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2012年8月20日(月)

【まり探】続編にも意欲的!? 三池崇史監督&巧舟氏が映画『逆転裁判』について語る

文:まり蔵

 まり蔵探偵事務所

 今年2月に全国東宝系スクリーンで公開された映画『逆転裁判』。映画の監督を務めた三池崇史氏と、ゲーム『逆転裁判』シリーズ監督の巧舟氏による対談をお届けします。

 映画『逆転裁判』は、同名の人気法廷アドベンチャーゲームを原作とした実写映画。CGやVFXといった斬新な映像表現を駆使して、これまでにないアトラクティブな法廷バトルが描かれました。この映画のBD/DVDが8月22日に発売決定(同時レンタル開始)。本編ディスクには、音声特典として三池氏と巧氏によるオーディオコメンタリーが収録されています。

 このコメンタリー収録現場に、電撃オンラインのミステリー・ホラー・サスペンス系アドベンチャーゲーム紹介コーナー“まり蔵探偵事務所”の所長・まり蔵がお邪魔してきました! コメンタリーの収録後、おふたりにお話を伺いました。『逆転裁判』にかける思いを語っていただきましたので、ご覧くださいませ~。(記事中は敬称略)

【まり探】 【まり探】
▲三池崇史氏▲巧舟氏

●三池監督のもとのは紆余曲折のある作品が行く場合が多い?

――まず、『逆転裁判』を映画化することになった経緯を教えていただけますか?

:経緯ですか? なんでしたっけ……?

三池:明らかな原点は、巧さんが『逆転裁判』のゲームを作ろうと思ったところです。

:確かにそうですね(笑)。僕が映画化の話を聞いたのは2005年のことで、その後プロジェクトにいろいろと紆余曲折があったと聞きました。三池監督に映画化のお話がいったのはいつごろですか?

三池:撮影に入る1年半くらい前なので、2010年くらいだったと思います。それにしても、紆余曲折のある作品が最終的に僕のところに来るパターンが多いんですよね。

:なるほど(笑)。三池監督の名前を聞いた時に、初めて映画化が現実的なものに感じられました。いろいろな方向に流れていたプロジェクトが、一方向にまとまったように感じましたね。

三池:作品そのものの運命があると思うんですよ。自分はその流れに巻き込まれたら、流れのままに押していくタイプなんですね。その流れを「俺はこういう方向だ」っていう自己主張して変える監督もいて、そこが作家性と言われるのかもしれません。

 『逆転裁判』の映画を、自分が撮影できるかどうかという問題もあるのですが、おもしろくてすごいものができるかはやってみないとわからないし、スタッフや役者の力も大きく響いてくる。ともかく、ゲームがやって楽しいかどうかが、最初のポイントでしたね。

:そうなんですね。では、遊んでつまらなかったら引き受けられなかった?

三池:やらないのではないのですが、「どうすればいいのだろうか?」とか「やれないかも?」って思ってしまうと、流れを阻害することになる。不確かなものが流れをせき止めることって、よくあるじゃないですか?

 僕は普段、ゲームをあまりやらないんですが、遊んでみておもしろかったんですよ。もちろんゲームのすべてを知っているわけではないですが、独特だと思いましたね。「映画を見るより、ゲームをしていたほうがみんな楽しいと思うよね」って素直に思えました(笑)。

:いやいやいや! 初めて打ち合わせさせていただいた時に、僕たちとしてはゲームの詳しい内容を説明させていただこうと資料をたくさん抱えて持っていったんですよ。ところが、「もう『3』まで遊んでいますよ」と言っていただいて、スタッフ一同感動しました。映画の脚本は『1』だけなんですが、『3』までやっていただいて、ナルホド君やゲームのことがちゃんと監督の頭の中に構築されている。打ち合わせのつもりで行ったんですが、持ってきていただいたスケッチやビジュアルを見つつ、監督のプランを伺う会になりました(笑)。

三池:そうですね、イメージボードを持っていきましたね。

――初めてお会いした時、お互いにどういう印象を受けましたか?

:僕は少し怖かったですね。ジュラルミンケースをドンって持っていたので。

三池:いやいや、怖くはないでしょ(笑)。僕らにとって原作を作られた人たちが、一番の観客なんですよ。なので、リアクションをすべて見ています。今おもしろがっているとか、笑っているけどこれはそうじゃないなとか。

:そんなことをしていたんですね(笑)。

三池:もっともダメなのは、巧さんに「あの監督で大丈夫なのかな?」って思われること。それでクビを切られるのは構わないんですが、せっかく映画として動き出した力が、そがれてしまう。最初に会う時は大事なところなので、できれば避けて通りたいですね。でも監督だから、そうもいかない。

:永久に会わないというわけにはいかないですからね。

三池:この仕事をやっていて、一番大変なところは“最初に会う時”です。例えば作家で性格的にややこしい方もいるじゃないですか。でもね、作品を借りるので、原作者って敵ではないんですよ。「原作者を愛せないと、作品まで愛せなくなってしまうのではないか?」と思うので、できるだけ先入観を持たずに観察するような、その人を楽しむような気持ちでいきます。

――その人を楽しむですか?

三池:楽しむために、先ほど話したイメージボードを見せたり考えをお話ししたりします。その段階で「そこは違いますよ」って否定されたら、修正するのも早いじゃないですか? 困った時に一緒に考えてもらえると、作品として強くなります。だから、対立しているものではなくて、あくまでも我々はゲーム『逆転裁判』に操られていて「撮影する定めにある人たちです」というスタンスを持っていくのは、大事だと思っています。

【まり探】

→次のページでは映像化する際の苦労について語ってもらいました(2ページ目へ)

(C)2012 CAPCOM/『逆転裁判』製作委員会

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データ

▼BD『逆転裁判』
■メーカー:バップ
■発売日:2012年8月22日
■希望小売価格:6,090円(税込)
 
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■発売日:2012年8月22日
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