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2011年9月13日(火)

gamescomからTGSへ向けて……欧州最新ゲーム事情レポート

文:電撃PlayStation

 8月に開催され、PS3の本体値下げやPS Vita新情報が発表されたドイツのゲームショー・gamescom。

 すでにひと月近く経つが、改めてこのショーの現地レポートを紹介し、欧州ゲーム業界最新事情を振り返ってみよう。開催目前の東京ゲームショウ2011を占う意味でも注目してほしい。

(レポート/C・K)

gamescom 2011
▲これまではE3とTGSに挟まれ地味だったGames Conventionが2009年、gamescomになり規模、出展内容ともにグレードアップ。今年は過去最高の入場者数を記録した。

 欧州最大のビデオゲームショーであるドイツのgamescomが、8月17日~21日にケルンで開催された。今回も前年の入場者数の記録(254,000人)を破り、新記録を達成(275,000人)。

 だが、ユーロゾーンの経済が悪化しているため、ますます市民の生活は苦しくなり、やり場のないパワーを爆発させてしまう若者たちによる暴動事件が各地で起きている。そんな不安定な時代にあるのに、どんどん価格が高くなっているビデオゲームを売るのはかなりのチャレンジとなる。

 予想通りにPS Vitaがgamescom 2011のスーパースターとなった一方、SCEがアピールしたその魅力的な存在には、不安要素も少なくない。

 個人的にはあれだけのスペックで250~300ユーロ“しかしない”という印象だが、250~300ユーロ“もする”PS Vitaを“高い”と思っていた人もいた。確かにPS VitaのグラフィックはPS3に近いレベルで、プレイしたいと思うユーザーは多い。ただ、本体+ゲームで400ユーロ近くを払うのであれば、年末発売のiPhone 5(もしくはiPad 3)を買うために予算を使いたい人のほうが明らかに多いだろう。

 また、SCEが伝えたい「どこでも誰とでも楽しめる」携帯ゲームの新体験にもすでに不安が生まれている。まず、その新体験をフルに味わうには3G回線が必要。しかしソーシャルネットワーキングを可能にしたとしても、スマートフォンの代わりになれることはなく、あくまでもゲーム機である。ゲーム機なのに月々通信料を払う。経済的余裕のない欧州ゲーマーの懐には厳しい話だ。

 さらに社会環境が悪化している中で、欲しいものは奪い取るという行動に走ってしまう若者による犯罪が増加している。スマートフォンは最も狙われ、PSPも同様。結局は携帯ゲーム機でも家でやることになり、日本のように外で友だちとアドホックでゲームを楽しむことはない。ソニーの高いブランドバリューが付くハイスペックの次世代携帯ゲーム機が、こうした問題にどのような解決策を用意しているのか、注目したい。

gamescom 2011 gamescom 2011
▲PS VitaにはFacebook、Twitter、Skype、foursquareといったソーシャルネットワーク専用アプリケーションの提供が発表された。foursquare(フォースクエア)はGPSによる位置情報を利用したSNSだ。 ▲SCEのカンファレンスでは、PS Vitaタイトルとしてごらんのようなロゴが並んだ。日本では未発表のものも多く含まれているが……。
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▲PlayStationのラインナップ。アドホック機能の省略など機能を整理し、99ユーロ(約1万円)という低価格で発売される欧州エリア用のPSPも。 ▲SCEのPS Vitaタイトルとして新しく発表された『ESCAPE Plan』。LilとLarrgの2人を、トラップ満載の刑務所から脱獄させるアクションパズルで、タッチやジャイロを利用した独自の操作方法が特徴だという。

→gamescomの会場で最も期待を集めたタイトルとは!?(2ページ目へ)

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