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2011年5月11日(水)

【G-netプレイレポート】切なさが心にしみる“終わらせる物語”――PS3/PSP用AVG『涼宮ハルヒの追想』

文:ごえモン

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■5つの場所から1つを選ぶパンフレット移動システム

 本作は学園祭が舞台ということで、学園内ではさまざまなイベントが行われています。そのイベントのタイムテーブルをまとめたパンフレットの中で移動先を決め、正しい場所を選べばイベントが発生します。これも意外とくせもので、タイムテーブルを見ただけではどんなイベントが起こるのかほとんどわからないので、やっぱりブックマークが必須。文芸部とキョンのクラス、朝比奈さんの居場所くらいは見当がつきますが、他は運ですからね。ただ、物語の途中で随時受信できる朝比奈さん(大)のメールに、行き先のヒントが書かれていることがあるので、メールを受信したらすぐにチェックしましょう。

『涼宮ハルヒの追想』 『涼宮ハルヒの追想』
▲朝比奈さん(大)のメールでは、イベント発生場所のヒントだけでなく「やきそばがおいしかった」などのちょっとした報告が送られてくることも。なんてかわいらしい人なんでしょう!

 なお、場所選択時に“!”マークが表示されることがあります。この状態でその場所を選択すると、スタンプを発見できます。このスタンプは、本作のオマケであるトイクロック“有希の365にち”内のイベントやオブジェ、長門の服などと交換できます。すべてを集めるにはかなりのスタンプが必要なので、周回プレイが必要ですね。

『涼宮ハルヒの追想』 『涼宮ハルヒの追想』
▲移動場所を選ぶ際は、毎回パンジレット上のキョンをスミズミまで動かして“!”マークを探すのが吉。
『涼宮ハルヒの追想』 『涼宮ハルヒの追想』
▲僕の探し方が悪かったのでしょうが、1周したくらいではぜんぜん回収できませんでした!

■オマケの1つ“エンドレスファイト”を動画で紹介!

 本作は“有希の365にち”やブロック崩し、“エンドレスファイト”などのオマケ要素が豊富なのも特徴です。“エンドレスファイト”は、キョンを操作してSOS団の団員に指示を出しながら敵を撃破するリアルタイムストラテジー。ステージをクリアしていくことでポイントを獲得でき、そのポイントで団員をレベルアップさせたり、アイテムカードを買ったりしながら、エンドレスで戦うゲームです。百聞は一見にしかずといいますし、実際に観てもらったほうが早いと思います。というわけで、以下に動画を用意したので、ぜひチェックしてください。

■まとめ:団員たちのまだ見ぬ姿を見られる『消失』までの集大成

 それではまとめとして、『追想』の物語を読み終えて感じたことをつらつら書いていこうと思います。まず、このゲームではこれまでのエピソードでは見ることができなかった、キャラたちのさまざまな顔を見ることができます。『消失』よりも濃く描かれたキョンに対する古泉の嫌悪感だったり、ハルヒへの感情。あるキャラの成長や退場してしまった朝倉との交流。他にも、何度もループすることでキョンに対して呆れたり、ちょっぴり怒るレアな朝比奈さん(大)、活躍するコンピ研部長氏などなど(笑)。その新しい顔が違和感なく描かれているので、ファンにとってはうれしいですね。

『涼宮ハルヒの追想』 『涼宮ハルヒの追想』
『涼宮ハルヒの追想』 『涼宮ハルヒの追想』

 システム部分を見ると、やっぱり序盤の難易度が若干高めかなと感じました。次元ブックマーカーの使い道やコツを理解しないと、何度もループしてしまいます。ルート分岐のキーの1つ“S.O.S.II”も難しいので、どうしてもループが多くなってしまいがち。また、中盤までは物語がたんたんと進むこともあり、プレイしていて若干ストレスがたまってしまうかもしれません。

 ただし、このストレスとループによる苦労が、実は中盤以降の物語を生かすスパイスになっているのです。劇場版『消失』でも、中盤までキョンの絶望が描かれた後、解決方法がわかった時にパッと明るいBGMが流れ、最後までものすごい盛り上がりを見せます。それがこの『追想』でも、似たような感覚を味わえたんです。後半は『消失』以前のエピソードのネタも絡まり、「こうきたか」と思わずうなりました。そして、この物語はそれだけにとどまらなかったと言っておきます。

 本作は変わってしまった世界、ループしている原因を突き止め脱出する物語です。いわば、世界を終わらせるための物語です。なので読み進めているうちに切なさが胸にこみ上げます。しかし、切ないながらもどこかさわやかさの残る、そんな読後感が得られました。なぜ、そして誰がまた世界を改変したのか? 『約束』同様、非常にうまく“if”が描けていたと思います。ぜひ、TVアニメと劇場版をもう一度観直してから、本作をプレイしてほしいです。

 最後に、限定版『長門有希の落し物BOX』の特典であるキャストインタビューは、ファン必見の内容です。ただし本編のネタバレが含まれているので、クリア後に見るとより楽しめると思います。(ごえモン)

『涼宮ハルヒの追想』

(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団 (C)2011 NBGI

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