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2011年6月10日(金)

X360『Fable:The Journey』をシリーズ生みの親ピーター・モリニュー氏が語る

文:電撃オンライン

 E3 2011で出展されていたXbox 360『Fable』シリーズの最新作『Fable:The Journey』について、クローズドのデモプレイが行われたので、その様子をお伝えする。

 なんと今回は、『Fable』シリーズの生みの親でもあり、海外ゲームプレイヤーなら誰もが知るゲームデザイナー、ピーター・モリニュー氏がデモプレイのプレゼンテーションをしてくれた。Xbox 360の人気タイトルとして展開してきた『Fable』シリーズ最新作『Fable:The Journey』について、今までの発表と今回のデモプレイの内容をまとめる。

 『Fable:The Journey』は、Xbox 360『Fable III』から5年後の世界を描いた作品だ。平穏を手に入れたアルビオンの民はすでに英雄を必要としなくなっており、主人公はごく普通の人間となる。本作では“旅”が重要なテーマになるそうで、主人公は1頭の馬とミステリアスな予言者・テレサを味方に、この世界で300マイルもの長い旅路を展開していくことになるそうだ。

 さてそんな本作だが、モリニュー氏によれば、制作はマイクロソフトからの“Kinect対応のタイトルを制作してほしい”という依頼によって実現したとのこと。こういった面からも、Xbox 360が今後Kinectに注力していく様子がうかがえる。また、モリニュー氏もKinectというデバイスには非常に関心を示しており、本作でも音声認識などの機能を取り入れていることが伝えられた。

『Fable:The Journey』
▲ピーター・モリニュー氏が自ら『Fable:The Journey』を語る。

 デモプレイでは実際に馬車の操作シーンも見られたが、操作は馬の手綱を本当に操るかのような動作で行われていた。手綱を勢いよく操作すれば馬車のスピードは上がり、緩めればスピードは落ちていく。また馬は、現実の馬と同じで走り続けることはできず、疲れればスピードが落ちる上、お腹が空いたらエサを与えないといけないようだ。

 また馬車は、声で操作することも可能だ。馬は主人公との間に関係性を構築していくそうで、たとえば声を荒げて操作すれば馬はどんどん疲弊し、優しく接すればそれだけ主人公との関係もよくなっていくらしい。馬とよい関係を作り、ずっとともに旅をしていくことも可能だが、旅に危険はつきもの。アクシデントや疲労などで馬が死んでしまうこともあるそうだ。その場合は、別な馬や別な馬車を手に入れなければならず、もちろん育ててきた馬との関係も一からやり直しとなる。

『Fable:The Journey』
▲馬車の操作シーンでは、実際に手綱を操るかのような動作が行われた。

 この他に、戦闘シーンについても紹介が行われた。まず本作では魔法を使用しての戦闘が基本となるそうだ。魔法の作り方と出し方だが、こちらもKinectに対応しており、拝む、こする、手のひらを回す、ねじる、曲げる、伸ばすなど、その動作パターンは非常に多彩。また、それらの動作を組み合わせることで、非常に多くの魔法を作り出すことができるそうだ。同じ魔法でも片手で作るものと両手で作るものがあり、片手ならば威力が弱いが連続して発動でき、両手ならば非常に威力の高い魔法を使うことができた。

 さらに魔法でアイテムを作り出すことも可能なようで、たとえば望遠鏡が欲しいならば折りたたんだ望遠鏡を引き伸ばすかのような動作を行う。釣りざおが欲しければ釣りをするときの動作を行えば、それに対応したアイテムが作り出せるとのこと。

『Fable:The Journey』 『Fable:The Journey』
▲魔法の動作も非常に多い。何かしらのアクションを行えば、それに対応した魔法が必ず出てくるといった感じだ。

 ちなみにモリニュー氏によると、プレイする“空間”も意識した作りを考えているそうで、本作ではKinectで認識するのは上半身のみとのこと。全身を使うようなタイプの作品ではなく、TVから数メートルの距離で上半身さえ動かせればプレイは可能のようだ。なので、日本のように住宅事情に制限のある場合でも、イスに座ってリラックスしてプレイすることが可能だということが伝えられた。

 この後は取材陣からの質疑応答タイムとなったので、その内容をまとめる。

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●馬車以外の移動方法について

 移動は可能だが、旅は長いため馬車がないと非常に厳しい。また、システムは不明だが魔法は馬車の中にストックしてくようで、やはり馬と馬車の存在は重要なようだ。

●Xbox 360のブリーフィングでデモPVを発表した後、さまざまなメディアで「今回の『Fable』はレールに乗った形で、自由度がない」と言われていることについて

 これについて、モリニュー氏は非常に強く否定していた。本作ではプレイヤーがやりたいと思ったことはほとんど実現可能で、今までのシリーズ通り、非常に高い自由度を実現しているとのこと。また、モリニュー氏の後ろの壁に描かれたたくさんのサインは、今回のプレゼンテーションを聞いて“『Fable:The Journey』はレールに乗った作品ではない”ということに同意してもらえる各国メディアからのサインだということが判明した。

『Fable:The Journey』
▲さまざまなメディアからのお墨付きをもらった『Fable:The Journey』。壁には、“It’s not on Rails!!”の文字が。

●モリニュー氏が作る作品の特徴でもある“善悪の視点”や“神の視点”などについて

 本作でも、そういった内容は盛り込まれるとのこと。明確にテーマにしているわけではないが、たとえば魔法を使う際のパワーは“ライフフォース”と言う生命の力を使うらしく、それは他の生物から奪うことができるそうだ。ライフフォースは少しだけ拝借することもできる。ただ、たくさんの魔法を使いたいのならば、大量のライフフォースを奪わなければならない、それによって対象が死ぬこともあり、主人公の人生が変化していくという選択を迫られる場合がある。もし強さを求めるのであれば“殺してでも奪う”ということが必要になるようだ。

●『Fable:The Journey』のレーティングについて

 今回は、12~16歳くらいの年齢も対象に制作しているとのこと。今までは表現上レーティングM(日本ではCERO Zにあたる)になることが多かったが、今回はそういった過激な表現はなく、Kinectを使用して子どもたちにも遊んでほしいと考えているようだ。

●日本のユーザーについて

 今回の『Fable:The Journey』は、シリーズの中でも非常に新鮮で新しいものになっているため、ぜひKinectを通じて新しい体験をしてほしいと語っていた。

 最後は、先ほどの壁に話を聞いたメディアがサインを行い、セッションは終了となった。

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