2012年8月13日(月)
エレクトロニック・アーツのゲームブランド“ポップキャップ・ゲームズ”でシニアプロデューサーを務める、マット・スミス氏にインタビューを行った。
ポップキャップ・ゲームズは、世界的に人気のパズルゲーム『Bejeweled(ビジュエルド)』や、『Plants vs. Zombies(プラント vs. ゾンビ)』などを手掛ける人気ブランド。6月にサービスを開始した、GREE(グリー)向けソーシャルPZG『ビジュエルド伝説』は、『ビジュエルド』をベースに、パズルゲームと海賊をテーマにしたストーリーを融合させたゲームだ。ソーシャル要素として、ランキング機能でスコアを競ったり、友だちと協力してボスバトルに挑んだりできる。
インタビューでは、『ビジュエルド伝説』を開発した経緯に加えて、ポップキャップ・ゲームズについて語っていただいた。
▲日本で暮らすようになって2年というマット氏。短期間で日本語が上達したのは、日本語で接する友人のおかげだという。 |
――まず最初に、ポップキャップ・ゲームズがどういうブランドなのか教えていただけますか?
ポップキャップ・ゲームズは、2000年に創業者3人がガレージからスタートさせた会社です。ポップキャップ・ゲームズのミッションはとにかくシンプルで、“世界を楽しくしたい”ということ。いいゲームで、誰でも楽しめるゲームを作るのをモットーにしています。今は600人を超えるスタッフが働いていますが、根本となるミッションは創業時から変わっていません。
――誰でもプレイできるゲームの開発というのは、大変ですよね。
誰でもプレイしやすいというのには、いくつか意味があります。1つ目の要素は、ゲームへのアクセスの仕方。会社が創業した2000年はゲームはコンソールでプレイすることが主流だったのですが、ハードを持っていない人は遊べなかった。ダウンロードすることも通信速度が遅くて、簡単ではなかった。そこで、Javaベースで軽い『ビジュエルド』というソフトを開発して、ポップキャップ・ゲームズが始まりました。
もう1つの要素は、“ゲームプレイそのもののデザイン”です。例えば弊社の『ペグル』はすごくシンプルで、パチンコのように球をはじいてブロックを消していくというだけ。誰でも遊べて、ゲームにあまり触れたことのない中年層でも楽しめる。一方で、コアなゲーマーにも、非常に奥深いゲーム要素を提供しているので、スコアを競いながらゲームにハマれる。その2つが、わが社のソフトのユニークなところです。
――開発していた時に起きた、何かおもしろいエピソードはありますか?
ポップキャップ・ゲームズでは、大体のソフトにおいて開発に長い時間がかかります。『プラント vs. ゾンビ』は、3~4人のチームで時間をかけて作りました。ものによっては、そこまでかけないこともありますし、時間をかけてもダメなことがあります。
▲『プラント vs. ゾンビ』は、素早く考えて植物を植え、ゾンビの大群から庭を守るタワーディフェンスゲーム。ゲーム性に加えて、かわいらしい植物とゾンビのビジュアルも話題となった。 |
ただ、つねにフォーカスしているのは、ベースとなるゲームシステムがおもしろいことです。そこから要素を加えていくというアプローチでゲームを作っています。
一方で、開発中に自分たちが遊んでいて、当初なかったようなルールを組み込んでみることもあるのです。それが想定していたものよりも、おもしろいゲームが生まれそうな気配がしたならば、そこを新しい要素としてフォーカスしてゲームを作り直すこともあります。
ユニークな作られ方をしたのが、『Bejeweled Blitz(ビジュエルド ブリッツ)』です。実はこのゲームは開発に時間がかからず、1カ月くらいでできた作品です。『ビジュエルド』の新しい遊びをできないか考えている時に、バグ出しのために10秒間だけプレイできるモードを作ったんですよ。プレイしていたら、時間制限を区切ってやるのがおもしろいと感じて、そこから調整して1分の時間内でスコアを競うゲームになりました。
――開発者たちが集まって話し合う機会はあるのですか?
年に数回、“ポップキャンプ”というものがあります。普段の仕事を忘れて、集まった人たちが即席で開発チームを作り、何でもいいからゲームを作ります。そこから、いいアイデアが出て、ゲームができあがることもあるのです。iOSの『アンプレゼントホース』や『Candy Train(キャンディ トレイン)』などは、このポップキャンプのゲームから生まれました。他にも、現在開発しているものがありますね。
――『プラント vs. ゾンビ』といえば、北米ではDS版が大ヒットを記録しましたね。
実は、DS版は僕が作ったんです(笑)。去年の北米におけるDS市場のサードパーティで、一番売れたソフトが『プラント vs. ゾンビ』でした。東京オフィスで北米向けに作って北米で売るという、ちょっと変わったパターンでしたね。北米でDSをうまく作れる会社が見つからなかったので、そういうパターンになりました。
(C)2012 Electronic Arts Inc. Bejeweled and PopCap are trademarks of Electronic Arts Inc.
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