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2011年6月10日(金)

シリーズファン必見! PS3/Xbox 360『ヒットマン』プレイデモ&インタビュー

文:電撃オンライン

 米国ロサンゼルスで開催されていたE3。スクウェア・エニックスブースでは、日本国内での発売も決定したPS3/Xbox 360『ヒットマン アブソリューション』のプレゼンテーションが行われた。

 『ヒットマン アブソリューション』は、デンマークの開発会社・IO Interactiveが開発し、海外では長らくアイドスより発売されていたTPSステルスゲームシリーズの最新作。

 本作の特徴はというと、シリーズを通してのスキンヘッドの主人公・コードネーム“エージェント47”という殺し屋の存在、そして彼を操作しての自由すぎるほど自由度の高い暗殺ミッションなどが上げられる。前作ではエージェント47の殺害対象を事故死に見せかけて殺すという“アクシデントシステム”などが好評だった。また、殺害した死体を警官に発見されると警戒レベルが上がってしまうため、死体を隠すことができたり、殺害した対象の衣類で変装してミッションを遂行できたりするなど、非常にユニークかつリアルな暗殺者体験ができたのがポイントだ。

『ヒットマン アブソリューション』
▲本作のゲームデザイナー・トア氏。非常に気さくで、インタビューでは質問に対してかなり積極的に本作をアピールしてくれた。

 さて、そんなシリーズの最新作について、開発会社であるIO Intaractiveのゲームデザイナー・トア氏がデモプレイを行ってくれたので、その様子をお伝えする。

■新たに登場した“インスティンクト(直感)システム”が暗殺者にさらなる自由を与える

 まず最初に、トア氏による説明が行われた。それによると、本作では独自のエンジンを開発し、より自由度の高いリアルな体験が可能になっているとのこと。

 今回のデモプレイの舞台は、暗く雨の降るシカゴの街。ここでエージェント47は、とある理由から獲物を追う暗殺者という立場からはまったく逆に、多数の警察官から追われることになる。どうやらエージェント47は古く朽ちた図書館の中にいるらしく、周囲には非常に多くの警察官が警備にあたっていた。

 その際、基本的には敵の視界から隠れるように遮へい物を使って移動をおこなうのだが、遮へい物から遮へい物への移動はボタン1発で行えるようで、従来のステルスゲームをプレイできていた人ならば、すんなりと遊べそうだ。

 敵のAIの動きには非常に驚かされる。たとえば、同じ場所にいても必ずしも同じ動作をすることがなく、巡回路も不規則で、本当に思考するAIかのように動き回るのだ。ただし、そんな敵の豊富な動きを予測できるのが、本作で初登場の“インスティンクト(直感)システム”だ。効果範囲は非常に狭いが、これを発動することで近くにいる敵が今後どのように動くのかが、光る道筋のように表示されるのだ。これにより敵の動きを先読みし、視界から完全に消えたり、背後を取って暗殺するなど、行動の選択を行いやすくなっていた。

 また、敵が持つ銃器はもとより、そのへんにあるオブジェクトのほとんどが武器として使用でき、暗殺方法にもさらにバリエーション豊かになっている。他にも、シリーズおなじみの変装も可能で、このデモプレイでは暗殺した警察官の服を拝借し、警察官が集まる建物をすり抜けていくというシーンも見られた。また、ここでも“インスティンクト(直感)システム”が使用できた。たとえば、警官に扮するエージェント47を怪しく思った同僚がこちらを凝視していることを察知でき、カモフラージュのために無線を使用して顔を隠すなど、そういった細かい動作も行えるようだ。

 今回トア氏が非常にこだわっていたのが、“自由度”というキーワードだ。これは非常に抽象的でわかりづらい表現だが、前作を知っている人ならば「あの前作以上に自由度が高いのか!?」と驚いてしまうほどだろう。

 そして、もう1つのキーワードが“映画的な演出”だ。本作では数多くのまるで映画を見ているような演出が施されており、プレイ中の端々の動作や背景の描写、ムービーなど、本当に物陰に潜んで獲物を探す暗殺者の映画を見ているような体験ができた。デモが終わった際、自分の心臓の鼓動が早まっているのには驚かされた。

 さて、それではこの後はトア氏へのインタビューについてお伝えする。

■キーワードは“自由度” ゲームデザイナーインタビュー

――現在の開発状況を教えてください。

 現在、開発の真っ最中という段階です。デモプレイしたのもプレアルファ版なので、まだまだといったところです。非常に構成が複雑なゲームなので、いろいろとこれから足さないといけない要素もありますが、2012年の発売を目指しているので、開発自体は順調に進んでいます。

――ちなみに、2012年の発売時期は日本を含めて同時期を予定していますか?

