2011年8月4日(木)
――シナリオを北島行徳さんに依頼した理由を教えてください。
北島さんに頼みたいと考えたのは、難度の高いシナリオを書いてもらえそうだと思ったからです。“謎惑館”という舞台の中には、さまざまなバリエーションのシーンがある。ホラーだけでなく、モテモテ編、学園編、旅情編など……そしてそれらの最後には、必ずオチがついている。これはかなりハードルの高い作業だと考えました。
それでいて、ゲームのシナリオを書いたことがある人じゃないと難しいだろうと思っていました。北島さんはDS『大神伝~小さき太陽~』でカプコンの仕事をしていただいていたのでツテがあり、お願いに行ったところ、快諾していただきました。
――多数のキャラクターが登場するシナリオは、北島さんから上がってきたのですか? それとも発注したのでしょうか?
シナリオは全部北島さんに書いていただいたですが、部屋に出てくるおかしな住人たちは、開発チームで考えています。あと、住人のセリフは私がすべて書きました。
――北島さんにお願いしたことは?
ホラー、ミステリー、ラブストーリーなど、テーマを付けて書いていただけるよう、お伝えしました。そのうえで、ショートショートのようにオチをつけて欲しいと。それ以外はおまかせでしたが、最初の段階からかなりいいものが上がってきたので、やはり凄いと思いましたね。あとは一部こちらの要望を送って修正していただき、それでほぼ完成という状態でした。
――1つ1つのエピソードはオムニバスのような形になっていますが、エピソードを配置する上で意識したことはなんでしょう?
“謎惑館”はホラーハウスというイメージを持たれることが多かったので、最初のエピソードはホラーにしました。実際にホラーの割合は全体の2~3割なんですが、王道として最初はホラーがいいかなと。ホラーの次をモテモテ編にしているのは、反対に振り切ったほうがおもしろいと思ったからです。その次の旅情編は箸(はし)休め的な位置づけですね。ストーリーの順番とあわせて、部屋の順番も考えて配置しています。
――“謎惑館”の見取り図があるんですか?
ないです(笑)。館の外観もパッケージを作らなきゃいけないということで、そこで初めてデザインしました。
――シナリオ中に選択肢としてYesかNoを迫られた時に、どちらを選んでもあまり結果が変わらないように感じたのですが、これは分岐をなくそうとした時にそうしたのでしょうか?
そうですね。たとえば闇鍋をすすめられるシーンで、鍋を食べずに出て行ってしまったら、つまらないと考えたんですね。後から「しまった、断らなければよかった。部屋をやり直したいな」と、プレイヤーに感じさせたくなかったんです。どんな選択をしても「この部屋は楽しかった」と思ってもらえるような作りを目指しました。
――パッケージや公式サイトにいる“案内人”は、ストーリーテラーとして用意していたのでしょうか?
案内人は、まさしく案内人ですね。彼のようなポジションの人がいないと、状況をうまく把握できないんです。さらに、彼はブラックユーモアを披露したり、ゲームシステムのガイドになったり、とにかく便利なんですよ。最初は、ゲームのチュートリアルをしてくれる程度だったんですが、作っていく中でかなりキャラ立ちしていきましたね。
――では、主人公はどのようなイメージで作っていったのでしょうか?
主人公はプレイヤーの分身です。たまにしゃべりますが、ガイドというか狂言回しで、ゲームのわかりにくい所をフォローするんです。個性付けをしたくなかったので、あまり細かいキャラクター設定はしていませんね。
――かなり多いので大変だと思うんですが、気に入っているキャラクターを教えてください。
うーん。難しいです……。どのキャラも気に入っていますね(笑)。
――等しくお気に入りということですね。ところで本作にはミニゲームを多数収録していますが、どういうところを意識して作られましたか?
まずは立体音響ありきで考えましたね。どういった音を聴いたらおもしろいか。あとはそんなに深くは考えていません(笑)。「スイカ割りをやりたいよね」とか「お姉さんをマッサージしたいよね」とか……そういうアイデアや遊びから始まっています。
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