『水曜どうでしょう』D陣による連載コラム『悩むだけ損！』の書籍が絶賛発売中！ 本書の内容を一部抜粋して紹介!!

お悩み その1：結婚したくありません（30代男性）

藤村より（抜粋）

　「1人で気ままに生きる」ってのは、いいですよね。さすらいの風来坊。カッコイイ。私もそんなのに憧れて大学浪人中にいきなりバイクを買い、テントを積んで旅に出ました。キャンプ場にテントを張るのはレジャー的であり風来坊的ではないので、なるべく人のいないところ、山の中とか橋の下とかを選び、他人に気兼ねなく野宿しながら日本中を走りました。

嬉野より（抜粋）

　私は今、北海道のテレビ局で仕事をしておりますが、もともとは東京に住んでおりました。女房とは東京で知り合い結婚し、2人は東京で暮らしておったのであります。それがある日のことです。突如として女房が「札幌に中古マンション買ったわよ」というのであります。
　「はぁ？」
　寝耳に水とはこのことで。ポカンとしておりますと、女房は私に言うのであります。「だって私、30歳になるまでに札幌で開業したいって言ったじゃない」。「あ……」突然落雷のように記憶が蘇りました。そうだった。女房は鍼灸師であります。そういえば言ってました。30歳までに札幌で鍼灸院を開くつもりだと、結婚前にそのことを女房は私に打ち明けて、それでもよければと確かに私に言ったのです。

お悩み その8：人生で一番大事なことはなんですか？（20代女性）

嬉野より（抜粋）

　人生で一番大事なこと。朝寝坊して朝ごはんを食べずに学校へ行くこと。ごはんの前に手を洗い食べた後に歯を磨くこと。お風呂に入った時、自分は身体のどの部分から洗うかを考えてみること。小さかった頃、近所のお風呂屋さんに家族で通ったことを覚えていること。犬の散歩道にある公園に、ある日一面に花を咲かせるタンポポを見て夏が近いと知ること。近所のクリーニング店に冬物を出しに行くこと。夏の木陰で涼しい風に吹かれること。晴れた日におだやかな海を見ること。買い物帰りの道で野良猫に好かれること。

お悩み その9：飼うなら犬？　それとも猫？（20代女性）

藤村より（抜粋）

知らねぇよ。
　と、言いたいところですが、良かったですね。私は犬も猫も飼ったことがあるので、おめぇーさんのどぉーでもいい話に、少しは付き合ってあげます。ただし、おめぇの悩みには切迫感がまったく感じられないので、こっちも「お悩み相談」なんかではなく、単なる私の動物飼育体験記を書きます。いいですよね。

　私は小学校の卒業文集に「将来はオーストラリアで獣医さんになりたい」と書いたほどの動物好きです。ですが私が好きなのは、犬でも猫でもなく、鳥と魚です。

お悩み その11：才能の限界を認めて夢をあきらめるのがおそろしい（20代男性）

藤村より（抜粋）

　「才能」というのはつまり「自分」と「他人」、それも「一般的な人」と「そこから傑出した人」とを比較することによって、その有無を定義していると思うんだよね。「自分よりもっと上手に○○をできる人が他にいるから、自分には○○の才能はない」という定義。そう、すべては「デキル人」との比較だ。だって、そこらへんにいる普通の人と比べて「オレはあいつよりも才能がある」なんてことは、恥ずかしくて言えないもんね。せいぜい「あいつよりは○○が得意だ」ぐらいの言い方にしかならない。つまり「才能」というのは、常に「デキル人」と比較して「あの人に比べたら、自分には才能がない」という結論に、これはもう必然的になってしまう。ということはもう、ほぼすべての人に「特別な才能などない」というのは、これはもう当然の帰結なんです。

書き下ろし：なにげなく話していた損のない話

（抜粋）

藤村　別にねぇ、そんな、だいそれた失敗ってないんだってことがわかればね、それをわかることが大きいんだと思うんだよ。そんなねぇ、そんな心配するような失敗することなんかねぇ、ないよ。そんなの、だって、さっき、家に火ぃついちゃったんだもん（笑）。

嬉野　燃えたねぇ（笑）。

藤村　もうさぁ、あんなに火ぃ使うことなんか普段ないもんだから、どんどん薪くべちゃってさぁ、だから盛んに火が出て、そら釜だってさぁ、悲鳴上げてさぁ、多少壁に燃え移ったんだよね（笑）。そんでもねぇ、あっちにババァが2人くらいいたけどね、「燃えちょる燃えちょる」って、緊張感のある言葉のわりには、たいして深刻じゃないもんね。20人くらい集まってるから皆で水かけたらすぐ消えてね。だからもうムード次第でなんとでもなるよ。

嬉野　仕事であっても人が生きることがメインと思えばね、コストもマニュアルも大事だろうけど「気分」も大事なんじゃないのと思うんですよ。気分を大事にしてほしいっていう時は誰しもあるでしょ。オレ、人は「気分」だと思うんだよね。