2011年11月24日(木)
どうも、ごえモンです。イエティが開発中のXbox 360用ソフト『ルートダブル -Before Crime * After Days-(以下、ルートダブル)』。その原案・監督・プロデュースを務める中澤工さんに本作についてお聞きするインタビュー企画の中編をお届けします。
前編では、ジャブとして制作経緯や脚本・月島総記さんの起用理由、バッドエンドについてお届けしました。今回の中編では、コンセプトや残酷表現、本作を移植するかどうかなどについてお聞きしています。
※この記事には、ゲーム本編の若干のネタバレが含まれています。ご注意ください。なお体験版をプレイされた人には、ネタバレにはならない内容となっています。
▲中澤工さん |
――『ルートダブル』のコンセプトを教えてください。
“サスペンスとミステリーをうまく融合させた物語”というのが、大枠の企画を作る前、まだストーリーなどを決める前のコンセプトでした。サスペンスは入り口がキャッチーといいますか、少ない説明でユーザーの興味を引いて物語に没入できる、とにかく出だしのつかみがいいジャンルです。海外ドラマなどのサスペンス要素をとにかく序盤に入れて、ジェットコースターのようなスピーディな話にしてユーザーを引き込みたかったんです。
そしてもう1点、サスペンスの裏側でミステリーが同時進行し、徐々にミステリーのほうにクロスフェードしていく……。前半サスペンス、後半ミステリーのような話にしたいというのが、大枠の企画を作った後のコンセプトでした。
――サスペンスからミステリーへとクロスフェードしていくのが、同時に魅力でもあるんですね。
そうですね。そういう企画を立てていく過程で、“主人公を2人にしてみよう”と1人の主人公はとにかくサスペンス色を強く、最初から最後まで緊迫感と疾走感のある話にしました。もう片方は、その話の裏側で起きている事件の真相に触れるようなミステリアスな話にしています。
そういう役割分担をさせるために、Aルートというレスキュー隊の話は、いきなり非日常から始まり、最初から最後までスリリングな、手に汗握る展開で進んでいきます。それに対してBルートは、閉じ込められた高校生の少年が事故発生前の出来事を“回想”するという形で描いていく話なのですが、最初は平和な日常の世界から始まって、それが徐々に徐々に非日常に侵食されていき、最後はとてつもない非日常になっていきます。
――今回のような極限状態を描いた物語だと、やはり残酷的な描写というのも必要だと思うのですが、そのあたりはいかがでしょう?
実は、月島さんがあまり残酷表現を得意ではありませんでした。これまでの月島さんの作品にもあまりそういう描写がなく、ご自身も好まれないというか、克明に描きたがらない人なんですね。
でも、残酷描写を過度に入れるのは問題ですが、必要なぶんだけ描くことは“本作をよりよい形でクリアしたくなる動機付け”になるので、絶対に必要だと思いました。なので月島さんにはあえて残酷表現を頑張ってもらって、とても壮絶に、悲しく、ある意味無残に、「なぜ救えなかったんだ!」と強い後悔の念が強く残るような描写にしてもらいました。
――そうなると、やっぱりCEROは高めなのでしょうか?
CEROは……これから調整です(笑)。
――……それは、大変そうですね(笑)。
でも『ルートダブル』は家庭用なので、事前にある程度配慮をしています。自分の経験則的に「ここは大丈夫だろう」と思いつつも、保険で何パターンかセリフを用意して、音声も収録しています。なので、これからは作品に必要な描写をギリギリのところまで探りながら、CEROさんと協議をしていきたいなと思います。
――機種をXbox 360に決定したのは、やはり表現の部分が大きかったのでしょうか?
表現の自由さ、幅があるというのは大きかったですね。大幅に規制のかかった脚本やCGを出したくなかったんです。なるべく完全な状態でお見せしたいという思いがありました。まさに、Xbox 360のおかげで『ルートダブル』をより完全な姿で発売できるのだと思っています。
――ところで、『ルートダブル』の移植の予定は?
今現在は、Xbox360の開発のことで頭がいっぱいですので、考えられません。これは全力投球しないと仕上げられないタイトルですので……。でも、いろいろなところから「こっちの機種でも出してくれ!」という声が上がってくるのはうれしいですね。
――AVGファンからは、現状でも結構そういった声がありますよね。
ご要望はたくさん届いていますね。特にみけおうさんのファンはゲーム機を持っていない人もいるので、「ぜひWindowsで!」という声をいただいています。……ただ、何があっても18禁にはできませんよ?(笑)
話はそれましたが、移植の予定は現状ないというのが正直なところですが、メディアミックス含めて、この先も多方面で展開できるかどうかは、ひとえにこのタイトルが盛り上がるかどうかにかかっています。発売したらぜひ手にとって遊んで、誰かと語りあってください。クリアした後、誰かと語り合いたくなる……そんな内容にしているつもりです。
→渡瀬は『Ever17』主人公・倉成武並みのスーパーヒーローに
(C)イエティ/Regista
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