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2011年9月6日(火)

魅力を“再装填”した『グローランサーIV オーバーリローデッド』プレイレポ!

文:デルチ

『グローランサーIV オーバーリローデッド』

 今年の夏は節電が叫ばれ、ニュースを見ると“電気予報90%”などと流れていましたが、「本当にそんなカツカツか?」と疑問に思いながらも、エアコンの使用を控えて扇風機メインに暑い夏に立ち向かったライターのデルチです。

 ですが、実際使ってみると扇風機すごい! と感心するほどに涼しいことを発見して、ちょっと得した気分にもなりました。どうでもいいですけど、最近羽のない扇風機ってのをよく目にするのですが、あれってどういう原理で風が出るんですかね? 見た目だけでクールなので欲しいのですが、ちゃんとしたのは高いんだよなーって渋っているうちに夏も終わりそうです。さて、そんな暑い夏にふさわしい熱いストーリーとバトルが展開するのが、8月18日に発売されたPSP用RPG『グローランサーIV オーバーリローデッド(以下、グローランサーIV)』です。

 タイトルにもあるように、本作は『グローランサー』シリーズの4作目として、2003年にPS2で発売された作品です。発売当時はアトラス、開発は名作『ラングリッサー』シリーズを手掛けたキャリアソフトのスタッフが担当していました。ちなみに自分が、セガサターンで発売された『ラングリッサーIII』を買った翌週に、購入したゲームショップにアルバイトの面接へ向かったところ、「あ、この前『ラングリッサーIII』買った人だよね? 『ラングリッサー』好きに悪い人はいないよ」という謎の理由で採用された思い出深いソフトでもあります。

 閑話休題。『グローランサー』シリーズといえば、やはり強いインパクトがあるのが、イラストレーター・うるし原智志さんが手掛けるキャラクターの数々。『グローランサーIV』でも、男性キャラクターはじいさんも含めてイケメンが多数いて、女性キャラクターはフェロモン全開です。なんせ、ほとんどの女性キャラが頬を赤らめているのですから、ゲームソフトのパッケージを開ける前から、こいつらオレにゾッコンだなと確信できます(妄想しすぎ?)。

 もちろん、シリーズの公称となっている“ノンストップドラマチックRPG”の名に恥じない、クオリティの高いシステムの数々も人気を博する要素の1つになっています。そんなシリーズの伝統を受け継いだ『グローランサーIV』は、PS2版に新キャラクターや新シナリオなどを多数追加した、リメイクという言葉で表すには豪華すぎる、まさに“再装填”の名にふさわしい1本となっているのです。そんな本作のプレイレポートをお届けしていきたいと思います。

■人類を救う唯一の存在、それがオレ!

 『グローランサー』シリーズの世界観は、作品ごとに違いはあるものの、剣と魔法のファンタジー世界が基本。プロローグを見ても、

 はるか2,000年前、人類は魔法と科学によって、高度な文明を築いていた。しかし、強大な力を持つ、天使との戦いによって、人類は滅亡寸前まで追い込まれてしまう。


 そして現在。人類は滅亡の危機から復興し、新たなる文明を築いていた。しかし、2,000年前の”天使”との戦いで失われたものは多く、古代文明の魔法や科学の技術は、おとぎ話の世界のものとなってしまっていた。そして天使も“人類を滅ぼす存在”として伝承の中に残るだけとなった。


 そんな世界の中にある大陸の1つ、ノイエヴァール。この地の南方に位置するランプラスト島に、大陸からの侵略から島を守るために雇われたアルテン・シュヴァルト傭兵団がいた。だが突如現れた天使に襲撃を受け、戦場から逃げ出すこととなる。そして、大陸へ引き返した日の夜、天使の出現を確認した団長のディクセンは、団員の1人であるクレヴァニールに衝撃的な事実を告げる。「お前こそが“天使を止めるためのカギ”だ」と。そこから物語は大きく動き出すことになる。

 とあるように、かつて滅びかけた人類と天使の対立が物語の根底にあることがわかります。これらの世界観は、過去の『グローランサー』シリーズとは直接的な関係はないので、本作から始めたいという人でも問題なく物語に入っていけます。

 しかも、最後の一文「おまえこそが“天使を止めるためのカギ”だ」。やっぱり、『グローランサー』の主人公はこれでなくっちゃ始まりません。選ばれた人、それも神とかそんな上のほうの人に選ばれた人こそが、このシリーズの主人公にふさわしいと思っています。まあ、こんな設定で自己投影できるのはゲームくらいなものなので、これくらい壮大なほうがいろいろ楽しいですよね? このあたりの展開はゲーム冒頭で判明するので、「あぁ、自分は人類の希望なんだ!」という意気込みで世界観に浸っていけます。

 そんな主人公が所属するのは傭兵団。アルテン・シュヴァルトと呼ばれる、この世界でもそれなりに名の知られた傭兵団です。名前に“ヴ”が入ると、それだけでカッコいいですよね。カッコつけという人もいそうですが。ちなみに、主人公のデフォルトの名前もクレ“ヴ”ァニールだったり、序盤で仲間になる男性キャラが“ヴ”ァレリーだったりと、もう私みたいなそういうのが好きな人にはかなりそそられる語感です。

 そんな冒頭を経て進んでいく物語ですが、息をつかせぬ展開で次はどうなるんだろう? その先は? というように、どんどんのめり込める見事な作りになっています。また後述する“ノンストップバトル”との相性もよく、止めどきが難しいという言葉がピッタリな内容です。ボリューム的にも申し分なく、寄り道も含めればかなりの時間楽しめます。

 また本作の大きな特徴となっているのが、新キャラクターと新シナリオの存在です。リメイク作品で追加キャラクターというと、とってつけた感が否めないものもありますが、本作の新キャラはストーリーに不自然なく追加されていて、おそらくオリジナル版をプレイしていない人には、どれが新キャラかわからないレベルだと思います。新キャラは、シナリオだけでなくバトルにも顔を出すので、オリジナル版をやり込んだ人でも新鮮に楽しめることは間違いなしです。

 さらに、新要素として大きなストーリー分岐が用意されていて、その選択によってオリジナル版にはない展開に入ることもあるのはうれしいところです。展開次第では、ずっと味方だったキャラクターと敵対することもあったりして、このへんは完全新作といっていい内容となっています。もちろん、分岐前でも追加シナリオを楽しめるので、ボリュームはオリジナルの倍くらいあるかもしれません。

『グローランサーIV オーバーリローデッド』 『グローランサーIV オーバーリローデッド』

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(C)Index Corporation 1999,2011 Published by ATLUS

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データ

▼『グローランサーIV オーバーリローデッド』ダウンロード版
■メーカー:アトラス(インデックス)
■対応機種:PSP
■ジャンル:RPG
■配信日:2011年8月18日
■価格:4,980円(税込)

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