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2012年9月7日(金)

【まり探】超常現象を目の当たりにする“ドラマ”を描きたかった――PS Vita『特殊報道部』プロデューサーインタビュー

文:まり蔵

 まり蔵探偵事務所

 新作旧作問わず、さまざまなミステリー・ホラー・サスペンス系のアドベンチャーゲームを紹介していく“まり蔵探偵事務所”。8月23日に日本一ソフトウェアから発売されたPS Vita用AVG『特殊報道部』のプロデューサーに、所長のまり蔵がインタビューを行いました。

【まり探】

 『特殊報道部』は、尾張テレビの報道番組『トクホウ』を制作する“特殊報道部”のメンバーが、取材や検証を行いながらさまざまな超常現象の謎を解明していくアドベンチャーゲームです。プレイヤーは主人公の新人AD・柚原遼となり、UFO、未確認生物、人体発火、超能力など眉唾な噂話の真相をつかむため、他の番組スタッフたちと日夜奔走します。キャラクターデザインは漫画家の清原紘さん、BGMはElements Gardenが手掛けています。

 今回お話を伺ったのは、プロデューサーの簗瀬涼司さん。キャラクターの制作秘話を中心に、プラットフォームにPS Vitaを選択した理由や開発する際に苦労したエピソードなど、さまざまなことを語っていただきました。ストーリーのネタバレなどには触れていませんので、未プレイの人も安心してご覧ください~。

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●UFOを目の当たりにするというシーンを描きたかった

【まり探】
▲簗瀬涼司プロデューサー

――まずは、本作を制作することになった経緯を教えてください。

 「『流行り神』の次のアドベンチャーを作ろう」というところからスタートしました。『流行り神』のテーマは“都市伝説”でしたが、今回は“超常現象”に特化したアドベンチャーを作ろうと。おおざっぱに言いますと、UFOを目の当たりにするというシーンを描きたかったんです。

 メインのテーマは“超常現象”になりますが、もう1つに“TV局”というのがあります。TV番組を制作するクルーたちの人間ドラマも1つの見どころとなります。ゲームシステム的にも新しいことをしたくて、映像編集と言いますか、TV番組を作るということを感覚的に楽しめるようなものを織り込もうとして組み上げていきました。プロジェクトとして承認されるまでにいろいろとありましたが、なんとか発売できてよかったなと思っています。

――TV局がテーマとのことですが、メ~テレに取材協力を依頼した経緯は?

 元々は『特殊報道部』の制作と関係なく、同じ東海圏のTV局とゲーム会社ということでご紹介をいただきまして、その時に「何かおもしろいことをしたいですね」という話になったんです。ちょうど『特殊報道部』の基本となる企画を立てている最中だったので、それなら舞台をTV局にしようと。

 最初の段階で“超常現象”というメインテーマは決まっていましたが、TVではありませんでした。でも、TVにしたらいろいろなものがまとまることに気付きまして。TVで超常現象の番組はありますし、カメラを持って追いかけていったらそこに何かが映るワケですよ。『流行り神』とは異なり、今作では“推理”とは違ったことをしたかったというのもありました。そこで企画が立ち上がったところで、メ~テレさんに取材協力ではなく「一緒に作りませんか?」と打診しました。制作すべてに踏み込むタイミングとしてはちょっと難しかったんですが、内部取材やシナリオの部分で一緒に制作していただくことになりました。

――メ~テレの通販サイト“メ~コレ”でも本作が販売されましたね。限定特典“尾張テレビ取材メモ帳”付きで。

 メ~テレさんのほうから、メ~コレで売りたいとお話をいただきました。特典アイテムの“尾張テレビ取材メモ帳”は、メ~テレさんの内部で使われているメモ帳の尾張テレビバージョンです。尾張テレビの社員は、みんなあのメモ帳を使っているという設定なんです。他にはない、ユニークなアイテムになったと思います(笑)。

【まり探】
▲メ~コレ購入特典の“尾張テレビ取材メモ帳”。まり蔵は、もちろんこのメモのためにメ~コレで予約しましたよ!

――今回、プラットホームにPS Vitaを選ばれた理由は?

 私としては、『特殊報道部』に限らず日本一ソフトウェアが発売するアドベンチャーゲームを購入するファンに対して、ハードは1つに絞るべきだと考えています。例えば『特殊報道部』はPS Vita、他のタイトルではPSP、また他のタイトルではPS3とした時に、ユーザーさんはすべてのハードを持っていなければいけないんですよね。

 以前、PS2で『流行り神』の『1』と『2』を出したんですが、『3』はPSPでリリースしました。PSPは人気の高いハードですし、『1』『2』のPSP移植もしていたので、流れとしては問題ありません。でも『1』『2』はタイトルに“PORTABLE”と付いているのに、『3』は付いていないんです。また、「『3』をPS2で出してほしかった」というユーザーさんの声もやはりありました。

 『特殊報道部』も、『流行り神』のように続編を作りたいと思っています。そうなりますと、“今作はPSPで出して、次はPS Vitaになりました”では、ソフトを買っていただくユーザーさんを混乱させてしまいますよね。そういう意味でも、ハードは1つに絞りたいと思っています。

 ただし、そのハードに合った企画というのももちろんあります。例えばPS3の大きい画面で見せたいなど、そのハードならではの遊び方ができる企画であれば、そこまで限定するものではないと思っています。しかし、今後シリーズを重ねていくアドベンチャーゲームのことを考えた時、『特殊報道部』のタイミングではPS Vitaを選ぶべきではないかという結論になりました。

――なるほど。マルチプラットホームという選択肢はなかったのでしょうか?

 マルチにする理由の1つとして、ユーザーさんのニーズに合わせてどのハードでも遊べるようにという考え方はあると思うのですが、ハードごとに合わせたものを用意しなければいけません。また、「こういう理由だからマルチなんだ」ときちんと説明できるようなものが必要になります。それがないのであれば、PS Vitaで出すと決めた以上、PS Vitaだからできる遊びや見せ方などを突き詰めるところにコストをかけたかったんです。新型ハードが発売されると“欲しいゲームが出た時に本体を買えばいいんじゃないか”と考える方がいらっしゃると思うのですが、『特殊報道部』が出たからPS Vitaを買ったと言ってくださると、それはうれしい限りですね。

【まり探】

――どのような層をターゲットとして想定されていますか?

 PS Vitaなので、高めの年齢層を想定していました。あとは、オカルティックなものを含めた超常現象をテーマにしたアドベンチャーゲームを好むユーザーに、ピンポイントで当てたいなと考えています。ただ『流行り神』よりはホラーテイストが抑えめで、明るい雰囲気の物語になっていますので、より多くの人に遊んでもらいたいですね。

→次のページでは、登場キャラクターについて伺いました。(2ページ目へ)

(C)2012 Nippon Ichi Software, Inc./メ~テレ

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データ

▼『特殊報道部』ダウンロード版
■メーカー:日本一ソフトウェア
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:AVG
■発売日:2012年8月23日
■価格:5,000円(税込)

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