2011年12月27日(火)
2011年のまり蔵的ベスト乙女ゲームは、ディースリー・パブリッシャーから11月に発売されたPSP用AVG『スト☆マニ ~Strobe☆Mania~』です。まあ、まり蔵探偵事務所の所長としては、“主人公が学園を騒がす怪盗を追う”なんてあらすじを聞いたら気にならないはずがなく。発売前から、非常に期待していた作品でした。
物語は、新聞部の部長のスクープを台なしにした主人公が、新聞部に入部して代わりのスクープを探すというところから始まります。主人公が目を付けたのは、学園を騒がしている怪盗シルバーシーク。謎の怪盗の正体を暴くため、学園内を縦横無尽に探索します。
この探索が結構大変。やみくも調べているだけでは、手がかりをつかめません。しかも、情報を得るために話を聞く攻略キャラクターたちが個性派ぞろい。時に怒られ、時にはぐらかされ、彼らに振り回されまくりです。ただ主人公もなかなかいい性格をしていて、キツいことを言われても全然へこたれない打たれ強さと、根に持たない潔さは好印象でした。ゲームをプレイする上で、主人公の性格が合う合わないって大事ですよね。
ちなみに、まり蔵が最初に攻略したキャラクターは、寡黙で無愛想な新聞部部長・神楽尽くん。サドっ気のある茶道部の部長さんや、実直で厳しい生徒会長も捨てがたかったんですが、無類のツンデレ好きである私の血が騒ぎましてね……。初対面でスクープをダメにしたこともあり、なにかと主人公へのあたりがキツい神楽くんですが、「このタイプは絶対ツンデレ! 後半で間違いなくデレる!」という根拠のない自信のもと彼を落とすことに。すぐに打ち解けるわけではなく、主人公と神楽くんが徐々に心を通わせていく過程が丁寧に描かれていて、何気ないイベントにほっこりしました。
学園内を調査しながら、怪盗シルバーシークの謎に迫るシナリオは、思っていた以上に大ボリュームで満足のひと言。ゲームを進めれば進めるほど謎が深まっていくミステリアスな展開に、どんどん引き込まれていきました。キャラクターとの会話の端々に登場する豆知識もおもしろかったですし、怪しげな美術品や学園裏サイトの存在など、まり蔵好みの要素がてんこ盛り。ミステリーとしても恋愛ゲームとしても、私の欲求を満たしてくれた良作でした。(まり蔵)
▲主人公が追う“怪盗シルバーシーク”。ミステリアスな怪盗には、月光がよく似合います。 | ▲まり蔵イチオシキャラクターの神楽尽くん。9:1の見事なツンデレ黄金比でした! |
データ
電撃乙女部に所属してから間もなく3年目、ようやく乙女ゲーの真のおもしろさに目覚め始めた遅咲き部員のおハナです。私を開眼させてくれたゲームの名は、『お菓子な島のピーターパン』。全キャラクターでのベストエンディング到達と、回想CGコンプリート率100%を達成したのは、初めてかもしれません。
ネバーランドとピーターパンの物語をベースにしている本タイトル。主人公は街中で遭遇したピーターにネバーランドへ強引に連れ去られ、フック船長、妖精ティンク・ベル、海軍提督のシザーなど、それぞれ異なる魅力を持つキャラクターと交流を持ち始めます。やがて彼らの抱える悩みや本音に触れ、恋愛感情が芽生えていく……というストーリーです。
QuinRose作品の特徴は、なんといっても驚きのボリュームを誇るシナリオ。攻略本編にまったく関係ない、サブキャラの会話1つをとってもかなりの長さがあります。でも、実はこの膨大な量の会話こそが、QuinRose作品のファンを引き付けてやまない、魅力でもあるんですね。
なぜなら恋愛ゲームの楽しみ方の1つは、プレイヤーが自分の脳内でお気に入りキャラを引っ張り出し、「私だったらあのシーンでこう答えた」「もしリアルにあんな素敵な人がいたら……」って、妄想プレイすることだからです! そんな時、攻略には影響しないはずの会話に散りばめられたキーワードが、ゲームの世界観や彼らの世界での物の考え方、何気ない日常生活といった情報を補強してくれるんです。
主人公に自分がなりきって、一番のお気に入りキャラクターと脳内恋愛シナリオを繰り広げるのが大好き! という乙女ゲーマーには、ぜひ『お菓子な島のピーターパン』をプレイしてほしいですね。(おハナ)
データ
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イラスト/水野十子
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