2012年10月3日(水)
――本作では中国が舞台として描かれてますが、開発中で印象的だったことはありますか?
佐々木:遊んでいただくと、独特の狭さがあるのがわかるかと。アクションゲームとしては、広い空間があったほうがいい場面もあるのですが、あえて狭いところを通させています。クリス編では、軍隊で進んでいくというコンセプトがあるのですが、軍隊が横並びや固まって進めてしまうと怖くないじゃないですか?
――援護射撃も多くて、確かに怖くなさそうですね。
佐々木:軍隊だけど1人ずつしか通れない場所を進んでいくと、最後尾のメンバーがいなくなる。次の角を曲がると、また1人いなくなる。そういうことをできる土地として、入り組んでごちゃごちゃしている中国は、かなりマッチしていたと思います。
――街の大きさもかなり大きそうですね?
佐々木:行けるところは限定されていますが、枠組みだとかなり広く作っています。
――シナリオを書く上で、中国はどのような存在でしたか?
山下:シナリオを描いている段階では、中国のビジュアルはほとんど試作段階だったので、いろいろイメージをしながら、取り組んでいました。物語が出来上がったころに、ビジュアルが仕上がり、キャラクターが動いていきました。今までにないような舞台で、おなじみのキャラが動いているのを見て、気持ちが高まりましたね。
――中国には取材に行かれたのですか?
山下:取材……と言っていいんですかね?
田岡:開発初期に、スタッフ同士で有志の旅行に行きました。
佐々木:最初はデザイナーと僕を中心とした取材だったんですが、帰ってきてから他のメンバーに「中国はよかったよ~!」と言っていたら、いつのまにか他のメンバーも中国に行ってました(笑)。何人くらいで行ったんだっけ?
田岡:20人くらいですかね?
佐々木:現地を楽しんできてもらったと思いますし、あの空気感は現地で見てもらいたい。結構な人数が現場を離れたのですが、よかったですね。先ほど話した雑多感は、現地の取材から受けた衝撃が入っていると思います。
田岡:あと「アフリカに行こう!」となると「遠いなあ」ってなるんですが、「中国なら行ける!」というのも、大きかったと思います(笑)。
モワンヌ:中国は、ステージの中でも特に違った色になっています。背景もそうですし、キャラクターも特徴的。東欧に出てくるものと中国に出てくるジュアヴォでは、仮面をつけていたり武器が違ったり、見た目が異なります。さらに変異の仕方も違って、土地勘もそこに出てくるんです。違う空気感の中で、キャラクターの装備やアクションが変わってくるので、動かしていて飽きないですね。
――今回のステージは北米、欧米、中国とかなり多いですね。
田岡:従来であれば洋館や街が舞台でした。『5』ですら広げすぎたかなと思ったんですが、それが目じゃないくらいに本作は世界中飛び回るので、世界旅行できるような気持ちを味わえます。他のタイトルであれば、作ってくれないくらいほどのステージバリエーションを提示したんですが、アーティストの皆が作ってくれたので、だいぶ贅沢な作りになっています。
1キャラしか行かないエリアもあるのですが、アジアは全員が経由する形で設計しています。中国から他の土地に行って戻ってくると、懐かしい感じがするんですよ。世界上で、込みあった時系列上をキャラクターが動き回る複雑なシナリオの動きになっているのですが、うまくいってよかったですね。
――各キャラはアイコンが少しずつ違うのですが、なぜそうしているのですか?
佐々木:ユーザビリティを考えて象徴的なアイコンは共通化していますが、デザインとしてはすべて変えています。あれはシナリオごとにちゃんと別の立場の人間なんだという没入感を持ってほしいからそうしているんです。レオンは、大統領直轄組織・DSOで支給されているガジェットを使っていて、そこには専用のOSがある。ジェイクは傭兵が持つような古いタイプのガジェットなので、そういうデザインで作っています。
――効果音がちょっと安っぽいのもそれが理由だったんですね。
田岡:ただ、『ドラゴンズドグマ』での体験版と通常配信体験版では、ジェイクのガジェットが違うんですよ。
佐々木:これは何を意味しているのか、想像してもらえればと思います。なので、各シナリオでガジェットが決まっているというわけではなく、物語の流れの中でこの人はこのタイプを持っているべきということを考えて用意しています。
▲内容は同じでも異なる表示をされるアイコン。これにも細かい設定があるという。 |
――シナリオからシステムが生まれ、アイコンも変える。本当にさまざまな要素が物語から作られているんですね。
佐々木:そうですね。ゲーム4本分のUI(ユーザーインターフェイス)をゲーム1本で作らないといけないので、UIスタッフにはものすごいチャレンジでした。
――他には、本作ではコンフィグの充実ぶりに驚きました。
田岡:全世界に売っていこうというのもあり、最初の段階から細かくカスタマイズできるようにすることが決まっていました。『5』はだいぶ少なかったのですが、本作では他のタイトルに入っているものは網羅していると思います。使うか使わないは、ユーザーさんの自由。チェックが大変なのはわかっていたのですが……チェックは他の人がやってくれたので。
(一同笑)
田岡:用意するのは大変でしたが、うちのスタッフの本作へのモチベーションがすごく高かった。「世界で売るためには必要です!」ということを説明したら、皆が率先してやってくれました。それでゲームがよくなるならやろうというスタッフばかりでしたね。
――ガイドが入っているのもユーザビリティからでしょうか?
田岡:マップを見ながらプレイされるのは、あまりいいものではないと感じていました。画面の隅にあるマップを見ながらプレイするより、モニター全体を見てほしいので。あとは、ARも流行っていたので、そこを加味して試行錯誤しながら用意しましたね。
佐々木:これに関しても、使うか使わないかは選択できます。ほとんどUIがない状態で、ストイックにプレイすることもできるようにしています。
田岡:先ほどのガジェットもそうですが、『バイオハザード』という世界観があって、あまりにゲームに寄りすぎないようなリアルな位置づけ、バランス、表現を意識して作りました。
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