News

2012年7月24日(火)

Xbox 360『ルートダブル』超絶ネタバレ全開ロングインタビュー後編――メッセージウィンドウに隠された真実とは?

文:ごえモン

インタビューには、『ルートダブル』に関する致命的なネタバレが数多く含まれています。絶対にグランドエンディングを見てから読んでください。

■鹿鳴市のモデルはジョージ・オーウェルの『1984年』

――強いBC能力を持つ人間は寿命が短いという設定ですが、エンディング後の夏彦たちはどうなってしまうのでしょう?

 作中では、美夜子が解決作の糸口を見出した、という未来への希望が見出されました。その後どうなるかは各自で解釈してほしいなと思います。ひょっとしたら、すべていい方向に向かうかもしれない。あるいは、結果としてBCが失われてしまうかもしれない。またあるいは、人類が滅亡に向かうかもしれない。はたしてBCが人類にとっていいものか悪いものか? どう受け止めるのかは、作中から感じ取った印象から自由に想像してみてください。

――舞台が鹿鳴市だったので、外部の世界情勢は詳しく描かれませんでしたが、そこはどうなっているのでしょう?

 外のことは、まだ公式で決めていないことが多いです。決まっているのは2つだけです。作中でも描かれていますが、鹿鳴市をはじめとした政令指定機密都市を除けば、コミュニケーターに対する不信感や恐れは、著しく大きなものになっています。悠里のような女の子は心穏やかに暮らせないのです。また、日本という国は行き詰まりを見せていて、今以上に閉塞感がある社会になっています。それを打開するべく、BCという新しい産業、新しい分野に率先して取り組もうとしたのです。なので、どちらかと言うと明るい未来ではなく、ちょっと閉塞した“ディストピア”的な世界です。

 元々、本作の舞台はディストピア的世界を考えていました。モデルにしたのは、ジョージ・オーウェルの『1984年』という小説だったのですが、そのままでは現実感が出ないので、どんどんアレンジしていき、情報が統制されて行動の自由は制限されているけれど、徹底的に環境が整えられたクリーンな街、という今の鹿鳴市の設定になりました。

『ルートダブル』 『ルートダブル』

■Aルートグッドエンドは時間変数がカギ

――Aルート体験版では必ず夏彦が死んでしまってノーマルエンドになりますが、そのノーマルエンドに到達する仕組みを解説していただけますか?

 Aルートでは、9時間経過すると出口が開くので、それまで生き延びるのが目的になります。でもその裏では、夏彦がNエリアで血を大量に流し、どんどん死に向かっています。夏彦はセンシズ・シンパシーによって渡瀬と精神が重なり合っていて、その結果、仮死状態となっているのでかろうじて生きています。なので、渡瀬は夏彦が死ぬ前にNエリアへ行かないといけない。

 ですがシナリオの分岐によって、渡瀬はしなくていい道草をしたり、いらないことに時間を消費してしまします。そうなると、裏のタイムリミットに間に合わずに夏彦が死んでしまいます。夏彦が渡瀬をサポートしないと、恵那は殺されてしまいますし、サリュは誤って殺してしまいます。結果、みんな死んでしまう結末になります。グッドエンドは、夏彦の能力によるサポートを受けないと、絶対に到達できないエンディングなんです。

――そのタイムロスの1つが、悠里の死体を捜すか捜さないかの場面ですね。

 悠里の死体を捜す場面は1つのキモですね。ただ、あれはBルートを先にプレイしていないと強制的に捜しに行って、必ず6分が経過してしまいます。それ以外の間違った行動は3分を消費し、合計で9分のロスをすると夏彦が死んでしまいます。なので、Aルートを先にプレイした場合は、1カ所でも間違うとノーマルエンドに直行してしまうんです。Bルートをプレイしておけば、分岐によって回避できる可能性が生まれるので、あと2回は間違えられるようになります。つまり、BルートをクリアするとAルートの難易度が少し下がるんです。

 風見が「ここは調べる必要がありません」と言っているのに調べたり、宇喜多が調べたフロアをもう1回調べると、“時間を無駄にしてしまった”というニュアンスのメッセージが表示されます。実際に、メニュー画面で確認できる現在時間もその分経過しているので、そこがヒントになっています。

『ルートダブル』

――これはある種のミスリードですよね。9時間という題目を強く意識させていて、実は、9分間が重要という。

 これはAルートを仕上げる過程で月島さんから提案があったアイディアなんです。僕らは“時間変数”と読んでいるのですが、その時間変数の分岐を入れてみてはどうか? と月島さんから提案があって、隠されたタイムリミットっておもしろいなと思ったので採用しました。

――その裏のタイムリミットと同じように、隠された要素ってありますか?

 わかりやすいところだと、Bルートの夏彦の時計の演出ですね。Bルートの日常は、悠里がセンシズ・シンパシーで夏彦に見せている“夏彦の記憶”なのですが、1日分の記憶を見せるごとに、現実では10分経過しています。あれくらいの長さの記憶を見るには、現実時間で10分かかるということです。記憶の回想から現実時間に戻る直前、壊れた時計の針が常に10分ずつ進んでいくので、未来に向かって進んでいる様子が現れています。

 あと、これは体験版から仕掛けられていたことですが、メッセージウィンドウの色やデザインが変わるギミックがあります。これは、シナリオを読み解くヒントになっています。

→メッセージウィンドウが謎を解くヒント?(3ページ目)

(C)イエティ/Regista

データ

▼『ルートダブル』クロスポスター
■メーカー:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年7月14日
■希望小売価格:4,500円(税込)
 
■『ルートダブル』クロスポスター √Aバージョンの購入はこちら
Amazon.co.jp
 
■『ルートダブル』クロスポスター √Bバージョンの購入はこちら
Amazon.co.jp

関連サイト