2012年2月14日(火)
●間 一朗 | ●鈴井 匡伸 | |
▲スクウェア・エニックスに所属する本作のプロデューサー。映像作品『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』、PSP用『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』に携わったほか、ポーションなど他業種とのタイアップを担当した。 | ▲インディーズゼロの代表取締役で、本作のディレクター。GBA用『千年家族』、DS用『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』、DS用『エレクトロプランクトン』など多数のゲーム開発に携わる。 |
――まずは本作を開発することになった経緯について教えてください。
間 そもそも『FF』を語るうえで、音楽の占めるポジションは極めて重要だと考えていました。そこから実際に『FF』の音楽をテーマにしたゲームの制作を提案したのは、かれこれ5年は前だったかと思います。で、この度ハード性能の向上も手伝って、野村から正式にGOが出た形です。
鈴井 “『FF』の音楽を生かした3DSのゲームを作りたい”という間さんのご提案をもとに、我々のほうでゲームデザインをまとめていきました。
間 インディーズゼロさんには、以前『ファイナルファンタジー アートミュージアム』というトレーディングカードを制作いただいたことがありまして、以来、『FF』に対しての理解度が非常に深いんですね。加えて、任天堂系携帯ゲーム機の開発にも十二分に実績をお持ちですので、声をかけさせていただきました。
鈴井 僕が16年ほど前に働いていた会社で間さんは先輩でした。だから、いつもは呼び捨てです。『ファイナルファンタジー アートミュージアム』の際には、携帯電話に連絡が入って、「鈴井さん、トレーディングカード作れるよね?」って聞いてきて、そのままなしくずし的に……。
間 そこまで高圧的じゃないでしょ(笑)。
鈴井 そんな感じで、なかよくさせていただいてます。本当のところは、仕事内容の部分で信頼していただいているからオファーをいただけたと思ってますけど。
間 本当に信頼してます。クオリティの部分もありますけど、鈴井さんの人となりや作ってきたものを見てきて、どんなに大変でもがんばってくれることを知ってますから。すごく細かくて、ていねいな仕事をしてくれるんですよ。『ファイナルファンタジー アートミュージアム』の時も、鈴井さんは「うちはゲームの開発会社なのに、どうしてトレーディングカードの仕事を持ってくるんですか?」なんて困った顔をしながらも、その次の打ち合わせの時にはトレーディングカードについてめちゃくちゃ勉強してきて、企画書をどっさりと作ってきてくれるんですよね。今回の『シアトリズム FF』でも、“『FF』の音楽を生かした3DSのゲーム”ということを伝えた次の打ち合わせでは、「なんで間さんがうちの会社に話を持ってきたのかを踏まえて企画を考えたんです」とか言い始めて、ものすごいクオリティの企画書を提出してくれました。
▲『シアトリズム FF』の開発中にインディーズゼロが作成した莫大な量の開発資料の一部。ふんだんにビジュアルを使うことで、スタッフ全員がイメージを共有しやすくて便利とのこと。 |
鈴井 きっと“インディーズゼロというゲーム会社に求められているもの”があると思ったんですよ。そこに100%応えたいじゃないですか。これは以前働いていた会社にいた時におもちゃ作りの心構えとして教わったことなんですけど、「打率3割でもいい。そのかわり、数をいっぱい出そう」というものがありました。これはすごく勉強になった言葉なんですけど、あくまでおもちゃ作りの際の言葉で、何がどんなきっかけでヒットするかは予測ができないから、数を増やすことも必要だということです。ただ、今の僕はゲームの開発会社のスタッフとして、1個ずつに命をかけるという形でやってきています。打率10割は難しいですけど、そこを目指して作品ごとに精一杯の丁寧なものづくりを心掛けてベストを尽くしたいんです。
間 ね、話が細かいでしょう(笑)。
――『FF』シリーズの25周年記念作品ということで、意識した部分はありましたか?
