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2011年3月1日(火)

【電撃ゲームス】“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”2月は『ぞんびだいすき』

文:電撃オンライン

 全国のゲーム屋さんが毎月1本、販売本数10万本以上の大ヒットとはいかないものの、実際に遊んでみてこれはおもしろいというゲームを選ぶ“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”。その2月の良作に、チュンソフトから発売されたDS用タイトル『ぞんびだいすき』が選ばれた。

 今回も、日本テレビゲーム商業組合・ゲーム販売研究会のアドバイザーでもあるライター・田下広夢氏に、その選定理由と魅力について語っていただく。

『ぞんびだいすき』 『ぞんびだいすき』 『ぞんびだいすき』

●従来のゾンビゲームとは全然違う?

 ゾンビと言えば、誰でも思い浮かべるのが『バイオハザード』。他には『レフト 4 デッド』シリーズや『デッドライジング』シリーズ、最近では『レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア』や、『龍が如く OF THE END』など、ゾンビと元々関係ないシリーズに、スピンオフの際の味付けとして、登場するようなパターンも見られます。古くは『魔界村』から、ゾンビはゲームの敵役としてスタンダードなポジションを獲得しつつあります。しかし、2月の“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”に選ばれた『ぞんびだいすき』は、襲いくるゾンビたちをちぎっては投げ、ちぎっては投げして戦うゲーム……ではなく、むしろゾンビ達を操って積極的に市民の皆さんを襲う、なんともヘンテコリンなゲームです。

●ピクミン的なおもしろさ

 『ぞんびだいすき』をひと言で言えば、DS版『ピクミン』といった感じ。ただし、操るのはピクミンではくゾンビたち。タッチペンを使って、右に左にゾンビたちを誘導し、市民の皆さんを襲ったり、アイテムを探したりします。荒野でガンマンを取り囲み、ショッピングモールで太ったおばさんと大格闘、撮影所に乗り込んでガードマンと押し問答し、街中でもお構いなしに出動する戦車にかじりつきます。中には、駐車してある車に夢中で噛みついて爆発させてしまったり、1人群れから外れてウーロウロしてしまったり、勝手気ままなゾンビもいますから、うまく操らなければいけません。

 ゾンビたちはもともと人間だった時に住んでいた牧場を拠点とし、ミッションやクエストという形で繰り出して、拾ったアイテムを食べてより強力に成長し、ゾンビをせん滅せんとする人間たちと戦いつつ、よりよい牧場づくりに励みます。また、襲った人間は仲間になることもあり、最大70人まで、ゾンビはどんどん増えていきます。たくさんのゾンビに命令して一気に人間たちを襲っていくのは、なかなか壮観。ボコボコと敵を襲う音とともに敵の体力がドドドッと減っていくのを眺めるのが楽しいんです。ゾンビ達には1人1人名前もつけることができますから、家族や友だちの名前を付けて、命令するのも楽しいかもしれません。

●ファミコン的な懐かしさ

 ゾンビを操って市民の皆さんを襲うなんて、なんだか怖そうですが、まったくもって怖い感じにはならず、むしろのほほんとしてしまうのが『ぞんびだいすき』のまた楽しいところです。なんとなくファミコンやスーパーファミコンを思い出させるドットの味わいのグラフィックで描かれるきままなゾンビ達は、なんだか怖いというよりは、カワイイという感じ。そしてもう1つ楽しいのは、音楽。これも、ファミコンチックなピコピコ音で、ゲーマーにはノスタルジーを感じずにはいられない雰囲気を醸し出します。牧場でダラダラすごすゾンビたちをなんとなく眺めていても、なかなか楽しい気分にしてくれます。

●油断するとやられるストーリー

 そして、そのドットの画面とピコピコ音に騙されて、しっかりしたストーリーなんてないんだろうなと思って遊んでいると、またやられます。基本的には壮大な物語や、重たい話はなく、コミカルで、楽しく、ライトな味わいのストーリー。でも、そんな軽い雰囲気で気軽に遊ばせておいて、ちょっとだけホロッとくるエピソードを挟んできたり、なかなか油断できません。

●コンシューマにはあまりない、リアルタイムストラテジーというジャンル

 『ぞんびだいすき』や『ピクミン』のようなタイプのゲームは、広い意味でリアルタイムストラテジーというジャンルに分類することができます。頭文字をとってRTSなんて略しますね。俯瞰(ふかん)的な視点で複数のユニットをリアルタイムに操りながら、戦術を組み立てていくタイプのゲームです。どちらかというとPC用ゲームで発売されることのほうが比較的多いジャンルで、コンシューマではあまり見かけません。ましてや、携帯ゲーム機となると、ほとんど見ないのではないでしょうか。

 でも、遊んでみるとわかりますが、タッチペンとの相性が最高なんですね。好き勝手に画面をツンツンつつくだけでゾンビを誘導して遊べます。そういう意味で、『ぞんびだいすき』はチャレンジ精神に溢れたタイトルです。そしてそんなチャレンジ精神が押しつけがましくなく、楽しくのんびりなドット絵のグラフィックと、ピコピコ音で、気軽にチマチマ遊べるというのがまた素晴らしいところです。

 これから、3DSやNGPと、携帯ゲーム機が次世代になって性能が上がっていくと、こういったゲームはより作りやすい環境になるかもしれません。こういったタイトルをきっかけに、ゲームのおもしろい世界がより多くの人に広がって、楽しんでもらえるよう、お店でもご紹介していきたいと思います。



実際の販売店での“良作ゲーム”コーナー例

 販売店での展開の一例。各お店の写真は1月の良作『不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』(DS)店頭展開のもの。

『ぞんびだいすき』 『ぞんびだいすき』
▲【大阪府/エーツー日本橋店】モニタでPVを放映。ゲーム屋さんのモニタって、数に限りがあるため各タイトルで奪い合いになるので、モニタ付きのコーナーって実は贅沢(ぜいたく)なんです。▲【愛知県/USVファミーズ笠寺】画像ではちょっとわかりにくいんですが「そこに階段がある限り!!」というキャッチがシレンファンにはぐっときますね。
『ぞんびだいすき』 『ぞんびだいすき』
▲【愛知県/お宝創庫 大府店】とにかくにぎやか。そして「1000回遊べるRPG!」をコーナー中にめぐらせています。▲【愛知県/お宝創庫 知多店】シレンだけじゃなく、マムルやチンタラといった敵キャラもいっぱい。まさにシレンワールドといった感じ。


『電撃ゲームス』

毎月の“ゲーム屋さんがえらんだ良作”タイトルは『電撃ゲームス』ゲームス データスコープ コーナーで連載中!


(C)2011 CHUNSOFT
(C)2010 CHUNSOFT

データ

▼『電撃ゲームス Vol.18』
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