2011年4月11日(月)
――ドラマCDの企画が実現し、新たなシナリオを読まれたときの感想はいかがでしたか?
Disc1のシナリオでは、ゲームの世界観とはまた違う時代のことが描かれていたので、シナリオにも状況を説明するト書きがたくさん書き添えられていて、とにかく重厚な印象を持ちました。実際に細かく読み込んでみると、本当に面食らいましたね。“新宿”とか“四ツ谷”とか現代的な地名が出てきて、「これが『ニーア』?」と何度もページを行ったり来たりしてしまいました(笑)。
もちろん最後まで読めば世界観にはしっかり納得できましたけど、とにかくいろいろと衝撃的な内容ですので、しっかりと覚悟の上で聴いていただくほうがいいかもしれません。
――ゲームの発売からだいぶ時間が経っての収録となりますが、もう一度キャラクターに入り込むのには苦労されませんでしたか?
『ニーア』という作品自体がすごく印象深かったので、すんなり入ることができました。抑えめの演技で、ここまで感情を表に出さないというキャラも珍しいですしね。
――ショートストーリーの中には、設定資料本でのみ詳しく解説された“あるニーア”も登場します。別人のような青年ニーアを演じられた印象は?
こちらは、ゲーム中の青年ニーアよりも多少感情を表に出して演じました。まだまだ青い感じ……というんでしょうか。ちょっと血気盛んで、微かな希望を捨てきれないニュアンスが伝わればいいなと思います。ゲーム中の青年ニーアはもう絶望に突き落とされて、感情を無意識に押し殺している印象なんですけど……それとはちょっと違う中途半端なところを意識してみました。
――では、深刻さからかけ離れた、Disc2収録の通称“学園ニーア”はいかがでしたか?
これについてはもう、心を広くして聴いていただかないと、と思っております(笑)。僕や岡本くん(ニーア(少年期)役の岡本信彦さん)が兄弟だなんて、一体どうなってるんだと思いましたが、他のキャラクターがわりとはっちゃけてる中では、僕の演じる青年ニーアはこのお話の中では“良心”だったのではないでしょうか。僕が抑えめにニーアであればあろうとするほど、解き放たれた周りのキャラとの温度差が激しくて戸惑いました(笑)。
――他のキャラクターはそんなにひどいんですか?
ひどいというか、個性を出しすぎてて、まったくゲーム本編とかけ離れてますからね(笑)。ニーアがゲーム本編のキャラに一番近かったかなという印象ですね。あとは仮面の王がすごくのんきな感じでほのぼのしていて。本編のシリアスさとはまた違っていていいなぁと思いました。
――ここが聴きどころだ、と思うシーンやキャラはいますか?
それはやっぱり、このドラマCDの主役と言っても過言ではないテュランでしょうね。とにかく悪い。悪いんです、ヤツは!(笑) 彼の悪意が前面に押し出されたシナリオで、台本を読んでいるだけで衝撃的でした。聴けば、こういう人物だったのかと納得せざるを得ないと思いますよ。
――では最後に、自らが演じるニーアにひと言お願いします。
んー、難しい質問ですね……なんだろう……。ああ、ゲーム本編のニーアにはこう言いたいです。「お前、もっと察しろよ」と(笑)。
――ああ(笑)。あらゆる意味で。
そう! いろいろな意味で鈍感力がすごすぎるから、彼は。そこが彼のよさではあるんでしょうし、なにかと不器用なところに親近感を覚えたりもするんですけどね。
――遊佐さんはニーアをとても大切にされているように思えます。
そうですね。おこがましい言い方ですけど、わりと自分に近いような面も感じますし。作品としてもとても心に残っているので、機会があればまた会いたいなぁと思っています。それが重苦しいものでも、学園ものでもなんだって構いません(笑)。ファンの皆さんにもこのドラマCDを聴いていただいて、より『ニーア』の世界を深めていただければと思います。
――ドラマCDの企画が実現し、新たなシナリオを読まれたときの感想はいかがでしたか?
