2012年6月7日(木)
▲インタビューは、カレーを食べながらのリラックスした雰囲気で行われた。 |
――本作は制作にかなり時間が掛かっていた印象を受けますが。
山際さん:2年前のTGS(東京ゲームショウ2010)に出展したんですが、あの時は2Dのゲームでした。そこからいろいろあり、現在の3Dのゲームになりました。キャラクターのモデルは3Dで作っていたのでそのまま使えたんですが、フィールドは作り直しだったので、かなり時間が掛かりました。
――企画を含めると3年ぐらいですか?
山際さん:そのくらいですね。
――最初はもっとライトな感じのゲームでしたよね。
山際さん:そうですね。当初はPlayStation Networkでの配信を考えていたのですが、プロトタイプをいろいろな人に見せたところ、とてもいい反応をいただけました。であれば、触ってもらう機会を増やそうと思い、作り込んでパッケージ販売することに決めました。
――一番大きく変化したところはどこですか?
山際さん:最初は特定のフィールドに放り出して、そこで自由に生き抜いてもらうデザインだったんです。でも、それだと自分遊びができる人じゃないとなかなか楽しめないところがあって。なので“サバイバル”という軸に、関連するシステムや目的を与えるところに時間が掛かりました。それがシステムの“チャレンジ”などですね。“コスチューム”も、人間がいなくなったら衣服が散乱しているだろうと考えて盛り込んでいます。動物が衣服を着るのは異例ですが、気飾ったりする楽しみも増えますし、まぁいいんじゃないかなと(笑)。
――オススメの動物を教えてください。
山際さん:中型の動物がいいですね。そこそこ敵を倒せますし、ハングリーゲージの持ちがいいので、オールマイティです。
――具体的には、どのくらいの動物が中型になるのでしょう。
山際さん:ビーグルやハイエナぐらいですね。
――肉食と草食だとどっちがいいんですか? 少しプレイする機会があったのですが、個人的には肉食動物のほうがエサを確保しやすくて簡単そうに思えました。
山際さん:確かに肉食は使いやすいですが、生存年数が50年ぐらいになってくると恐竜などが、100年を超えるともっととんでもないものが出てきたりするんです。そうなると、エサを簡単には狩れなくなってしまいます。その点草食はそれらの影響を受けないというメリットがありますね。上級者ほど草食のほうが生き残りやすくなるのではないでしょうか。デバッグチームでプレイした時は、ヒヨコが1番でした。まぁ、彼(別卓の片岡さんを指して)が叩き出したんですが。
――動物ごとにサバイバルポイントの倍率が異なるんですよね。
山際さん:そうですね。ヒヨコはかなり倍率が大きいので。あと、身体が小さい動物ほどランクアップが早いので、いいメスと子どもを残しやすくなりますね。腕があるならヒヨコがオススメかなと思います。ヒヨコは成長するとニワトリになるので、ひと粒で二度おいしいですよ。
――このゲームを通して描きたかったこと、伝えたかったことはありますか?
山際さん:その質問は、片岡さんのほうがいいですね。ちょっと呼んできますね。片岡さーん!
片岡さん:はい?
山際さん:このゲームを3年間作ってきて、描きたかったこと、伝えたかったことはなんですか?
片岡さん:えっ!?
山際さん:何を感じてほしいかとか……。
片岡さん:いやもう、楽しんでもらえればそれでいいですよ(笑)。思想とか、伝えたいメッセージなんて何もないです。
▲ここからは、別のテーブルで話をしていた片岡さんと交代することに。 |
――“動物たちのサバイバル”というところが出発点だったと。
片岡さん:そういう意味で言うと、僕は旅をするゲームが作りたかったんです。旅人が惑星に不時着して、そこで生き残るゲームを作っていて……。“何もない世界をさまよう”ということをやりたかったんです。
――なぜ動物をモチーフに選んだのでしょうか?
片岡さん:ストーリーはあまり必要ないと思っていたんですが、旅人だと余計なことを考えてしまうじゃないですか。そこでパッと浮かんだのが動物だったんです。以前ゲームを作った時に、ものすごくかっこいいアートワークができたんですが、一部のオシャレな人にしかウケないようなものだったんです。やるからには売れたかったし売りたかったので、キャッチーなものが必要だと考えました。その点、動物ってものすごくキャッチーじゃないですか。ポメラニアンなんて特に(笑)。恐竜にしろトラにしろ、あまりきらいな人はいないですし、動物を動かして遊べるゲームがあまりないということもあり、動物に決定しました。
――人類が絶滅しているという設定はどこから?
片岡さん:“人間がいなくなった都市”というものが昔からあるキャッチーなテーマですが、これに動物を組み合わせることで斬新なゲームになると思ったんです。売れるんじゃないかなという直感がありました。
――根本は“旅”だったんですね。
片岡さん:こう遊んで、というような押しつけるゲームにはしたくなかったんです。自分が介在する余地がある表現が好きなので、ゲームでもそういうものに挑戦したかったです。でもたまにこんな風に(仁王立ちする熊を指さして)主張することもあるんですが(笑)。
――人が入っているような立ちっぷりですよね(笑)。
片岡さん:このモーションは、『ファイヤープロレスリング』でプロレスラーのモーションを作っていた人が作っているんですよ。なのでこいつは異様にプロレスラーっぽいんですよ(笑)。
――恐竜が出てくるのはなぜですか?
片岡さん:出したかったからです。動物だけだと飽きると思ったんです。肉食動物って、特にみんな4つ足で、同じ姿なんですよ。ライオンでもチーターでも犬でも。どんなに強い動物を出しても、プレイ感が似通ってきてしまったんです。キリンやゾウ、ウマなどシルエットが特徴的な草食動物を入れて、肉食でもワニや恐竜を出したんです。ただ、それがちょっと後でアダになって……。
――アダというのは?
片岡さん:SCEにプレゼンする場があって、初めて作ったコンセプトムービーを見せたんです。最後にプレイヤーの動物が恐竜に食べられて終わるんですけど、それを見せた瞬間に「なぜ恐竜がいるんだ? 理由を説明しろ」とツッコミが入ったんです。
――冷静ですね(笑)。
片岡さん:それを説明するために、ストーリーを用意した、というわけです。
話も盛り上がってきたところだったが、残念ながら試食会は終了の時間に。ぜひ本日発売の『TOKYO JUNGLE』をプレイして、動物たちのサバイバルを楽しんでほしい。
ちなみに、こちらが先ほどSCEから届いた本日6月7日の社内の様子。特製カレーがふるまわれている他、体験コーナーも設けられているようだ。
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