2011年5月10日(火)
――これまでの話によると、『ダークソウル』は探索や発見といった要素がとても楽しくなりそうですね。『ダークソウル』では、探索の強化がテーマの1つだという話を、以前に伺ったこともありましたが。
テーマというと大げさですが、アクション“RPG”ですし、探索や発見の楽しさといった部分は重視したいと考えています。そして、そのために“できるだけ基礎的な要素の価値を高める”アプローチをとっています。
――ベースの楽しさを高めるというのは、どのようにですか?
たとえば発見といっても、いろいろなものを発見するじゃないですか。新しい武器とか、魔法とか、持てる回復薬が増えるアイテムとか。だけど、そうしたものを発見した時の価値って、実はかなり相対的なんですね。発見しても、そもそも困っていなくて、特に必要じゃなければ、あまりうれしくない。『ダークソウル』では、そうした状況はできるだけ避けたいんです。すごく苦労していて、困っていて、発見した時に「やった! これでなんとかなるかも!」と思えるようなゲームにしたい。
『ダークソウル』の高い難易度とか、緊張感とか、あるいは世界観のストイックさとかには、そうしたゲームデザイン上の意図もあります。刺激をインフレさせるよりは、ちょっとしたことでもうれしいゲームにしたいというか。
――砂漠のオアシスみたいな話ですね。わかる気がします。
その通りです。ただゲームデザイン上、それが常に正解ということでもありません。『ダークソウル』でこういうアプローチをしているのは、僕らの好みもありますね(笑)。
――けれど最近では、めずらしいかもしれませんね。ちなみに、先ほどの回復薬余りの話も、同じ考えがベースにあるのでしょうか?
そうですね。篝火についていえば、回復薬ないし回復という行為の価値を高めたい、というアプローチです。
ちょっと話はズレますが、『ダークソウル』で価値を高めたいと思っているものが、いくつかあるんです。回復の奇跡とか、重鎧とか。
篝火システムにより、回復の奇跡はかなり重要になったと思いますよ。回復薬を99個持てる時の、+10回の回復の奇跡の価値と、回復薬を10個しか持てない時のそれとでは、大きく違いますから。個人的に奇跡好きということもあり、奇跡をあこがれの的にしたいと思っていましたが、何とかなりそうです(笑)。
――なるほど。ここで回復を使うべきか否か、あるいはこれ以上進むべきか否かという判断がより深くなりそうですね。今のお話に出た重鎧の話も聞かせてください。
率直に言って、重鎧は少し弱すぎました(笑)。開発途中に強すぎて、皆が重鎧装備になってしまった反動なのですが……やりすぎましたね。反省しています。
『ダークソウル』では、重鎧を実戦的な選択肢の1つにしたいと考えており、そのために、防御力強化やデメリット緩和の他に、重鎧を着ることによる戦術の幅の広がりも持たせたいと思っています。
具体的には“重鎧を着ていることで、攻撃が止められにくくなる”という要素ですね。重鎧の戦士が、敵の反撃をものともせずに武器を振りぬく、といったイメージを実現したいと思っています。あと武器と同じように、防具も鍛えられるようになります。
――それはうれしいですね。防具は、『ダークソウル』でかなり数が増えるのですよね?
防具の数は結構多いと思います。防具は、コスプレ要素というか、ロールプレイに貢献する部分も大きいですから。敵の防具なんかも、できるだけ着られるようにしたいと思っています。
ただ、ここは調整が難しく、また重要なところですね。いわゆる鉄板防具があると、ロールプレイの自由度にも影響を与えますし、かといって、各防具にできるだけの個性も持たせたい。システム側で保険も用意しつつ、今まさに絶賛調整中のところです。
――武器に関してはいかがですか?
武器のカテゴリはあまり増えてないですね。もともと『デモンズソウル』でも十分な数がありましたし、インフレさせて各カテゴリの意味を薄くするよりは、たとえば槍には槍の価値、特性がしっかりあるゲームにしたかったので。世界観的にもファンタジーを外すつもりはないので、銃などもありません。増えたのは、たとえば鞭など、そういった“端っこ”のものくらいですね。
ただ一方で、各武器の個性はより強くなってます。モーションを変えたり、特性を考え直して新しく与えたりといったことで、各武器を戦術的に選択し、自分なりのスタイルを模索する部分は、より強化されています。中には非常にクセのある武器もありますが、うまく使いこなしてほしいですね。
→調整の手応えあり! 辛くて旨い『ダークソウル』(5ページ目へ)
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