News

2012年2月29日(水)

一時はネットカフェ難民に!? Xbox 360『ルートダブル』シナリオライター・月島総記さんのすべてに迫るインタビュー

文:ごえモン

■自分が本当におもしろいと思える物語作りが達成できました

『ルートダブル -Before Crime * After Days-』
▲天川夏彦

――特に気に入っているキャラクターについて聞かせてください。

 全員好きです! というのが本音なのですが、あえてちょっと個人的な好みの話をすると……まず夏彦ですね。ボイスを担当してくださった市来光弘さんも仰っていましたが、夏彦は熱い男です。渡瀬と違って無力なところもあり、意見も青臭いことが多いのですが。

 自分たちが置かれている苦境を理解しながらも、まっすぐに己の意見や理想を語り、実現しようと頑張る彼は、やはりこの物語の主人公だと思っています。夏彦と渡瀬は、ビジュアルも年齢もまったく違う対照的な2人ですが、ともに影響を与え合っていきます。この主人公2人の絡みが私は特に好きで、そこにユーザーの皆様が注目してくれるとうれしいですね。

『ルートダブル -Before Crime * After Days-』
▲宇喜多佳司

 そしてもう1人は、宇喜多佳司。夏彦と渡瀬の影に隠れがちな“第3の男”ですが、彼も非常に好きです。周囲を混乱させる行動言動が多くなりがちな彼ですが、物語を動かす強力な原動力になってくれました。

 本作の登場人物は、ヒロインたちはもちろん、男性キャラの描写に力を入れました。男たちの頑張りや絆を見ていただければ幸いです。

――ではキャラクター作りで苦労したキャラはいますか?

 まず、恵那です。彼女は歯に衣着せない言動が災いし、周囲と軋轢(あつれき)を生むトラブルメーカーです。しかし同時に、ヒロインの1人でもあります。好ましさとウザさのバランスを取るのが、なかなか難しかったですね。なお渡瀬は『Ever17』の武を参考にしましたが、恵那は『Remember11』の黛を参考にしました。いい感じになっていればいいのですが。

 それと天川美夜子です。“高名な物理学者”である彼女を描くには、物理の知識がある程度必要で……その分野の素養がなかったので、かなり勉強することになりました。ためにはなりましたけど。

『ルートダブル -Before Crime * After Days-』 『ルートダブル -Before Crime * After Days-』
▲椿山恵那▲天川美夜子

――キャラについて執筆される時に、声(声優)の想像はしていましたか?

 声優さんには詳しくないのですが、2人だけ想像していました。そして片方は当たりました。でもその方以外の声優さん方も、皆様本当に素晴しい演技をしてくださいました。キャラボイスを初めて聞いた時は、全員がイメージ通りで驚きました。声優陣の方々には、誠に感謝しております。

――『ルートダブル』の見どころについて教えてください

 本作を書くにあたって、目指したことは4つです。まず“最初から最後まで、ダレずにおもしろくすること”。息をもつかせぬアクションとサスペンスとミステリーが本作の魅力です。

 次に“膨大な謎や伏線を張り巡らせ、それを最後にはすべてキレイに解決すること”。物語終盤で、爽快なカタルシスを感じられるようにしました。

 そして“すべてのキャラを魅力的に描き、かつそれぞれに物語を背負わせること”。登場人物はメインキャラはもちろん、脇役に至るまでしっかりと信念を持って生きています。

 最後は“テーマとメッセージ性をしっかりと込めること”。プレイし終えた後、皆様の心に残る作品になるように力を尽くしました。

 ストレートに伝わる“おもしろさ”と、じっくりと物語を読みたくなる“深み”を両立させることが、本作の狙いです。皆様にも楽しんでいただければ幸いです。

――“最初から最後まで、ダレずにおもしろく”というのはかなり困難なことかと思います。この部分は、どのように解決されたのでしょうか?

 執筆当初、私が掲げていた目標は“小説12本分のアイデアを1つの作品に”ということでした。主要登場人物10名+脇役数名分の物語を個別にしっかり作り込み、それらを1つにまとめ上げるという目論見です。そうして様々なアイデアを惜しみなく本作に注ぎ込み、次々と予想外のことが起こる作品にするよう苦心しました。

 もちろん最終的にご評価いただくのは、作り手ではなくユーザーの皆様ですが、この目論見が受け入れられることを心より祈っております。

――シナリオを書き終えて、本作への手ごたえはいかがでしょう?

 実力以上の作品が書けたということは、間違いありません。自分が本当におもしろいと思う物語作りを目指してきましたが、それは達成できたと思っております。

 本作は私と中澤監督とサブライターと、さらにスタッフの方々のアイデアや熱意がすべて混ぜ合わさった作品です。いろいろと苦労したからといって、必ずしもおもしろくなるとは限りませんが、ベストは尽くしました。皆様にも楽しんでいただければ幸いです。

→いずれは本格ミステリーを

(C)イエティ/Regista

データ

関連サイト