News

2011年10月17日(月)

日本語版正式サービスに向けて、『EVE Online』プレイヤーカンファレンスを開催

文:電撃PCゲーム

 ネクソンは10月16日、PC用MMORPG『EVE Online』のプレイヤーカンファレンス2011を、都内のスパイラルホールにて開催した。

 会場には日本の『EVE Online』プレイヤー約80名が招待されており、新情報の発表会というよりは、日本市場ではややマイナーなSF系MMORPGである本作を、長く愛してくれているファン向けのイベントであった。開発元であるCCP Gamesのスタッフも来日しており、『EVE Online』の哲学といったスピーチやQ&Aの内容をお伝えする。

 イベントはまず、ネクソン運用部の佐留間正之氏が登場。今回のチャネリングにあたって『EVE Online』の運用・開発は従来通りCCP Gamesが担当し、ネクソンは料金決済などの日本での窓口を担当する点を強調した。

 続いて、CCP GamesのCEO・Hilmar氏のビデオレターが公開された。Hilmar氏は2007年ごろ、日本市場に興味を持ち日本語化を進めていたが3つの点で決定的に準備不足であることに気が付き、2009年に一旦日本語化プロジェクトを断念したと述べた。その3点とは日本語翻訳に際してより優れた現地プラットフォームの用意、現地パートナーの存在、そして日本人プレイヤーおよびコミュニティの協力である。また、そこからの日本語化プロジェクトの再開に時間がかかったことに対しては、すでにサービス開始済みのロシア語、ドイツ語などで発生している問題をトータル解決できる新しいローカライゼーション技術の開発に注力していたためと、Hilmar氏は説明した。“セルベルス”と呼ばれるこの新技術により翻訳上のトラブルを解決でき、ようやく日本語化にこぎつけられたとのこと。

『EVE Online』 『EVE Online』
▲ネクソン運用部 佐留間正之氏▲CCP Games CEO・Hilmar氏

 ビデオレターの中でHilmar氏が、「CCPは一筋縄ではいかない会社です。理想を追求するためには一切の妥協を許さず、正しいと判断すれば思い切った軌道修正も行います。私たちのようなムズカシイ連中と付き合ってくれる、(現地の)会社を探すのは非常に難しいのですが」と語ると、来場者からは静かな笑いが起きていた。来場者向けのメッセージとして最後に「日本には規模は小さいが志の高いプレイヤーグループを知っています。ゲームを楽しみながら学習し、他プレイヤーにその知識を惜しみなく提供する日本プレイヤーに感謝しています」とHilmar氏はメッセージを締めくくった。

『EVE Online』
▲CCP クリエイティブディレクター Torfi氏(左)。

 次に1999年に『EVE Online』開発チームに参加して以来、クリエイティブディレクターを務めるTorfi氏によるプレゼンテーションが行われた。Torfi氏はCCPの“ゲームデザイン哲学”について、かなり熱いトークを披露してくれたが、ここではその概要のみお届けする。

 2003年にローンチした『EVE Online』は、ロシアやハンガリー、日本にドイツなど世界中からアクセスがあり、何千人もが違う目的、野望、そして情熱を持って“協力と対立”というリアリティをゲーム内で追求できる、他のオンラインゲームにはない、とてもユニークな世界を提供しているタイトルだ。

 開発チームはこの10年間、ゲームの拡張を続けてきたがあるガイドラインに沿ってアップデートを行ってきたとTorfi氏は言う。もちろん、あくまでガイドラインであり場合によってはルールをはみだすこともあるが、『EVE Online』が最重要視しているのはマルチプレイ、つまりプレイヤー同士の関係性にあると考えているようだ。資源や資産を奪い合い、奪い合った資産で戦艦を作り、また新たな領土と資源を取に向かい、領域防衛戦が勃発する世界。人間の脳に比べればPCの創造性には限界があり、本タイトルのおもしろさはPCが作るアルゴリズムではなく、プレイヤー自身が生み出す部分、プレイヤーが環境に与える相互作用にあるとTorfi氏は述べた。

『EVE Online』 『EVE Online』 『EVE Online』
『EVE Online』 『EVE Online』 『EVE Online』

 ゲーム内経済1つをとっても、誰かが資源を採掘し、その資源を購入した人がパーツに加工してまた市場に売り出し、さらにパーツを購入した人が戦艦を製作する。『EVE Online』に存在するすべてのアイテムには誰かがかかわり、1つ1つはシンプルに見えるが、これらが影響しあうことで複雑なシステムになっているのだ。Torfi氏は「チェスよりも複雑と言われる、日本の囲碁・将棋のように一見ルールはシンプルだが、追求すればどこまでも奥深く、複雑になる世界を我々はつねに追求し、アップデート時にも意識しています」と語った。

 今後の展望についてだが、同社の新作FPS『Dust 514』との連携について触れた。今年、北米で開催されたElectronic Entertainment Expo 2011(E3 2011)で公開済みの情報ではあるが、『Dust 514』のプレイヤーは『EVE Online』に実在する一般プレイヤーのコーポレーション(ギルド)に雇用された兵隊となり、ゲームを進行。勝利すれば『Dust 514』のプレイヤーは経験値やゲーム内通貨を、『EVE Online』のプレイヤーは広大な宇宙における惑星支配を有利に進めたり、支配権を得られるのだ。Torfi氏によれば、この連携はまだオンラインゲーム業界にはないものになるという。また、もっと少規模のコミュニティにチャンスを与えるバランス調整を予定しているらしい。

『EVE Online』 『EVE Online』

 Torfi氏は最後に「ここにいる皆さんは日本語化にあたり新しい日本のプレイヤーが参入してくれば、ベテランプレイヤーの立場になります。新しいコミュニティを強化し、同時に少しプレイをお休みしていた人やお友だちを呼び戻すチャンスでもあります。『EVE Online』の未来は皆さんの手に委ねられています。究極のSFシミュレーションを作り上げていきましょう」と述べた。

 →次ページでQ&Aやディスカッションの内容を公開

“EVE”,“EVE Online”,“EVE Universe”,“CCP” and the CCP logo are trademarks or registered trademarks of CCP Hf.
Copyright (C) 2011 NEXON Corporation and NEXON Co.,Ltd. All Rights Reserved.

1 2

データ

▼『EVE Online』
■運営:ネクソン
■開発:CCP Games
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:未定
■プレイ料金:未定

関連サイト

電撃PCゲーム

注目記事

週間アクセスランキング
(PCゲーム)

[集計期間2018年 07月16日~07月22日]