間 プレッシャーはハンパなかったですね。下手を打つと、お客さんからはもちろん、社の内外を問わずに関係者もろもろに大変ご迷惑をお掛けしてしまうことになりますから……(笑)。
鈴井 『FF』といえば、僕たちが子どものころから、この業界を引っぱってくれたタイトルなわけですから。自分自身は『FFI』から『FFVI』までは学生として、それ以降は社会人としてずっと遊んできました。僕の中では、ゲームの中で音楽が占める割合ってとても大きいと感じているので、それを題材にする際には、やはり軽々しくはできないんですよね。果たして自分たちは、誰よりも『FF』を深く知ったうえで、愛情を持ってしっかりと作ることができるのか。そこを自分たちが仕事を受けられるかどうかの判断基準として、それが実現できそうだったので、開発を引き受けたわけです。
間 本当に歴史が長いので、関係者のみなさんそれぞれの『FF』が存在するんですよね。各作品を作った、できるだけ多くの関係者の方々に、開発に着手する時点で説明にうかがいました。
鈴井 内容的には失礼のないようにしたつもりなので、実際に作品を遊んで喜んでいただけるとうれしいですね。ちなみに、シリーズ作品としての暗黙の了解となっている部分や注意点なども多かったのですが、スクウェア・エニックスの宣伝さんがいろいろとサポートしてくださったので、とてもスムーズに開発が進みました。
間 25年というのは、本当に長くて、その歴史の中で作品ごとにファンの方がいらっしゃるわけですよ。最新作の『FFXIII』から遊び始めた方も、絶対にいるはずですし。
鈴井 若い方によっては、発売日を見て、自分が生まれる前から続いているシリーズなんだとビックリする人もいるんじゃないでしょうか。今回もそういう歴史を感じられる記念碑を目指して、音楽を通じて『FF』の歴史を振り返れるものを目指しました。たとえば、コレカというトレーディングカードのような要素についてはみっちりと解説文を詰め込んでいますし、イベントミュージックステージで流れるムービーの中には名場面をつなぎ合わせたプレイ動画も入っています。だからもう、すごく豪華で、見ていて懐かしくなりますよ。25年の間に生み出された『FF』シリーズの音と絵をすべて使わせていただいたので、感謝の気持ちでいっぱいです。自分で作ったものを遊んで感動してしまうというのも、なかなかない経験ですよ(苦笑)。
▲25周年の記念碑的な作品となるよう、とにかく音と映像を盛り込んだとのこと。コレクションカードのようなコレカの裏には、熱い思いがこもった解説文がビッシリ! |
間 まさか3DSの画面で、PS2で発売された『FFX』の異界送りのシーンを見られるなんて、思ってなかったじゃないですか。
鈴井 PS3で発売された『FFXIII』のムービーを、立体視で3DSで見られるんですよ。オリジナルの素材が3D で作られていたわけではないんですけど、音楽ゲームを遊びやすいように奥行きがある場所にムービーが見えるよう調整しました。ちなみにモビクリップというミドルウェアを使っているんですけど、動画を流しながらゲームをプレイさせるというのは誰も想定してなかったことなので、任天堂さんにも驚かれましたよ。あれは動画をキレイに見せるためのものであって、同時にゲームをプレイすることは想定されていないんです……と、ね。そこを技術的にプログラムチームが努力を重ねて、動くようにしました。実現できるか不安な部分もあったんですけど、スクウェア・エニックスさんとしては、画質のクオリティを絶対に守らないといけないラインがあるはずなので、一番キレイに出そうと全力を尽くしました。
間 動画と音楽のレートはとにかく高くしてます。こだわりがありますよ。というか、そこをこだわらなくてどこをこだわるんだよって感じですね。
鈴井 お客さんの目は肥えてますからね。そこはもう、とにかくオリジナルを再現することにこだわりました。
――対応ハードは最初から3DSを考えていたんですか?
