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2011年12月22日(木)

【PS Vita 同時発売タイトル インプレッション】『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』――原点回帰で懐かしさと新しさを同時に味わえる王道ミステリー

文:電撃PlayStation

 17年前に発売して当時小学6年生だった自分を夢中にさせ、しかも夜中にトイレへ行けない心にした(だって怖いんだもの)サウンドノベルの金字塔『かまいたちの夜』。その最新作が満を持してPS Vitaに登場! シリーズ全作品をプレイしたAVG好きの人間として、最新作『真かまいたちの夜』を実際に遊んだ感想をお伝えしていきましょう!!

■1作目のオマージュ部分と、逆に変化させた部分のバランスが絶妙!

 まず最初に感じたのは『懐かしさ』! 1作目と同じく雪山のペンションが舞台な点はもちろんですが、ヘタレ気味な主人公と彼の気持ちに気づいているのかいないのか思わせぶりなヒロイン、という構図も1作目を思い出しましたね~。ほかにも、サングラス&コート&マスクで顔を隠してほとんどしゃべらない謎の人物がいたり、部屋に「今夜7時のサプライズ・パーティーをお楽しみに」という怪しいメッセージカードが置いてあったりなど、1作目を思い起こさせる部分がいろいろあってニヤニヤしてしまいました(笑)。

 しかし、すべてが同じかと言われれば全然そんなことはありません(当たり前ですが)。関西弁の社長が登場しなかったり、『かまいたち』というキーワードがあまり出てこなかったり、最初の被害者があの人ではなかったり……。「ここは1作目っぽいなぁ」「こっちは変えてきたか!」といった感じで、1作目と重ねている部分と異なる部分のバランスが絶妙でした! 

 なお、1作目を想起させる部分があるとはいっても、直接的に1作目とつながりのある登場人物や地名が出てくるわけではありません。だから、今まで『かまいたちの夜』シリーズをプレイしていなかった人が遊んでも問題なく楽しめると思います。

真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)
▲ペンション内でもトレンチコートや帽子を身につけたままの怪しげな男、黒井爽一郎(くろいそういちろう)。1作目に登場した田中一郎を思い起こさせるが、はたして事件とのかかわりは!?

■雰囲気にマッチした音声や伏線満載のシナリオが最高!

 『真かまいたちの夜』ならではの新しい部分で、最初に感心したのは音声ですね。初登場時や印象的なシーンのみ音声が入っているのですが、どの人物の声も違和感がなく自然で、作品の雰囲気にピッタリ。また、音声が流れている途中でボタンを押しても音声は途切れず、そのまま流れながら次の文章が表示されます。そのため自分が読むペースを崩されることはなく、音声も途切れずに最後まで流れる、理想的なシステムだと感じました! PS Vitaを傾けて部屋内を見わたし、気になる部分をタッチして調べる『おさわり選択肢』と、キーワードを組み合わせて情報を整理する『推理システム』という2つの新要素もほどよいアクセントに。

 肝心のシナリオですが、開始1時間で引き込まれて事件解決までノンストップでプレイしてしまいました!! もちろん何度も『終』エンディング(バッドエンド)を見ることになりましたが、とある人物の発言をキッカケに1つの仮説が思い浮かび、そこからドミノ倒しのように連鎖的に謎が解けて真相へ到達!! いや~、このときのドーパミン出まくりな状態は気持ちよかったですね~。事件を解決して全容を知ったあとに登場人物たちの何気ない会話を眺めていたら、到るところに伏線が張りめぐらされていたことに気付きました。「このセリフにはそういう意味があったのか!」と、事件解決後にも驚く部分があったのは素晴らしかったです!

真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト) 真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)
▲モーションセンサーとタッチパネルを使用した新要素『おさわり選択肢』。気になる場所をとにかくタッチ!! ▲音声の導入により臨場感や迫力がアップ! 背筋が凍る恐ろしいシーンもある。

■ミステリー編クリア後にもお楽しみいっぱい

 本編であるミステリー編のグッドエンドを1度見ると、サイドシナリオへ進むための選択肢からバッドエンドに直行のギャグ系選択肢まで、一気にさまざまな選択肢が追加されます。「最初のミステリー編とはガラッと雰囲気が変わって新たなシナリオが楽しめる」。やはり、これが『かまいたちの夜』の大きな魅力ですよね。神社で「ビンゴ!」という声を聞いてから主人公の不思議な体験が始まる『ビンゴ編』。「あたしボッコちゃん」と名乗る座敷わらしの登場をきっかけに妖怪が次々と登場するコメディ『妖怪編』。どちらも異なる魅力があっておもしろかった! 本編とは異なるミステリーが楽しめる『犯人当て -鎌鼬の夜編-』が収録されていたのは、推理好きとしてはうれしかったです。このほかにもまだまだサイドシナリオはありますし、さらに『みんなでかまいたち』『ふたりでかまいたち』という専用のモードもあります。

 『みんなでかまいたち』は、シリーズ初のオンライン用マルチプレイ(1ゲームにつき10人~100人)モードで、遊ぶたびに変化する犯人・凶器・死体の隠し場所を、ほかのプレイヤーよりも早く突き止めるのが目的。1日10分程度のプレイ時間で推理ゲームを楽しめますし、プレイ内容によって毎回変化する「事件のあらまし」を読むのも楽しいです。私もさっそくプレイ中ですので、一緒に遊ぶことになったときはお手やわらかにお願いします(切実)!! 『ふたりでかまいたち』は、1台のPS Vitaを2人で持って遊ぶことで相性診断ができるモード。もちろん2人で遊んだほうが楽しいのですが、このモード専用のシナリオが読めるので、じつは1人で遊んでも意外と楽しめちゃいます。自分も1人で……。か、悲しくなんかないやいぃぃ(号泣)。すいません、取り乱しました。というわけでメインシナリオとサイドシナリオに『みんなでかまいたち』や『ふたりでかまいたち』まで、ボリュームたっぷりの本作をぜひ遊んでみてください。小説のような感覚で電車内で読むのもアリですからね~!!(梅津爆発)

真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト) 真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)
▲コメディ色の強いサイドシナリオ『妖怪編』。このサイドシナリオはなんとフルボイス! ▲ミステリー編とは異なる殺人事件の謎を解く『犯人当て -鎌鼬の夜編-』。
真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト) 真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)
▲情報を集めて犯人を見つける『みんなでかまいたち』は、PS Vita版とPS3版のプレイヤーがオンラインで一緒に遊べる。 ▲PS Vita版のみで楽しめる相性診断モード『ふたりでかまいたち』。

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