 スクウェア・エニックスによると、これまでも海外タイトルの発売から日本版の発売までは1~2カ月以内程度を目標にしてきたので、今回もその予定のようですね。まだまだ本作が日本のユーザーさんにどのように受け入れられるか見えない部分もあるので、そのへんはスクウェア・エニックスのローカライズ開発陣と協力していきたいです。

――ゲームのボリューム感はどの程度ですか? クリアまでは何時間程度でしょう?

 クリアまで何時間とは言いづらいのですが、過去最大の規模になるのは確実です。コンテンツの数やプレイヤーにゆだねられる選択の数が圧倒的なので、何度も再プレイすることが可能でしょう。前作のプレイヤーは未だに前作をプレイしていますが、本作も同様に長く遊んでもらえるタイトルになると思っています。

 今回は新しい技術などを本当に最初から作り直しました。それによって、さらにシネマティックな作品になっているでしょう。

――では、その映画的な演出で一番こだわった部分はどこでしょう?

 レベルデザインには非常にこだわりました。オープンなレベルデザインではあるのですが、その中にもしっかりとキャラクター同士のヒューマンドラマを盛り込むなどの試みを行っています。立っている警察官の会話が非常に現実的で、それでいてユーモラスで、本当にそこで会話を行っているようなイメージです。

――『ヒットマン』シリーズは多彩なアクションが特徴ですが、本作で新たに追加されたアクションなどはありますか? たとえば、吊るしたピアノを落とすなど事故を装っての暗殺など。

 そうですね……アクションではないのですが、今回は本当に現実世界にあるのと同じように、そこにあるものなら何でも武器として使えるように作り込んでいます。そういったアイテムが何個あるのか、もう把握しきれないくらいですね。もちろん、吊るしたピアノの例のように、アクシデントを装った暗殺方法も、どんなシチュエーションでも行えるくらい多彩になる予定です。

――銃などにもバリエーションが増えているのですか?

 もちろん。今までよりも種類も増えていますし、拳銃のサイレンサーの有無でもゲーム展開が変わってきます。サイレンサーを付けて暗殺に徹するのもいいですし、サイレンサーなしで正面突破を図ることも可能です。

――では、新しいシステムなどはありますか?

 そうですね、以前の『ヒットマン』シリーズではまだまだ自由度が足りなかったと思っています。今回は新たなシステムとくくるわけではないですが、とにかく何でもできるという“自由度”を持った作品になるので、さまざまなシチュエーションがより現実に即したナチュラルなものになるでしょう。

 また、今作ではたとえ隠密行動に失敗したとしても、即ゲームオーバーになるなどということはありません。敵に見つかったら見つかったで、状況を打破できれば、それはそのままストーリーを進めることができますし、とにかく制限はありませんね。逆に言うと前作よりもラクになったとも言えますが、現実的な展開を実現した結果だと思っています。ただし、今回のプレイアブルには入れていませんが、難易度調整でかなり難しいモードも入れ込む予定です。

 このシリーズは非常にコアゲーマーの方に人気なので、そういった方に対するフォローも忘れてはいません。ハードモード以上のモードも入れる予定もありますし、なによりIO Interactiveにはコアゲーマー向けの要素を専門に扱う開発チームもありますので。これによって、今までのシリーズファンにも、しっかりと楽しんでもらえるつくりになっています。

――ちなみに、“インスティンクト(直感)システム”は新しいシステムですよね?

 このゲームを作り込んでいる時に、現実的な思考を持ったAIを目指したところ非常に複雑になり、難しすぎるという事態になってしまいました。たとえば人がただ単に道を行き来するだけなら単純なのですが、本作ではいろいろと動き回り、いろんな人と人が会話を行ったりしています。そうなると、やはりプレイヤーにはいつどこから敵が来るかが非常にわかりづらくなってしまうので、その救済策として“インスティンクト(直感)システム”を導入しました。ほんの限られた範囲だけでも、敵がどのように動くか把握できるだけでかなり違うと思っています。

 また、インスティンクト(直感)システムはそこでどんなものが武器として使えるかなどをハイライトしてくれるので、さまざまなシチュエーションでプレイヤーに対する手助けになることでしょう。

(C)2011 IO INTERACTIVE A/S. Published by Square Enix Co., Ltd. IO INTERACTIVE and the IO logo are registered trademarks or trademarks of IO Interactive A/S. ABSOLUTION, EIDOS, the EIDOS logo, HITMAN, the HITMAN logo and HITMAN ABSOLUTION are registered trademarks or trademarks of Square Enix Ltd. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd.

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