2012年3月19日（月）

『バイオハザードリベレーションズ』が見せた携帯ゲーム機でのホラーゲームの可能性とは!?　開発者スペシャルインタビューを公開！

■海外ドラマのような目まぐるしい展開！　シナリオはどのように作られたのか？

――今回、脚本を「カウボーイビバップ」や「サムライチャンプルー」など、数々のアニメ作品を手がけた、ストーリーライダーズの佐藤大氏に依頼したのは、どういった経緯からなのでしょうか？

中西　ゲームを作り始める時に、携帯ゲーム機なので短い区切りで遊べるようにしたいと考えていました。じゃあ連続ドラマのような見せ方にしたら？　と提案がありまして、なるほど、そうすることで据え置きの『バイオハザード』シリーズが映画なら、こっちはTVドラマというすみ分けも面白い。タイトルとしてキャラが立つと考えて、アイデアをいただくことにしました。

川田　ですが、我々は「シリーズ構成」というものをやったことがないので、そういったノウハウがまずは必要だと考えました。最初お会いする時は、厳しそうな方だったらどうしようとビクビクしていたのですけど、お会いしたら「『バイオハザード5』をクリアしたばかりですよ！」と、まるで我々がこのお話をご相談するのを知っていたかのような展開で（笑）。

竹中　「一番好きなのは『バイオハザード3』です！」とか、ずっとシリーズのことを語っていましたよね（笑）。

中西　そうなんですよ。ゾンビのこととかすごく詳しい方でしたね。

竹中　本当に『バイオハザード』の細かい設定などを話す必要がほとんどなかったくらい詳しい方でした。「僕がジルを書ける！」って喜んでいましたから（笑）。

――なるほど（笑）。これはもう運命的な出会いだったのですね。シナリオはどのように作られていったのでしょうか。

中西　コンセプトができて、シチュエーションのアイデアなど、やりたいことが溜まってきた時点で、佐藤さんたちと何日間か合宿という名の缶詰状態で一緒にプロットを固めました。

――豪華客船が舞台というのは最初から決まっていたのでしょうか。

竹中　閉鎖空間として船というのは一番いい舞台だと思いました。でもタンカーとかではなく豪華客船にしたのは、洋館みたいな船内も違和感なく作ることができるし、カジノやショッピングモールがあってもおかしくないですよね。そういった1つの閉鎖空間の中でバリエーションがあっても違和感がなく、絵作りができる。そういったものが作れないと、逆にプレイが飽きてしまうんですよ。

川田　初代『バイオハザード』の、すべてのマップを凝縮できているようなイメージがありますね。本作の体験版をダウンロードして遊んだ方は、「今回って洋館が舞台だっけ？」と思った人もいるかもしれませんね。

――そういったシナリオをまとめるのは大変だったと思いますが。

川田　やっぱり時間的には辛かったですね。

中西　アニメのスケジュール感で進めてみたのですが、ゲームの進行とはうまく合わなかったです。特に今回、ニンテンドー3DSという初めてのハードで作っている手前、作りながら、これはできないから、代わりにこっちをとか、ここのステージ短くしないといけないとか。そうでなくても、僕らの制作スタイルは、ゲームを仮組みしてテストしてみて、修正するというクラッシュ＆ビルドを繰り返します。アニメの毎週1話ずつ完成させていくというやり方と合うはずもなく、結局、変更がかかった部分を、その都度書き直してもらうという形で、佐藤さんには苦労をかけてしまいました。

川田　でも苦労した分、ユーザーの方からの反応はよかったね。シナリオがすごくおもしろかったというご意見をいただいています。

中西　ポイントは各話のラストの、いわゆるクリフハンガーの部分を重要視したところですね。エピソードごとに区切りをつけるということは、逆にゲームのやめ時を作るということなので、そこは気を付けて次を見たいと思えるようにしています。全体の整合性よりも、そのクリフハンガーやゲームシチュエーションの起伏にウェイトを置いたことは結果としてうまくいったと思います。

川田　おかげで一気にプレイしてくれるユーザーも多かったみたいです。

――ちなみにジルやクリスを出そうというお話は最初から決まっていたのでしょうか。

中西　そうですね、最初から決まっていました。「原点回帰」というコンセプトもあって、王道の『バイオハザード』をやるには、彼らを出さないとダメだなと。シリーズをプレイしているユーザーの方なら、きっと嬉しかったのではないでしょうか。

川田　なかなか2人がコンビを組まないんですけどね（笑）。

中西　クリスは最近強くなり過ぎた印象があったので、昔ながらのホラー向きではなくなってしまっているんですよね。創造してもらえればわかると思うのですが、ゴーストシップに最初乗り込んで行く時に、マッチョなクリスより、ジルの方が雰囲気も出るでしょ？　逆にクリスは、よりヒロイックになってるイメージから、後から現れる頼もしい人、「クリスきたー！」という役どころにしました。

竹中　ジルとクリス以外のキャラクターは、彼らを補完する役目として立たせています。特にジルとクリスは双方ともにあまりしゃべるキャラではないので、ジェシカやパーカーのようなキャラクターと組ませることがどうしても必要でした。

――そういえば日本語吹き替えがシリーズ初でしたね。

中西　ユーザー層的にそうしたほうがいいんじゃないかというのもありますが、携帯ゲーム機でガッツリと字幕を読ませるのも厳しいですからね。実際は読みやすかったのですが、立体視の没入感を阻害したくなかったので、できれば字幕も入れたくはなかったです。

――キャスティングは絶妙だったのではないかと。

中西　僕はそんなに声優さんに詳しくないんですけど、イメージに合う方を伝えていたら、割とそのまま決まってしまいました（笑）。水樹奈々さんのようなイメージでと言っていたら、そのまま水樹さんに決まっていたり（笑）。

竹中　ジェシカは女子力が高いというコンセプトがあったので、確かに水樹さんの声は合っているなと思いました。

川田　最初は日本語を聞きながらプレイすることに違和感があったんですけど、進んでいるうちに日本語じゃないとダメになっていました（笑）。

竹中　皆さん、さすがに演技がうまい方ばかりなので、スッと入っていくことができます。聞いていても安心感がありますよね。


▲エピソードごとに重厚なシナリオが展開。各エピソードのラストでは驚愕の事実が発覚するなど、常に目を離すことができないつくりになっている。