2012年5月22日(火)
カプコンよりPS3/Xbox 360用ソフトとして、5月24日に発売されるオープンワールドアクション『ドラゴンズドグマ』。本作の開発を統括する2人のキーパーソンクリエイターのインタビューをお届けする。
『ドラゴンズドグマ』は、ファンタジー世界を表したオープンワールドを舞台に、冒険を体験できる新作ACT。ち密なグラフィックで描かれた広大なオープンワールドは、命が吹き込まれたようにリアルな生物たちが生息し、プレイヤーは多彩なアクションを駆使して戦いを楽しめるという。
掲載するインタビューは、『電撃PlayStation Vol.518』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されたものに、ページ数の都合で掲載できなかった情報を加えた完全版。本作を手掛けた小林裕幸プロデューサーと伊津野英昭ディレクターに、さまざまなシステムの誕生秘話からプレイ前に覚えておきたい要素まで、深く鋭く迫っている。(インタビュー中は敬称略)
▲小林裕幸氏:『戦国BASARA』シリーズの生みの親で本作のプロデューサー。最新作『バイオハザード6』でもその手腕を振るう。 | ▲伊津野英昭氏:『デビルメイクライ』シリーズの他、多数の対戦格闘ACTの開発にも携わってきたクリエイター。本作ではディレクターを務める |
小林:最新作の企画として動き出したのは2008年の秋くらいからです。
伊津野:私のほうは『デビルメイクライ4』の開発が終わってすぐに準備に入りましたので、だいたい4年前になります。それで大人数で本格的にスタートしたのが2年半前くらいですね。
──初めてゲームの概要を聞いたのが2011年の春で、それがそのまま実現されていたことに驚きました。小林:基本的にあとで付け加えたものはなくて、最初からの構想どおりに仕上げています。
伊津野:ポーンの貸し借りをサポートする公式サイト・ポーンコミュニティにゲームハードから写真を上げる際、FacebookやTwitterを介して写真をアップするので、自分のポーンを他のプレイヤーに借りてもらうための宣伝ができますが、最初はそれらを使わずに自社サーバを使ってやる方法はないかと、ずっと検討していました。でもTwitterとFacebookが一番使いやすそうという話になって、ギリギリで実装できました。
──オープンワールドの世界のため、ストーリーを進めなくてもフィールドの遠くまで行けてしまうので、バランス調整にはかなり苦労されたと思いますが。伊津野:昨年の6月からずっとテストプレイをしていました(笑)。もちろん完成度はどんどん上がっていきましたので、そのクオリティをチェックするためのプレイですが、もうずーっとです。相当大変でした。
──長期的な開発期間の中で注力された部分は?小林:やはりポーン関連のシステムで、開発当初からずっと調整を続けていました。
伊津野:あとはキャラエディットですね。プレイヤーキャラをエディットできるゲームはありますが、まだ他社さんではやっていない要素を盛り込んでいまして、たくさん特許も出しています。本作では登場するすべてのキャラがエディットで作られています。しかも画面に4人が常時表示されていて、それぞれが服を3枚重ね着している状態で動かすという、技術的にとても高度なことをやっているんですよ。パーティが4人で、クエストによってはそこにNPCが2人くらい加わって、さらに巨大な敵が大暴れしていて、周りに小さな敵が飛んでいたり……。それが30フレームで動くようになったのは、割と最近だったりします(笑)。本当に苦労しました。
──プレイヤーキャラとメインポーンはエディットが可能ですが、バリエーションはどれくらいありますか?伊津野:ちょっと数えきれません(笑)。実はこれでも絞ったんですよ。当初は襟や袖の有無などパーツごとに分割されていましたが、それを4~5パーツにまとめた装備品の組み合わせに再編集しました。相当簡略化しましたが、それでも物量的にはすごく多いです。
──目の高さなども変えられたりするので、情報量が膨大ですもんね。伊津野:あれも本当はアナログで好きな位置に変えられるようにしたかったんですけど、それをするとサーバーに上げるデータ容量が膨大過ぎて爆裂してしまうので(笑)。あとはエディット自体の難易度(お手軽さ)が上がってしまうので、そういった理由もあり、こちらの決めた範囲でのデジタルになっています。何十万、何百万のデータがサーバーに上がることを想定して、極限まで1体のデータが少なくなるように工夫しています。
――女性のポーンを作ったほうが、男性のユーザーにも借りてもらえるかもしれませんね!伊津野:逆にイケメン風ポーンにしておけば女性ユーザーが借りてくれますよ(笑)。実際にウチのチームでテストプレイしている女性は自分以外男性だったりしますし、イケメンのポーンばっかり作っています(笑)。もちろん外見だけじゃなく、装備で選ぶこともあるでしょうね。後半になりますが、特徴を持たせた偏った装備とかも出てきます。特定の敵にだけ、すごいダメージを与える武器もあるので、そういう装備を身に付けておけば、選んでもらえるかもしれませんね。
▲キャラエディットによって、自分好みのキャラクターを作成可能。エディットはプレイヤーキャラクターの覚者と、メインポーンの2体のみとなる。 |
(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.
データ