News

2012年3月5日(月)

次にカプコンが戦いたいお相手は? 『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』の開発陣にロングインタビュー!!

文:電撃オンライン

■ゴルフクラブを買うのが好きな人だっている

――今後、もしシリーズの次回作があるとしたら、やってみたいことなどはありますか?

奈良:まったく違うものにしたいですね。

門脇:新しいお客さんにやってもらえるものにしたいなと思います。

奈良:ちょっと今までの流れをリセットした方がいいかなとは、今回やって思いました。少々とがりすぎてきている気がしたので。ただ、お祭り感のあるゲームは作りたいんです。でも、このまま行くとストイックに作るしかないかなと思っていて……。

門脇:“遊ぶキッカケ”がたくさん散りばめられたゲームになったらいいなと思います。今回の“ヒーロー&ヘラルド”でも、格闘ゲームでデッキを組んで戦うというシステムを入れましたが、これからも「おもしろい!」と思ってもらえるような要素をより多く入れていきたいですね。

Neo_G:システム面では、Xファクターとチームエリアルを入れたんですが、ぶっちゃけると世間的には賛否両論です。でも、新しいユーザー、ライトユーザーがゲームをやる時の手助けになる方法がないかというがコンセプトなんです。Xファクターは、前作を作った後にいろいろと検証したんですけど、新妻からこのままの方向性でいいよと言われて、今作の形に落ち着きました。そういう意味で、いろいろと可能性があると思うんです。具体的には思いついていないんですけど、たとえばFPS(ファーストパーソンシューター)など別のジャンルのゲームをやっている人に遊んでもらえるようになったら、盛り上がるんじゃないかなと思っています。

門脇:『VS.』シリーズは、いろいろな作品からキャラクターが登場しますし、驚く要素満載のお祭りゲームなので、新しいことをやり続けるのは大事かなと思いますね。

『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』 『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』
▲バリエーション豊かなキャラクターが登場する『MARVEL VS. CAPCOM』シリーズ。ド派手な演出も、“お祭り”というにぎやかな雰囲気からデザインされている。

――『MARVEL VS. CAPCOM』からは少し離れるんですが、技術的なことは置いておいて、自分が遊んでみたい理想的な格闘ゲームはありますか?

新妻:“格闘ゲーム”と聞いただけで拒否反応を起こす人もいるので、そのハードルを下げていければと思いますね。細かいところまでバランスを取ってくれるようなマッチングができればおもしろいのかなと。技の威力を、腕前によって細かく増減させるとか。お互いに同じぐらいのレベルで対戦できたらいいのかなと思います。

Neo_G:正直なところ、格闘ゲームは閉塞感があるとは思うんです。格闘ゲームの対戦ツールとしての度がすぎると、ライトユーザーが入れなくなってしまう。Xファクターを入れたのは、ライトユーザーでも戦えるようにしたかったからで、うまいユーザーが逆手に取ることもできてしまうんですが、本質はそこにあるんです。うまい人が使っても、下手な人が使っても、それぞれ納得ができるものが命題だと思いますね。格闘ゲームでは、うまい人たちが偉いという風になるのはある意味当然と言えば当然ですが、ライトユーザーでも“楽しめる”ではなく“尊重される”何かが、今後格闘ゲームに必要なんじゃないかなといつも頭を悩ませています。

奈良:今回も団体戦を入れましたが、もっと違う形の協力した戦い方もできないかなと思いますね。FPSもそうですけど、仲間がいる状態で勝敗を決めるというのも格闘ゲームの中に入れられたらなと思います。それがライトユーザーが手を出すキッカケにつながるといいですけど。それでも、今は“格闘ゲーム”というと初心者お断りというイメージがあるので、まずはそうではないというイメージ作りを、業界全体でやっていきたいなと思います。

門脇:格闘ゲームはアーケードゲームからスタートしているので、お金をつぎ込んでいっぱい練習した人が強いというのはわかるんです。でも、今は家庭用のゲームも多いですよね。家庭用のゲームは、基本パッケージで使っているお金は同じなんです。なのに、片や優越感を、片や劣等感を感じるというのは少しイヤだなと思います。なので、ビギナーズラックもあり得るゲームが理想の格闘ゲームかなと思いますね。

新妻:いいところを取ると、反面悪いところもあって。コアユーザーの声の大きい人の意見ばかりを拾っていると、先細りになってしまうかもしれない。でも、ライトユーザー層に合わせると、コアユーザーが求めているものと少しズレてしまう。そこをどうコントロールするかが課題だと思いますね。

――難しい問題ですよね。ライトユーザーとコアユーザーではゲームへの考え方が違いますし。

新妻:まぁ、それらを解決するには、一つの手段として、格ゲー以外の"オマケモード"があると思っています。カプコンで言えば、『ストリートファイター』や『MARVEL VS. CAPCOM』というゲームを維持しながら、そこにプラスアルファを入れる。そのプラスアルファのところでライトユーザーさんに入ってもらえるようにする。オマケモードかもしれないけど、それだけでも成り立つぐらいのものにしないといけない。そうしたら、“格闘ゲームはやらないけど、オマケのモードはやる”という人が出てくるかもしれないじゃないですか。それで格闘ゲームも遊んでもらえるようにするという。もちろん、それだけのゲームを作るのはボリューム面で大変なんですけどね。

――格闘ゲームがニガテでも、それなら楽しめるかもしれないですね。

新妻:そういえば昔、RPGの戦闘が格闘ゲームになっているゲームを考えたこともありましたね。腕が立つ人はアクションで進めればいいし、それができない人はレベルを上げて装備を整えて進めればいいと。そういう部分を詰めていければ、ある種の格闘ゲームの新しい形にならないかなぁ……と(笑)。

Neo_G:かといって、僕らはやり込んでいる人たちを否定するつもりはないんです。大会など協力できることは協力していきたいですし、そういうムーブメントを大切にしたいし、ユーザーにも大切にしてもらいたい。僕もどちらかと言うとそっち側の人間だし、突き詰めたから楽しめる空間ってあると思いますから。

 スポーツとかでも同じですよね。でも、全員がプロゴルファーではありません。ゴルフだったら、プロにアマチュア、コンペや接待でコースに出る人、打ちっ放し専門で楽しむ人もいる。他にもたとえばゴルフクラブを買うのが楽しい人だっていると思うんです。さらには「ゴルフをやっている俺がカッコイイ!」という人とか。そういう人たちそれぞれのことを考えるのがまだまだ足りないのかなと思いますね。

→カプコンの次なる対戦相手は――。(6ページ目へ)

TM & (C) 2011 Marvel & Subs.
(C)モト企画 (C)CAPCOM CO., LTD. 2011, (C)CAPCOM U.S.A., INC. 2011 ALL RIGHTS RESERVED.

データ

▼『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』ダウンロード版
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:FTG
■発売日:2011年12月17日
■価格:4,300円(税込)

関連サイト