戦車内部のリアリズムにこだわった――『重鉄騎』イメージトレーラーを撮影した押井守監督のロングインタビューをお届け！

文：電撃オンライン

■ 押井監督が抱く“二足歩行で戦場を歩くマシン”のイメージとは？ ■

――映像を撮り終えて、鉄騎という二足歩行で戦場を歩くマシンへのイメージ、印象ってどういったものになりましたか。

押井：この二足歩行の兵器は、ながめているといろいろテーマが見えてくる。「二本足をどうやって合理化しようか？」とか「二本足ならではのシチュエーションはあるか？」とかね。どう考えたって足が弱点だから。ゲームでもそう。まず足から狙えって。

　『スター・ウォーズ』にも出てきた逆足の戦車とか、実はテーマがあるんですよ。僕も『パトレイバー』って映画で一部やったけど、本当に使いこなしている映画は観たことがない。まじめに考えると、意外と二足歩行の兵器である鉄騎はおもしろいものなんです。ただそれをやると大変なことになるでしょうね。実際にこれを作ったらそうとう見ごたえあると思う。たぶん2,000万円くらいでできるんじゃないでしょうか（笑）。

――外見だけなら、ということですか？

押井：いや、ある程度動くものが。座ってから立ち上がるなんてことは油圧でできるし、あとは砲塔（※戦車の操縦室部分）がガシャコガシャコとかね。それは2,000万円くらいでできますよ。そうすると“映画の芯”ができる。自分だったらまずそこから始めますね。

　僕は、実際に1つは必ず作るべきだと思うんです。それが基準になっていれば、他のものは全部それを基準にしたCGでもなんでもいい。でも、全部CGでやっちゃうと、やっぱり映画がCGのサイズになっちゃう。全部が生じゃなくてもいい、でも全部がCGじゃやっぱりダメなんだよ。

――確かに、1個リアルサイズのものがあったほうが、CGとか想像の上でもリアリティが出るというか。

押井：CGで作るとなると、どうしても丸ごと100％CGでやりたがるっていう傾向がある。だけど、僕は両方使えばいいんだって思っている。今回は、砲塔の中という設定があるから全部役者さんを使って撮ったけど、もし戦場のシーンを撮るとしたら、当然CGも使うわけで。そうしなければできないし。そうしたほうがいい。カメラワークの制限から解放されるっていうのは、映画を変えるからね。CGにしかできないことがある。

　そして、外国の――言葉が違う役者さんと仕事することの大変さをどうやったら解消できるのかというのは、やっぱり永遠のテーマですね。ある意味で言うと、日本の役者さんと付き合うより楽な部分もあったりする。お互いに理解しようと思って努力するから。結構うまくいったよ、今回も。どうもコメディ系の女優さんだったみたいでおもしろいお姉ちゃんだった（笑）。 　見た目がハードだったんで彼女にしたんだけど、金髪って条件もあって設定上は“ポーランドから亡命してきた女兵士”。これがとんでもないタマで……という設定（笑）。そういう話にしたんで、彼女だけはポーランド語でバンバンしゃべっています。「何言ってんだコイツは」って感じでした（笑）。

――そろそろお時間が近づいてきたので、最後にメッセージをひと言ずついただいていいですか。

押井：『重鉄騎』、大ヒットしてくれるとうれしいなって（笑）。そうしたら映画を撮らせてください（笑）。二足歩行の鉄騎のすごい映画を作りますよ。たぶん世界的に例がないですよ。しかも実写で（笑）。これを作ったら絶対ヒットすると思うんだけど、そのためにはこの『重鉄騎』が売れてくれるのが一番手っ取り早いです（笑）。

片岡：6月21日の発売前に、押井監督に素晴らしいトレーラーを作っていただいたので、ぜひこちらをご覧になって、そしてゲームを買って遊んでもらえたらと思っています。押井監督の映画を見てみたいという人も、ぜひ!!

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データ

関連サイト

• 『重鉄騎』公式サイト
• 電撃オンライン内『重鉄騎』特集ページ