2012年8月3日(金)
▲同社執行役員 マーケティング事業本部長の小竹讃久氏。 |
続いて登壇したのは、同社執行役員 マーケティング事業本部長の小竹讃久氏。小竹氏は、カードゲーム系、シミュレーションゲーム系、恋愛ゲーム系といったソーシャルゲームのゲームジャンル別ユーザーの志向について、ARPU(1契約あたりの売上)や継続率、消費率といった内容にかんする違いはあるものの、「新規登録者数については、ゲームジャンルによる違いはなく、どの題材と組み合わさっているかで変化する」と説明した。
また、それぞれのゲームジャンルにおいて、テストケースを1つずつ紹介。どの部分に問題があるとメーカーが判断し、そしてそれを改善していった結果を説明した。
カードゲームの場合、主な課題は登録して1日後にもうゲームをやめてしまう“1日後継続率”の悪さにあった。メーカーはこの現象の理由について、インセンティブが少ない(ゲームプレイ時の報酬が悪い)、ユーザーインターフェースが悪いと仮定し、改善を図ったところ180%の改善率が見えたという。
シミュレーションゲームの場合は、コインの消費率が低い(課金率が低い)という問題があった。これには、いくつかの仮定が考えられたが、メーカーが出した答えは、ゲームバランスが悪くボスに勝てないので、課金する気にならないということ。難易度を変更し、さらに“ともだち”を気軽に呼べるような仕組みに変えたところ、改善率が200%にものぼったという。
恋愛ゲームの場合は、端末ごとの売上を示すARPUの低さに問題があった。メーカーはこれについて、さまざまなデータを分析した結果、高い課金率を誇るプラチナユーザーが離れていっていることがわかった。チケット価格のバランス変更や、さまざまなアイテムの追加、ソーシャル性を強化した結果、プラチナユーザーの引き止めに成功し、改善率が150%になったという。
興味深いのは3タイトルともサービスが開始されてから1年が経過しているサービスであるということ。矢継早にタイトルがリリースされている印象のあるソーシャルゲームだが、ユーザーが定着したように思えるタイトルでも、改善を行うことでさらに伸びしろがあるということだ。
小竹氏は、こういった問題点の分析について、「どこまで細かく分析を行うかはサードパーティそれぞれで異なる点ではあるが、改善を行えば結果としてついてくるケースが多い。グリーとしては、問題点の指摘や改善の提案などは行えるので、各社と協力したいポイント」とした。各タイトルについて改善を行い、収益を上げていくことが、市場を拡大していくのに非常に大切なことであるという。
大きなプロジェクトになりやすいコンシューマゲームよりも、コンパクトな体制で運営されることが多いソーシャルゲーム。小回りがきいて迅速に変化させやすいために、こうした改善が結果として大きく表れるのかもしれない。
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