真っ先に「台本ぶ厚いな……」と驚きました(笑)。たくさん状況の説明が書かれていたおかげで、場面を思い浮かべながら演じることができたので、それはすごくよかったなと思います。
――久しぶりのエミールとの再会でしたが、役にはすんなりと入れましたか?
そうですね。『ニーア』の開発チームの皆さんとは、ゲーム発売後もよく一緒にごはんを食べたりしてますし、横尾さんたちと狩りに出かけたり、twitterで呟いたり……かなり身近なんです(笑)。だからあまりエミールと離れていた印象はないんです。ずっと『ニーア』とかかわっている感じの1年間でしたから。
――エミールは、サントラ関係のUstream放送でも大人気ですからね。
何だか女子人気が高くてうれしいです。ひょっとしたら私が今まで演じたキャラクターの中で、一番女子人気が高いのでは! ああ、でも、エミールとしては女子に人気があるより、男子に人気があるほうがうれしいのかもしれませんけど(笑)。
私は、女子の皆さんにエミールをかわいがってもらえるのが、すっごくうれしいです!! 私としても男の子のキャラクターを、こんなに長く演じる機会はありませんでしたからすごく愛着があります。
――『ニーア』はファンとともに歩んできたような距離感が素敵なコンテンツですね。
私はファンの皆さんとTwitterなどで交流してきた中で、このドラマCDにたどりつけたような気がしていて。それがとてもうれしくて、感慨深いです。
――とはいえ、“学園ニーア”では相当エミールくんが、はっちゃけてしまってるそうですが。
あれでもまだ、抑えめにしたんですよ!? 最初、台本があまりにもおもしろかったのでリミッターを外しすぎてしまい、監督さんから「門脇さん、もうちょっと普通のエミールで」と言われてしまい(苦笑)。私、はしゃぎすぎたなって。
――エミールくんの性癖がすごいそうですね。
はい! わりと全開ですからね!! 私も驚きました(笑)。
――ショートストーリーでは、エミールが主演のエピソードもあるということですが?
こちらはシリアスな笑いというか、Bエンドの続きのようなイメージですね。エミール好きの皆さんには、きっと喜んでいただけると思います。
――Disc1の過去を描いたシナリオについては、どういう印象でしたか?
研究所にいたころのエミールを、今回知ることができたんですが……悲しい運命の子なんですけど、悪いことばかりじゃなかったんだなって思えたところは、私にとっても救いでしたね。とはいえ、本編となるDisc1はやはりテュランが、スゴイです!
――遊佐さんも、同じようなことをおっしゃってました。
いやもう、全編通してテュラン無双ですよ!! おいしいとこ取りで(笑)。これはぜひぜひ聴いて、体感していただきたいですね。
――他にも「ここは聴きどころ!」というポイントはありますか?
個人的には白石涼子さんのポポルの、突き抜ける瞬間がたまらないと思います! 涼子ちゃんのデボルポポルの演じ分けが本当にすごくって……CDに収録されているものの他に、決めゼリフをいろんなパターンで試していたのを同じスタジオ内で聴いていたんです。それがもう素晴らしかったんですよ~。あとは“学園ニーア”のカイネが振りきれていて、それも楽しみにしていただければ!
――皆さんで集まって収録されて、すごく和気あいあいでしたね。
ゲームでは1人ずつの収録でしたから、みんなで集まってできたのも楽しかったです。なんといっても……カイネさんの規制音(ピー音)が入る前の生ボイスまで聴けましたから、役得でした(笑)。
――では、最後に発売を心待ちにしているファンの皆さんへひと言お願いします。
『ニーア』という作品で、私自身も「こんな場面が見られたらいいなぁ」と思うようなシーンがたくさん詰まったドラマCDです。開発チームの皆さん、スクウェア・エニックスのスタッフさん、そして何よりファンの皆さんと一緒に『ニーア』を盛り上げてきた結果のドラマCDだと思いますので、ぜひ聴いて、楽しんで、ずっと『ニーア』愛し続けてくださいね! そして、また別の機会で『ニーア』にめぐり会えることを、私もまだまだ楽しみにしています!
次回は、岡本信彦さん、野中藍さん、森久保祥太郎さん、田中敦子さん、白石涼子さんのインタビューをお届けします!
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