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2012年7月5日(木)

【G-netプレイレポート】PSP版『Dies irae』をレビュー! これこそ珠玉の中二病バトルAVGだ!!

文:ごえモン

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■極限まで突き進む深度の深いシナリオが魅力

 ルートによって、まったく展開やストーリーの深度が違うところもおもしろいです。もちろん、深度が浅い最初のルートがつまらないということではなく、“その時々の全力”が描かれています。そして深度が深まることによって、やがて究極の存在とのバトルに進展するのです。その世界の最強を倒すアツさ。どう考えても倒せねーだろ! ムリゲーだよ!! 主人公よ、もう休め! ……プレイ中にそんなことを考えてしまうほど、敵の強さが圧倒的です。そんな存在に、どう立ち向かっていくのか。その辺りも注目ポイントの1つです。

 個人的に思っていることですが、やっぱりバトル系AVGでは“究極の存在を倒してこそ”物語は締まるしエンディングで感動できるんだと思うんです。最後に中途半端な強さ、あるいは能力のボスを出されても、尻すぼみ感が出てしまいます。後半にいくにしたがって、どんどんとんでもない敵が出てくるのが理想ですが、この作品は完璧です。ただ、能力をうまく使うような読み合い重視のバトルではなく、テンションや思いの強さがそのまま個人の強さになる部分があります。その辺りは好みがわかれるかもしれません。

『Dies irae ~Amantes amentes~』 『Dies irae ~Amantes amentes~』
『Dies irae ~Amantes amentes~』 『Dies irae ~Amantes amentes~』
▲敵の幹部クラスが出てくると、もう笑うしかないです。それぐらい圧倒的な相手を、どう越えるのかがポイント。

 もう1つシナリオについての魅力を挙げるならば、“突き抜けた中二病がカッコいい”という点。シナリオにおいて、僕はこの“突き抜けた何か”というところを非常に重要視しています。たぶん、ゲームをプレイしすぎて“普通”に飽きてしまっているんでしょうね。何をプレイしても“すでに知っている感覚”が邪魔するので、より刺激の強いものを求めてしまいます。

 中途半端な中二病や単なる演出の中二病は、“(笑)”というネガティブな評価になるのが世の常だと思っています。でも、この作品は突き抜けているからこそアツいし、カッコいい。本気の中二病がいかにカッコいいかを教えてくれる作品だと思います。突き抜けた何かが生み出すアツさということで、僕は『トップをねらえ!』や『天元突破グレンラガン』を思い出します。遠くから見るとバカな話に見えますが、登場人物たちの“本気”を肌で感じると、そのバカさがアツさに変わり、そしてカッコよさになるんです。人間vs人間のバトルモノで、最終決戦では生身の人間が宇宙空間で戦っちゃうような作品が好きな人は、たぶん楽しめます(笑)。

『Dies irae ~Amantes amentes~』 『Dies irae ~Amantes amentes~』
▲バトルの盛り上がりは天井知らず。「細けぇこたーいいんだよ!」という具合にどんどんアツくなります。

 最後にもう1点、詳しいことは説明できませんが、“ルートによって物語が変わる”ところも本作の魅力。そんなゲームはたくさんありますが、『Dies irae』は“ルートによって到達する深度が違う”ことも世界観にかかわっているところがすごい。付加価値が与えられているため、より深くシナリオを楽しめるのです。

■プレイヤーのテンションを底上げしてくれる秀逸な音楽

 本作は音楽も注目ポイント。バトル系AVGは戦闘描写やCG、能力も大事ですが、戦闘シーンで流れる音楽で、その時のテンションはまったくの別物になります。たいしたシーンではなくても、音楽が素晴らしければ気分が盛り上がってしまうものです。もちろん、展開がおもしろく音楽も素晴らしいと最高ですが、『Dies irae』は間違いなく両方高いレベル。テーマソングの使いどころもうまいです。

 ちなみに、音楽を担当しているのは与猶啓至さんで、『萌えゲーアワード2010』BGM部門では金賞を受賞しています。普段はサントラなんてほとんど買わない僕が、この作品では購入してしまうほどハマってしまいました。BGMに興味がない人間にサントラを買わせるというのは、本当にすごいです。

■システム部分は△なところも

 今まではほめてきましたが、システム部分ではちょっとほめられない部分も。ロード時間については、データインストールを行えば気にならないレベルなのですが、問題はスキップ。本作にはオートスキップがなく、常にボタンを押していなければスキップが続かないのです。わりと早い段階でシナリオが分岐するとはいえ、全体のシナリオが非常に長いため、その分ボタンを押している時間が長くなってしまいます。個人的には、スキップ(□ボタン)の速度自体はPSPとしてはそこそこと言えるのですが、周回プレイにはちょっと優しくないですね。

 もう1つ残念なのは、セーブ&ロード場面でリストが表示されるまでに時間がかかること。まっさらな状態だと早いので、おそらくサムネイルの読み込みで時間がかかっている気がします。細かい部分ではありますが、使用頻度が高い部分なだけに、若干ストレスを感じてしまいます。

『Dies irae ~Amantes amentes~』 『Dies irae ~Amantes amentes~』
▲他がいいだけに、システム部分がちょいと残念。でも、スキップとセーブ&ロードリスト以外は、特に問題は感じませんでした。

■おもしろいバトル系AVGを探している人にオススメできる良作『Dies irae』

 システムの部分で若干の難があれど、物語、世界観、音楽、キャラクター設定は非常に優秀。特にオススメできるのは、話のアツさ。これこそが中二病バトルの最高峰だ! と自信を持って言える作品なので、おもしろいバトル系AVGを探している人は、ぜひプレイしてみてください。ちなみに、僕が一番好きな肉体バトル系のAVGが、本作です。(ごえモン)

『Dies irae ~Amantes amentes~』 『Dies irae ~Amantes amentes~』
▲プレイ後のアフターストーリーは格別。思わず「ローーーーーーリィーーーー!」と叫んでしまいましたよ。

●ごえモン プロフィール

ごえモン

 ADVや美少女ゲームをこよなく愛する電撃オンラインの編集。その実態は……ただの爪牙。2007年版『Dies irae』をプレイして絶望し、2009年版で絶望から解放された。『ディエス』だと櫻井螢が好き……やっぱり全員好きだ!

・Twitterアカウント


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データ

▼『Dies irae ~Amantes amentes~(ディエス・イレ ~アマンテース アーメンテース~)』ダウンロード版
■メーカー:light
■対応機種:PSP
■ジャンル:AVG
■発売日:2012年7月5日
■価格:7,140円(税込)
▼『Dies irae ~Amantes amentes~(ディエス・イレ ~アマンテース アーメンテース~)』
■メーカー:light
■対応機種:PC
■ジャンル:AVG
■発売日:2012年8月31日
■希望小売価格:9,240円(税込)
 
■『Dies irae ~Amantes amentes~(ディエス・イレ ~アマンテース アーメンテース~)』の購入はこちら
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▼『Dies irae ~Amantes amentes~』Gユウスケ描き下ろしクロスポスター
■メーカー:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年8月下旬
■希望小売価格:4,500円(税込)
 
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