2012年9月29日(土)
▲さまざまな格闘ゲームを手掛ける新妻プロデューサー。 |
――10年の時を経て『HD Ver.』がリリースされましたが、なぜ今移植されることになったのですか?
『ジョジョの奇妙な冒険』が盛り上がっているということで、我々も何かやれればというのは元々ありました。その上で、営業からのアプローチもあって、開発がスタートしました。他にも、僕の前作の格闘ゲームが『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』だったので、ウェイトが海外を向いていた。日本のユーザーに向けても何かやりたいと思っていたというのも、開発の動機の1つです。
――これまでにユーザーから、配信を希望する声はありましたか?
ユーザーからの要望はありました。しかし、弊社の格闘ゲームのラインの優先順位としてまず『ストリートファイター』と『VS.』シリーズがあったので、着手できなかったのです。
――今回、当時のバランスを採用した理由はなぜでしょうか?
これについては、我々も迷いました。手を入れてしまうと別のゲームになってしまうというのが大きな理由です。チェックに時間がかかってしまうので、最低限のところに手を加えて配信することを決めました。
――その分、ネットワークに力を入れたのでしょうか?
そうです。10年以上前のゲームなので、当時の手触り感は残しつつ、ネットワークでいろいろな人と対戦できるというコンセプトのもとで、開発が進みました。
――開発にあたって注力したポイントは?
僕はHD化のプロデューサーで、イチから作っているわけではないのですが、『ジョジョの奇妙な冒険』は独特の世界観を持っていると思います。HD化にあたり、元のゲームのよさや世界観を壊さないように、気を付けました。
――世界観を壊さないために、具体的にはどのようなことをしましたか?
集英社さんには、かなり便宜を図っていただきました。最終的には、荒木飛呂彦先生にチェックを回していただき、HD化するにあたっての表現やロゴの確認をお願いしました。サイドバーやゲームプレイ時に選択したキャラが表示される部分などは、OKをもらってから収録しています。
――最近の格闘ゲームと昔のゲームでは、ゲームスピードやシステムが異なると思うのですが、イチから開発するのと移植するのでは、どのような違いがありましたか?
当時のゲームは、その時代の流れやユーザーを意識して、思考錯誤した上で開発している。10年以上経って、格闘ゲームが進化した部分もあり、やはり手触り感は違うと思いますね。
ゲームの規模にもよると思うのですが、1から作るとシステムの構築や作業量も多いので大変です。一方でリメイクは、手触り感を残すのか、変えるのかで気を使うので、どちらが難しいとは一概には言えませんね。開発期間はリメイクのほうが短くて、作業する人も少なくて済みますが。
――配信されてからの反響はどうですか?
ありがたいことに、非常にいいですね。こちらとしては、かなり高い目標を設定していたのですが、それに近いくらいの数が落とされているようです。需要があったことを再認識しました。
――海外でも配信しているとのことですが、そちらの反響は?
海外は『タツノコ vs. CAPCOM』の時に近いです。日本はキャラクターの認知度が先で、格闘ゲームのゲーム性なんですが、海外では本作の“スタンド”というシステムに興味を持って入ってくる人が多いです。格闘ゲームとしてもよくできていて、動きもなめらかなので、反響はすごくありますね。
――『ストリートファイターIII 3rd STRIKE Online Edition -Fight for the Future-』に続いて『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』。今後のHD化にも期待が高まるのですが、要望が多いタイトルはありますか?
具体的なタイトルはあまりないのですが、「HD化は今後続けるのですか?」という質問は、よく来ますね。今後も好評であればやりたいと思っています。
――『パワーストーン』なども遊んでみたいです。オンライン対戦がおもしろそうですね。
僕は個人的に好きで、結構やっていました。お祭りっぽい感じでもあるし、箱庭系アクションの1つの進化系でもある作品です。色々タイトルがあると思いますが、ユーザーさんからの要望が多ければ、他のタイトルもやっていければいいなと思っています。
――まずはユーザーからの声に耳を傾けたいと。
そうですね。カプコンとして新しい展開を考えつつ、ユーザーが望むような展開をやっていきたいと思っています。その中で僕も手伝いできればと考えているので。
――最後に、まだ購入していない人へメッセージを。
『ジョジョ』の世界観を使ったゲームであることは知っていても、対戦格闘ゲームということで敬遠されている人もいるかもしれません。しかし、どちらかというとキャラクターゲームという側面があり、非常にたくさんの愛が詰まっています。愛はキャラクターの動きや技に反映されていて、原作を知っている人がゲームをやったら、笑えるネタが盛りだくさんです。
なので、「『ジョジョ』が大好き」という人は心の底から楽しめるタイトルなので、対戦格闘ゲームということで毛嫌いせずにぜひプレイしてもらえればありがたいです。
今回電撃オンラインさんに、キャラクター同士の絡みや技などを見られる動画を作っていただきました。本作は必殺技を出すコマンドも難しくないので、動画を見て楽しさを理解して、プレイしてみてください。
すべての対戦が終わり、3人は肩を組む……3人? あれ、ごえモンは、裏切ったんじゃないの?
ごえモン「企画を成立させるための芝居ですよ。敵を騙すにはまずは味方からと、アブドゥルも言ってましたよ」
megane「だったら、俺にやられてくれれば3回戦をやらずに済んだのに……」
カネキング「うちの勝負はいつもガチ企画なので!」
つらい仕事もたくさんある。でも、みんながいるから仕事は楽しいはずだ。さあ仕事に戻ろうか!
ごえモン「僕は家に帰って練習をしますよ。新たなスタンド使いが登場した時のために」
megane「俺も帰って後輩にやられないように練習を」
カネキング「俺もコンボを失敗しないようにしないと」
戦いを終えた戦士は家路についた、すべての仕事を放り出して。最後に残ったのは、彼らとビッグマウスIKEが戦ったエキシビションマッチの動画と、原作再現や細かい動きを撮影しているスペシャル映像 であった。キャラクターを動かしているだけでも楽しいゲームなので、対戦格闘ゲームは難しそうだからと敬遠している人も、動画を見て興味を持ってもらえたら幸いだ。スペシャル映像のその1では原作前半部分の対戦カードの再現を、その2ではクライマックス部分の戦いを、その3では挑発や子ども状態になった状態、乱入時のカットインなどを楽しめる。
(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
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