2011年4月23日(土)
――すでにデザインの設定画が何枚か公開されていますが、ACのデザイン性が『4』とは大きく変わりましたね。SF性が薄れたというか、ミリタリー調の雰囲気があります。
『4』のシリーズの場合は、プレイヤーにヒーロー観みたいなものを味わってもらおうという方針があって、特別な兵器としてのACというヒロイックな感じのデザインにしました。ですから、参考にしているデザインモチーフも戦闘機やステルス機などの先端兵器だったんですね。
けれど今回は、ゲーム自体が今までとは違うものになったという差別化をしたい意図があって、『4』とは異なるデザインにしようと考えました。それに加えて、機体のスケールを小さくしています。戦場のディテールや構造を利用したおもしろさが増して、それを生かした新しい戦い方ができるのではと考えていたので。
変えた理由にもう少し付け加えると、『4』シリーズでは従来のシリーズを上回る超ハイスピードをコンセプトにして、その方向性はある程度、形として実現できたと思っています。ですが同時に、根本的な部分での問題点も見えてきていたので、今回は違うベクトルの戦い方を追求したいとも感じていたんですね。
──戦場の構造を利用した戦いというと、『V』では建物などを弾よけの障害物とする以外にも、さまざまな戦術が考えられるということですか?
シリーズタイトルという意味で共通している部分がある一方で、『4』とはまったく違ったものになっていると思います。『4』では、ハイスピードアクションゲームという部分を突き詰めていった結果、スピードがありすぎて地形にあまり意味をもたせられなかった。それ自体は、コンセプトがハイスピードの追求だったからやむを得ないといえばやむを得ないんですけど、そこが大きな気がかりだったんですよ。
とはいえ、いろいろ検証はしたんですけれど、『AC』としてスピードのあるゲームということは絶対に外せないと考えています。ですから、ベースはあくまでハイスピードなアクションゲームであって、撃つ・避けるといったテクニックが最重要。その上で、索敵やそれから逃れるテクニックだったり、マップの地形を生かした戦い方だったり、より高度な戦術的テクニックを盛り込みたいと考えています。ただその両立は、新しいチャレンジなので時間を割いていますね。
今回は例えば、正面からまともにぶつかったら勝てないかもしれない相手の場合は、敵から身を隠しながら戦うことが重要でしょうし、そもそも敵がどういう相手なのか、何が強みで何が弱点なのかという点をいち早く見極めることがとても重要になっています。チームプレイの場合は、自分たちが複数になりますから、それがさらに高度に、複雑になりますね。
――なるほど。戦術的テクニックという意味では、新要素のスキャンモードやオペレーターが重要になってくるのでしょうか?
『V』では従来のレーダーの要素を、一段複雑にしていて、それを担うのがスキャンモードと、新パーツとなる小型の索敵ユニット“リコン”になります。これらを組み合わせて使用することで、敵の位置や機体構成など、戦場のたくさんの情報を読み取って、戦術を練ることができます。操作だけでなく情報を活用することも、重要なテクニックになるということですね。オペレーターはさらにその強化版というか、戦場の俯瞰(ふかん)した状態で情報をスキャンして、上手に指示を出し連係プレイを高めていくという情報処理のスペシャリストといったポジションですから、居ると居ないとではだいぶ対戦の模様が変わりますよ。
――お話を聞いていると、すごく奥深いゲームになりそうで楽しみです。
『AC』とは別のゲームの話になりますが、ある種コンセプトが共通している『クロムハウンズ』も、そういうゲームを目指していた部分がありました。あれはあれで、おもしろいゲームになったと僕は思っているのですが、「もっとおもしろくできたな」という心残りもあります。これはもう僕の個人的な思い入れですけど、今回、新たなチャンスをもらえたので、『ACV』ではよりよい形でやりたい。時間があればという言い方は、本当は好きじゃないですけど、今までの『AC』を乗り越えるゲームにしなくては、という気持ちはありますよ。これは僕だけじゃなくて、チームのスタッフも同じです。
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