2012年6月8日(金)
“Electronic Entertainment Expo(E3) 2012”会場内のGREE(グリー)ブースで行った、米国子会社GREE International, Inc.のCEO、青柳直樹氏へのインタビューをお届けする。
▲青柳氏はGREE本社の取締役 執行役員CFO 国際事業本部長も兼務している。 |
GREEはソーシャルゲームを中心としたSNSで、日本国内だけでなく海外市場への展開も開始した。E3には初めての出展となる。
このインタビューでは青柳氏に、グローバル展開の手応えや今後の戦略についてお話を伺った。
▲『探検ドリランド』や『ドラゴンアーク』といった日本でおなじみのタイトルから、本格的なSLGやRCGなど、20タイトル以上のゲームが展示されている。 |
▲ゲーム中のキャラクターを模したコンパニオンの姿も。 |
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――この春から海外での大々的なGREEの展開がスタートしましたが、なぜこの時期になったのかを含めて、その経緯を教えてください。
私自身、そもそも海外でも展開したいと考えていました。自分たちのゲームを日本だけでなく世界中でも遊んでもらいたいという気持ちがありますから。また、日本国内から海外へと市場を拡大していくという流れは、これまでのゲーム会社も行ってきた流れです。任天堂さんやSCEさんがまさにそうだったので、それに近づくことができたらという思いがありました。
海外展開の準備自体は以前から行っていましたが、それが具体化していったのは一昨年(2010年)ぐらいからですね。日本でモバイルのソーシャルゲームを展開していく中で、日本国内での確固たる手応えを感じられるようになったのが、だいたい一昨年ぐらいだったんです。
もう1つ、我々にとって大きかったのがiPhoneの普及です。ちょうど2010年くらいから、日本でのフィーチャーフォンはスマートフォンに切り替わっていくという流れが見え始めました。それまでは日本と海外とで違うデバイスが使われていましたが、その境目がなくなって全世界で共通の規格となるスマートフォンの勢いが増していくのを感じました。そうなると、我々がやってきたことをグローバルでも展開しやすいわけです。
こうして2010年くらいから社内でディスカッションを行い、2011年か2012年あたりには海外展開を始められるように準備をしてきて、今回ようやく1つの形になってきたところです。
――実際に2012年というタイミングで展開を開始して、時期的なメリットはありましたか?
ラッキーでよかったなと思っているのが、スマートフォンやタブレットの市場規模やクオリティが世界的に充実してきている時期だということです。少し前までは、ゲームを遊ぶにはコンソールかフィーチャーフォンくらいしかなかったマーケットが、日本でもアメリカでも拡大しているタイミングなのがよかったですね。我々がやりたいこととマーケットの動きがちょうどマッチするという、いい流れの真ん中にいるからこそ、今日もこうやって我々のブースにたくさんの方々がいらっしゃったのかなと思います。
■有名な海外スタジオFunzioを子会社とした2つの狙い
――この5月にFunzio(※)を買収して子会社としていますよね。それは当然、海外展開における戦略の1つかと思われますが、詳しい狙いや意図について教えてください。
※Funzio……モバイル向けS・RPGのリーディングカンパニーとして知られる、アメリカの開発会社。代表作は『Crime City』『Modern War』『Kingdom Age』など。
大きく2つの意味があります。1つは、これから先の市場、つまり欧米の方々が欲しているゲームや彼らに喜んでもらえるゲームを作るためです。我々は日本向けのゲーム開発のノウハウはありますが、海外でのニーズに応えるための準備が必要です。そう考えた時に、アメリカを拠点としてアメリカ人の方のために作っていく開発スタジオが必要になり、Funzioを子会社としたわけです。
ゼロから人を集めて新スタジオを作るという考え方もありましたが、すでに経験があるメンバーに入ってもらって、日本人以外も交えて作るスタイルにしたかったんです。もともとアメリカのGREEとして250人くらいのスタッフがいたんですが、そこに130人くらいのFunzioのメンバーが加わって、今は約400人規模となっています。日本での社員は1,000人くらいで、他の海外拠点もあわせると1,500人くらいになるわけですが、そのうち1/3くらいが日本人で構成されています。市場が多様化していうのに対応して、我々の組織ももっとグローバルな組織にしていきたいという気持ちもありました。
Funzioを選んだもう1つの思いは、彼らが作ってきたゲームのジャンルが理由です。Funzioが作るS・RPGは、ソーシャルゲームの中では比較的ハードコア系のものです。我々は日本でいうマスカジュアル的なゲームを作ることが多かったんですが、よりハードコアなファンの人たちもとらえていきたいと思っていて、そういう部分を今後強くしていきたいと考えています。我々と同じというよりは、少し違ったジャンルを開拓していきたいというところが、Funzioを選んだ流れです。
――今後はFunzioの持ち味を生かしたハードなゲームも多くなるということですね。
本日も展示していますが、我々の初期タイトルは釣りゲームやペットゲームといったカジュアルなものでした。今はRPG寄りの要素を加えて、ゲームとしての広がりを見せていますが、Funzioの開発力を生かすことで、そこよりももっと先のハードなゲームを提供できるはずです。より多くの人に新しいゲームを提供できればいいなと思っています。
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