとリアルな世界観。ストーリーがあるので、特定のミッションをこなしていくと物語は進行するのですが、馬に乗って草原や荒野を走っているだけでも楽しく、動物を狩ったり、空を眺めたりして、この世界を満喫していました。
▲広大な世界で、自由な冒険を楽しめる『レッド・デット・リデンプション』。世界観の魅力もさることながら、音楽やガンアクションもかなりカッコいいので、没頭できます。 |
そのダウンロードコンテンツとして配信された4種をまとめたものが、『RDR:アンデッド・ナイトメア』です。ポイントは、タイトルにもなっている“アンデッド・ナイトメア”でしょう。正体不明の疫病が蔓延(まんえん)し、死者であふれかえった世界で、ジョン・マーストンは治療法を見つけるため、走り回ることになるのです。
プレイして感じたのは、ゾンビがとにかく元気だということ。ゾンビはイキがいいのか、頭以外を撃っても倒れにくいのです。フレッシュ・ゾンビは、数多く大量で押し寄せてきます。タイマンであれば対処できるのですが、1匹を相手していると、右から左から、そして後ろからも押し寄せてくるので、銃を使い素早く頭を打ち抜くのがいいかと。あとは、一定時間スローモーションになる“デッドアイ”で複数のゾンビの頭を狙っていくのも有効です。
他にも、俊敏な動きが特徴のボルター、大柄で攻撃力の高いブルーザー、酸を飛ばしてくるレッチャーがいます。やはり1体ならば問題ないのですが、複数で襲ってきたり他のゾンビと組み合わさったりすると、とにかく厄介。ボルターは攻撃に弱い、といった弱点をうまくついて、早めに数を減らしたほうがいいですね。
▲特徴が異なるゾンビ。多量に出てきたあげく、動きがすばしっこいので、パニックにならないように。中でも、ボルターは真っ先に倒していく方がいいかと。 |
▲原作では、お金を払えば弾薬を買えたのですが、本作ではゾンビを倒して弾薬を入手することになります。序盤は足りなくなるので、ゾンビの数が少ないなら投げ縄を使うのがオススメです。 |
▲ゾンビを浄化するためには墓場にある棺を燃やす必要があるのですが、墓場は当然ゾンビであふれています。火を放った後、ゾンビを全滅させる前に墓地から出ると、「中に戻れ!」と指示されるのですが、戻ることを拒みました。 |
個人的に、『レッド・デット・リデンプション』らしさ、ロックスター・ゲームスらしさを、身勝手な人間たちに対して感じました。町がゾンビであふれている状況なのに、話も聞かずに自分たちの意見を押し付けてきたり、仲間同士でいい争いをしていたり……。こんな状況こそ、人となりが出るのですが、パニックになっているのか、どいつもこいつも勝手なことばかり言っていて、思わず笑ってしまいました。
また、忘れてはいけないのは、狂気に取り付かれた人たち。草原で生活している住人の1人に、ゾンビになった奥さんに首輪をつけてペットのように飼っている人がいました。どうやら、こんな状態になっても彼女を見捨てることができず、新鮮な肉を与えて保護しているとか。
「ご苦労様ですね」と会釈して横を通り過ぎようとしたら、間違えて彼のアイテムボックスを開けてしまいました。強盗と間違えられたのか、いきなり発砲してきたので応戦した結果、彼を殺してしまいました。自分の操作ミスで悲劇が……。このままだと、奥さんも食べるものがなくてかわいそうなので、一緒に殺しておきましょう。あの世も、夫婦一緒なら寂しくないってものです。
普通の状況であれば、人を拘束することは許されないのですが、この世界の現状を考えると、こんなことはよくあるのかと思うのです。愛する人がもし突然ゾンビになってしまったら、街中がゾンビであふれかえってしまったら……。正気でいられないのも当然です。かといって、あっさり殺してしまうほど、人は割り切ることはできません。
事実、ジョンもゾンビになった自分の妻と息子をロープで縛り、家に放置してきます。部屋を出てくる時には、食事を置き、互いのことを見張るように告げているのですが、自分にはこの行為が、冗談なのか、それとも本気なのか、わかりませんでした。しかし、この原稿を書いていて1つの結論に達しました。気が狂ったかのように暴れる2人に対して、冷静すぎる対処をするジョンもまた、狂っていたのかもしれません。
▲ゾンビになった家族や友人に悩まされる人もいれば、あっさり見捨てる人もいます。もちろんプレイヤーがコントローラをにぎりながら、苦悩する状況もあります。 |
▲ゾンビになっているのは、人間だけではないです。クマやクーガー、こうもりなどの動物もゾンビに。山の中にある焚き火を見つけて、馬を止めてみたら襲われてしまい、そのまま食い殺されることも……通り過ぎればよかったと、何度か後悔しました。 |
ゲーム中に登場するキャラクターは、本編『レッド・デット・リデンプション』に登場したキャラばかり。アクが強く、素直に歓迎できないメンバーばかりですが、知っている顔を見るとどこかホッとします。また、墓場で登場するボスゾンビの中には、本編で死亡したキャラもいるので、『レッド・デット・リデンプション』をやっておくとさらに楽しめるのは間違いないです。
しかし、作りこまれた世界や多彩なマルチプレイモードなど、魅力的な世界が構築されているので、『RDR:アンデッド・ナイトメア』単品からでも楽しめるかと。ダウンロード版の配信が伸びているのは残念ですが、パッケージ版も値段に大きな差はないので、我慢できない人はパッケージ版を購入してみては?(ゾンビは好きだが、ゾンビにはなりたくないkbj)
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