間 当初は、そもそも3DSがまだなかったので、どうしてもビジュアルと音楽の表現が、希望するところまでは届きませんでした。例えば容量も問題の1つなのですが、できるだけ圧縮をかけずに高レートで絵や音を再現しようとすると、“これ何曲遊べるの?”っていう落としどころになっちゃうんですよね。結局は、3DSの発表を受けてから、その性能や容量ならば問題点をクリアできるだろうと、あらためて企画提案を行いました。そう考えると、かなり長い時間をかけたプロジェクトです。
『シアトリズム FF』には“イベント”“フィールド”“バトル”と3種類のミュージックステージが用意されており、それぞれのステージによって遊び方が異なるのが特徴です。まあ、遊び方が違うとはいえ、基本的なルールや操作方法はほぼ共通となるので、実際に遊ぶ際はそれほど難しく考えることはないと思います。どのミュージックステージも曲調や演出を最大限生かせる形で調整がされているので、プレイしていてしっくり来ると思います。
ここでは軽くしか紹介していませんが、実はミュージックステージごとにアイテムの入手方法などに特色があるため、実際にゲームを遊ぶ際は目的に応じたパーティ編成が重要になります。たとえば、“ちから”が高いキャラクターはモンスターへ大ダメージを与えられるのでバトルミュージックステージで役立ちます。一方、“すばやさ”はフィールドミュージックステージでの移動距離に影響するので、“すばやさ”が高くてもバトルミュージックステージではあまり活躍できません。こんな風にキャラクターの能力を考えながらパーティを組むのも、『シアトリズム FF』の楽しさの1つといえます。
▲タイミングにあわせてトリガー(赤や緑など、さまざまな色の丸いアイコン)をタッチする場合と、タッチ後にトリガーに表示された矢印の向きにはじく場合、太い線が表示されている間はずっとタッチを続ける場合というように、主に3つの操作を行うことになります。タッチに失敗するとHPが減り、HPがなくなるとゲームオーバーです。 |
▲歌声が入ったテーマソングなどを中心に、動き回るトリガーを追うようにしてプレイするステージです。PS以降の作品はデモムービーで名場面が再現されることが多いのですが、昔の作品は実際のゲーム画面のプレイ動画が流れます。 |
▲ゆったりとした曲を中心としたステージで、タッチペンを上下に波打つようにスライドさせながらプレイするケースが多いです。基本的に遠くまで進むほどいいアイテムを入手しやすく、サポートキャラクターのチョコボに乗れば素早く移動できます。また、モーグリが宝箱をくれることもあります。 |
▲アップテンポの熱い曲がそろったステージで、左から流れてくるトリガーが右側の黒い円に入ったタイミングでタッチを行うことになります。敵を倒すことでアイテムを入手でき、召喚獣を召喚することで強力な攻撃を行うこともできます。 |
→3種類のミュージックステージの誕生秘話をチェック!(3ページ目へ)
(C)2012 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Right Reserved. Developed by indieszero Co.,Ltd.
データ
2019年2月21日発売
特別定価:680円(税込)
【特集1】
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
【特集2】
ヨッシークラフトワールド
【NINTENDO】
毛糸のカービィ プラス
ファイアーエムブレム0(サイファ)
【推しゲー】
スーパーロボット大戦T
SDガンダム ジージェネ クロスレイズ
【連載】
はじめよう! ファイアーエムブレム0(サイファ)
ポケモン情報局
インディーズ&ダウンロードタイトル最前線
【ゲームレビュー】
毛糸のカービィ プラス ほか
【新作ソフトカタログ】
Winning Post 9/DEAD OR ALIVE Xtreme 3 Scarlet/妖怪ウォッチ4/チームソニックレーシング/フォーゴットン・アン/Travis Strikes Again: No More Heroes/チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!/ファイナルファンタジーX/X-2 HDリマスター/ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ/ファイナルファンタジーVII/ファイナルファンタジーIX/ドラゴンズドグマ:ダークアリズン/ゾイドワイルド キング オブ ブラスト/釣り★スタ ワールドツアー/レミロア~少女と異世界と魔導書~ ほか
[集計期間2019年 02月19日~02月25日]
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