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2012年9月21日(金)

東京ゲームショウでの体験版は“生贄”を選択してもらうのが理想!? 稲船敬二さんへの『ソウル・サクリファイス』インタビュー

文:電撃オンライン

 SCEが2013年春に発売するPS Vita用ソフト『SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)』のインタビューをお届けする。

 本作は、稲船敬二さんが率いる株式会社comceptが企画・開発を、マーベラスAQLが開発を手掛ける共闘ACT。リアルなファンタジーの世界を舞台に、人間の欲望が描かれる。プレイヤーは魔法使いとなり、“代償”を支払うことで手に入れた“力”を駆使して戦うことになる。

 詳しいゲーム内容は以前の記事や、今回の東京ゲームショウで行われたメディアセッション体験版プレイレポートを参照してほしい。

『ソウル・サクリファイス』

 東京ゲームショウ2012の会場にて、本作のコンセプターであり、株式会社comceptのCEOである稲船敬二さんに話をうかがった。そこで語られた、東京ゲームショウ2012に出展した体験版に込めた狙い、そして今後の展開とは?

■東京ゲームショウでの体験版は、自分が死んで“生贄”にされるのが理想!?

『ソウル・サクリファイス』

――『ソウル・サクリファイス』はすごく重厚なダークファンタジーだと思っていましたが、今回の東京ゲームショウ用の体験版をプレイしたところ、とても軽快なアクションを楽しめる作りになっていて、少し意外に感じました。

 あ、イメージ崩れちゃいました?

――いえいえ、世界観が重厚だから、もっと重い動きになると思っていたんです。実際に遊んでみたところ、重い世界観はそのままで、アクション部分の爽快感がすごくて驚いたんです。アクション部分ではどんな点に注力したのでしょうか?

 世界観に合わせて、重そうなアクションに見せることもできるんですけどね。作っている僕たち自身、もっさりしたアクションが嫌いなんですよ。

 今回のアクションでやりたかったのは、超人というか、すごい魔法使いによるバトルです。めちゃくちゃ重い岩なんかを軽々と操って、ド派手に戦う爽快感の部分は意識しました。

 もう1つ意識したのは、ゲームを見ただけで“PS Vitaってすげー!”と思ってもらえるような、ハードの性能を生かした見せ方です。僕らは今回、SCEさんのファーストパーティとして『ソウル・サクリファイス』を作っているので、PS Vitaのすごさを見せて、ゲーム好きの皆さんにハードとゲームを買ってもらうことも大事な目的ですからね。

――今回の東京ゲームショウ用の体験版は、どのようなテーマや目的を持って作ったのでしょうか。また、会場で遊ぶ際にどんな部分に注目してほしいですか?

 どんな体験版にするのかは、めちゃくちゃ悩みました。そもそも『ソウル・サクリファイス』ってとても長く遊んでもらえるように作っているゲームなので、皆さんに見てもらいたい要素もすごく多いんですよ。せっかくの体験版だから、いろいろと詰め込みたいけど、そうするとワンプレイに1~2時間くらい必要になっちゃいます(笑)。

 現実線として20分くらいにしたとして、それでもまだ長い。会場が長蛇の列になりすぎちゃいますし、試遊台の台数もたくさん用意しないといけないし……と考えていくと、やっぱりワンプレイは10分くらいにしないといけないと思いました。そうなると、あまりいろいろは詰め込めません。

 『ソウル・サクリファイス』を遊んだ人が家に帰った後、「どうだった?」と聞かれた時に、「いろいろあって楽しかった」と漠然と答えられるよりも、「あの部分がすごかった!」と、具体的な何かを感じて、印象に残してほしいです。

 そこで今回は、遊んだ人に“何か1つ”を感じてもらい、持って帰ってもらうように考えました。

――それは、爽快なアクション部分を楽しんでもらうことですか?

 それもありますけど、もっと印象に残った部分がありませんでしたか?

――あ、“救済”か“生贄”かの選択ですね!

 そこですよ。命に関することを選ぶことに対する迷い。それを皆さんに持って帰ってほしかったんです。

 実はですね、今回の東京ゲームショウでの体験版での4人プレイは、少なくとも誰か1人は死ぬくらいのバランスで作ってあるんです。自分が死ぬか、一緒にプレイしている誰かが死ぬか……仮に仲間が死んだとしましょう。さて、そこであなたは、自分の体力を犠牲にして仲間を救済しますか? それとも、仲間を生贄にして強力な魔法を使いますか?

――うーん、悩んじゃいます。

 いやいや、悩まないでしょう。今回の東京ゲームショウでのプレイは、ほとんどの人が“生贄”を選ぶと思いますよ。“救済”と“生贄”と、どっちを選ぶと得なのかとか知らなくても、直感的に“生贄”を選ぶほうが多いはずです。

 だって、“生贄”を選んだらどうなるのか見たいじゃないですか(笑)

――たしかに(笑)。編集部で体験版を遊んだ人も、まずは“生贄”を選ぶのがほとんどでした。

 でしょ(笑)。今回は短いワンプレイだから、“生贄”を選んでもそんなに後味は悪くないんですけど、それでもやっぱり心に引っ掛かると思うんですよ。ゲームの中とはいえ、自分の選択で命を奪ってしまったわけですから。その引っ掛かりこそ、“何か1つ”持って帰ってもらいたかった部分です。

 さらに大きなものを持って帰れるのは、生贄にされた人でしょうね。すごく気持ちに引っ掛かりを感じてもらい、印象に残ると思います。

――“救済”と“生贄”の選択は、すごく独特のプレイ感覚につながっていると思います。

 製品版では、また違った傾向になると思いますけど、どちらかを貫き通せる人はごく一部でしょうね。ただ、そうやって自分のポリシー的なものを貫くことによって、遊びやすい部分も出てくれば、遊びにくい部分も出てくると思います。

『ソウル・サクリファイス』

――ちなみに死んだキャラクターもバトルに少し介入できる“人魂”のようなシステムがユニークだったんですけど、あれはどのようなアイデアがきっかけで生まれたのですか?

 実はこれは開発スタッフが考案した要素で、最初から意図していたわけではないんですけど、すごくおもしろいシステムになったと思います。やられたプレイヤーでも、敵や味方をタッチして間接的にバトルに参加できるので、死んだと言ってふて腐れずにゲームに参加するモチベーションになりますし。

――冬には体験版を配信するとのことですが、それは今回の東京ゲームショウ用をベースにしたものになるんですか?

 いえ、全然違うものになる予定です。ボリュームもものすごいことになると思います。何時間も遊べるものにするつもりです。「体験版をやりたいからPS Vitaを買う!」ぐらいの気持ちにさせたいと思っています。

――最後に『ソウル・サクリファイス』に期待するユーザーへメッセージをお願いします。

 ぜひ東京ゲームショウ2012で実際にプレイしてほしいと思いますが、会場に来られる人はどうしても限定されてしまいます。できるだけ早く体験版を配信できるようにがんばりますので、ぜひご期待ください。

 見た目よりも、触ったほうがずっと気持ちいいゲームになっています。特に“救済”と“生贄”の選択は、プレイ動画を見ただけの時と、実際に自分の手で選択した時とでは感じ方が違います。選ぶこともインタラクティブなことで、ゲームの楽しさにつながりますので、体験版が配信されたらプレイしてもらえるとうれしいですね。

『ソウル・サクリファイス』

■東京ゲームショウ2012 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2012年9月20日~21日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2012年9月22日~23日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

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