2012年6月14日(木)
――最初の段階から、PS Vitaを考えていたのですか?
風間:ハードは、まったく決まっていませんでした。ただ、不思議な世界観でのアクションゲームにしたかったんです。再度企画を動かすにあたり、グラフィッカーに絵をお願いしたところ、「これしかない!」というビジュアルが上がってきました。
そのタイミングで、SCEさんからPS Vitaの話をいただきました。PS Vitaは表と裏にタッチパッドがあることを聞いた時が、イケメンとドクロの切り替えを考えていた時期だったので、「これはPS Vitaでやるべき企画だろう!」と思いました。プロトタイプを作ってみたらうまくいきましたね。
――社内コンペである程度の作品ができていたと思うのですが、元々はどういうゲームで、そこからどのように変化したのでしょうか?
風間:最初は、騎士と姫が出てきて、とにかく“お姫様抱っこをする”というものでした。おもしろいと思っていろいろ試していたのですが、騎士が主人公というのが普通で凡庸。ある程度、年齢を重ねた人にはウケるけど、若い人にはウケないと考えていました。
個人的に、正統派ではない物語やダークヒーローものがすごく好きなんですね。ある時にデザイナーがなんとなく描いていた手下のドクロを見て、「このキャラが主人公だったら、おもしろいのでは?」と思い、主人公を変更しようとしました。その際に、ただ主人公にするだけではなくて、「騎士とドクロが融合して、2つのキャラが切り替わればアクションとしてもよいのでは?」と思って、いろいろと変わっていきました。
――風間さんの頭の中にあった世界観を、デザイナーがイラストに起こして、すぐにできたという形だったのですか?
風間:すぐにできましたね。予想外だったのは、デザイナーが非常に優秀で、私の想像を超えたものになったということです。私は“チョークっぽい手触り感のあるデザイン”というオーダーしかしていなくて、キュートさは期待していなかった。ただ、上がってきたデザインを見て、この方向でいくことを決めましたね。メインのデザイナーが女性なので、そこもよかったのかもしれません。
――タイトルの『ドクロ』も、グラフィックができた時に決まったのですか?
風間:最初は仮題でした。
市川:ただ、仮題は途中で変わることが多いんですが、途中で動かなかったですね。
風間:そうですね。途中からは本題にしたいと思いました。
――開発チームは何人くらいなのでしょうか?
風間:最大で12人くらいです。コンパクトですが、その分小回りの効くチームで、いいものができました。
――遊んでいて、音やセリフが少ない世界観になっていると感じました。
風間:それは意識しています。理由は2つあって、絵本のような作りにしているという理由が1つ。もう1つは、7カ国語に対応しているので、あまり国籍に頼らない表現にしたいという理由があります。
市川:個人的には、このゲームは音楽もいいと思っています。やや淡々としているようですが、聞いているとくせになる。この音楽も、世界観を作れる一端を担えたと思います。
――黒板でアクションや仕組みの説明をしているのも、国籍に頼らないことを意識したからでしょうか?
風間:はい、意識して作っています。まあ、ああやってゲーム中で説明するのは、最近のトレンドでもあるのですが。
――変身方法が2つある理由を教えてください。
風間:うまく変身できず、クリアできないことでストレスがたまるのは避けたかったんです。それで、2パターン用意しました。ゲームの世界観やウリとしては、タッチパッドでの変身を考えていますが、Rボタンのほうが便利なので「上級者はコレしか使わなくなるのでは?」と開発内では話しています(笑)。
――ドクロとイケメンは、ジャンプの回数、姫を抱ける以外にもアクションの違いはあるのですか?
風間:攻撃の効果が違います。ドクロは押し戻す力が強く、イケメンは敵を倒すことができる。あえて倒さずに押し戻すことを利用する場所もあるので、使い分けてください。
――姫のデザインはどうですか? 苦労はありましたか?
風間:姫はちょっと試行錯誤しましたね。ずんずん進んでいくので、やんちゃスタイルなデザインもありましたが、守ってあげたくなるような姫ということで、現在のデザインに落ち着きました。
――姫は、少しの段差でも越えられないし、敵を見るとすぐ驚く。なのに、イケメンを見ると「ふふっ」と笑うのには、ちょっと笑ってしまいました。
風間:お守りするべき姫なので、多少わがままです。苦労する分、ステージをこなしていくと愛着を持っていただけるかと(笑)。
――ステージをクリアしても、途切れなく進む作りにしたのはなぜですか?
風間:だいたいのゲームでは、クリアするとリザルト画面をはさむと思うんですが、本作はギミックを解くアクション以外に、ストーリーも売りにしたかったので、プレイヤーの気持ちを放したくなかった。そのため、画面の切り替えをしたくなかったというのが理由です。ただし、セーブしたことを知らせるために、花を咲かせるという演出を加えました。
――なるほど。ただ、途切れずに描写するために画面を先読みさせる必要もあり、開発するうえでは大変になりそうですね。
風間:リザルト画面を出したほうが、ステージのつじつまも合わせやすいし、絶対に楽です。ただ、それよりも没入感を失いたくなかったんです。画面を切り替えずに進めると、全部のステージを連続したデータで持たないといけない。1回組むところまではうまくいったんですが、そこから難易度調整で微調整をする際に苦労しました。
――具体的には?
風間:段差を1つ増やそうとか、ギミックを入れるのでずらそうとか調整すると、それ以降のステージをすべて動かす必要がある。企画のスタッフはそうとうきつかったと思うんですが、頑張ってくれました。個人的には、やってよかったと思っています。
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