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2011年9月9日(金)

【まり探】始まりはアドベンチャーの否定から――CEDECで『ダンガンロンパ』開発陣が語る

文:電撃オンライン

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●最大のプロモーションは大山のぶ代を起用したこと

 寺澤さんは、プロモーションでも、豪華声優陣の起用やオリジナルストーリーの体験版配信、モバイルでの展開などさまざまな試みを行ったと語る。その中でももっとも大きかったものが、『ダンガンロンパ』のストーリーナビゲーターで黒幕“モノクマ”の声に大山のぶ代さんを起用したこと。小高さんは「9割無理だと思っていた」そうだが、大山さんは快諾したという。

 『ダンガンロンパ』のターゲットは、普段から好んでゲームを購入する“ゲームコア層”に加え、流行りものや新しいものが好きな“トレンドフォロワー”を想定していたと語る寺澤さん。大山さんの起用は、トレンドフォロワーに対してのアプローチだった。他にもトレンドフォロワー向けに、マニアックな印象を極力排除してスタイリッシュでポップなイメージを打ち出す、興味を喚起させる映像を作る、アドベンチャーではなく“推理アクション”という新ジャンルをアピールするといった施策を行ったそうだ。

 そのような中でもっとも気を遣ったことが、アドベンチャーと思わせないタイトルを考えること。さまざまな案の中から決定したのが『ダンガンロンパ』だったという。ちなみにこのタイトルは、本作のキャラクターデザインを担当した小松崎類さんの発案とのこと。

『ダンガンロンパ』 『ダンガンロンパ』
『ダンガンロンパ』 『ダンガンロンパ』
『ダンガンロンパ』
▲タイトルは最終的に小松崎さん考案の『ダンガンロンパ』が採用された。

 さまざまな施策を打つが、あまり手応えを感じない期間が続いたある日、ユーザーの関心が一気に高まる出来事が起こる。それが、声優一覧の発表だった。公式サイトのアクセス数が、この時に跳ね上がったという。これを受けて、プロモーション予算の割り振りを、トレンドフォロワーからゲームコア層に若干移したとのこと。その後、しばらくアクセス数は低迷するが、大山のぶ代さんが出席した完成披露発表会で再び高いアクセスを記録する。

『ダンガンロンパ』 『ダンガンロンパ』
▲大山のぶ代さんをはじめ、そうそうたる声優陣が登場する本作。発表当時はその豪華さが話題となった。

 こうして発売日を迎えるが、初週は2万本程度で4万本にも満たなかった。しかし口コミでじわじわと評判が広がり、『デュラララ!!』原作者・成田良悟さんをはじめとする各界のクリエイターたちの間で話題になった結果、ダウンロード版を含めてもう少しで10万本を達成するそうだ。

 なお、『ダンガンロンパ』を購入した人のアンケートでは、購入に至った決め手が「アドベンチャーゲームだから」を「新しいジャンルのゲームだから」が上回ったという。通常アドベンチャーゲームのアンケートだと、「アドベンチャーゲームだから」という意見が50%を占めるが、徹底したPRがこの結果につながったと寺澤さん。「結局のところ『ダンガンロンパ』はアドベンチャーなんですが、その枠を越えて受け止めてくれた方が多かった」と語る寺澤さんは、『ダンガンロンパ』は作品として大成功、プロモーションも成功、ビジネスとしては続編につながるIPを作ったことで、今後大きくしていくことが自分の役割、とまとめた。

 最後は小高さんが、「とにかくタイミングが重要。あとは周りを巻き込んで流れを作り、まずはチャレンジしてみることが大事です」と語り、セッションは終了した。

『ダンガンロンパ』 『ダンガンロンパ』
『ダンガンロンパ』 『ダンガンロンパ』
▲小高さんは「熱意を形にするためには、チャレンジすることが大事」と繰り返し語っていた。

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