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2011年10月21日(金)

【通好みゲームメーカー 会社案内 Vol.2】株式会社エクスペリエンスができるまで ~激動のゲーム開発人生~

文:megane

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すべてが初めてづくしの会社起業

▲立川の事業所を経て、現在では八王子駅前に事務所を構える。

 独立したとはいえ、正式に起業できるまでにやらなくてはいけないことは山積みだった。千頭氏はこれまでに経営をしたことはなく、社長は何をするものなのか、起業とはどうすればいいのか、わからないことはたくさんある。まず起業の前準備として始めたことは役割分担だった。千頭氏がビジネスプランを考え、安宅氏は経理などの金銭面を学ぶために早稲田大学に通った。また、起業前で会社としての事務所もない状態だったので、週に1回の打ち合わせはファミレスで行った。その後、2007年2月頃からは千頭氏の自宅を使って作業をし、2007年4月に株式会社エクスペリエンスとしてようやく起業を果たしたのである。

千頭 でも、せっかく学校にまで行ったのに、お金の面について今は何もしてくれていないよね。

安宅 ほかにやることがたくさんあるんだもん。

 しかし、起業はできたもののすべてが順調に進んでいるわけではなかった。新作の『ジェネレーションエクス』では、これまでとは違うさまざまなイラストレーターを採用する予定だったので、まずはその選定から始まった。そして大きな問題の1つとして、プログラマーがなかなか決まらないということもあった。それらの問題をなんとかクリアしたチーム ムラマサは、起業から約1年後となる2008年4月にPCゲームとして第1作目『ジェネレーションエクス コードハザード』を発売、その後も2008年11月に第2作目『ジェネレーションエクス コードブレイカー』、2009年5月に『ジェネレーションエクス コードリアライズ』を発売した。

千頭 この頃に集まってもらったメンバーが、今もエクスペリエンスに所属している形になります。

 こうしてPCゲームメーカーとして出発したチーム ムラマサおよびエクスペリエンス。コンシューマではなく、PCでゲームを出した理由は“競合がいない”というビジネス的な側面や、“PSフォーマットではサードパーティになれる規模ではなかった”という会社的な理由があった。また、間に流通などを挟まなくても販売できるPCゲームは、新規立ち上げのメーカーには資金の即時性が保たれるため、効率がよいという。

千頭 あと、あまりいい話ではないですが、PCはパッチが当てられるというのが大きいです。もちろん、ないに越したことはないのですが、初プロジェクトでは何が起こるか予測が難しいので……。

安宅 当時のうちらにはPCが一番コストパフォーマンスがよかったですね。

千頭 現在はXbox 360でもタイトルをリリースしていますが、もちろんPC版のプロジェクトでも利益は出ます。ただ、初動型タイトルではないので、資金の回収までに時間がかかってしまいます。また、PCゲームを扱う媒体も少なくなってしまったので、多くの方にダンジョンRPGの魅力を伝えることが難しくなってしまったんです。そのほか、コンシューマ版を希望するユーザーも多かったという理由もありますね。

 こうしてPCゲームメーカーから始まり、2010年夏にはXbox 360サードパーティとしての正式発表、そして2011年2月にはXbox 360用ソフト第1弾『円卓の生徒』を発売する。コンシューマゲームメーカーとしての活動も開始したが、チーム ムラマサとしてユーザーの側に立ったゲーム作りの理念は変わっていない。

 次回はその徹底した理念をお伝えするとともに、チーム ムラマサとして3DダンジョンRPGを作る千頭氏、安宅氏以外のメンバーについても紹介する。

(C)2011 Experience Inc. Published by KADOKAWA GAMES

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