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2012年10月4日(木)

こだわったのは中国の釣り肉!? 『バイオハザード6』リレーインタビューの第4弾でグラフィックチームの開発秘話が明らかに

文:電撃オンライン

 カプコンから、10月4日に発売されるPS3/Xbox 360用ソフト『バイオハザード6』。ソフトを開発したグラフィックデザインチームへのインタビューを掲載する。

『バイオハザード6』

 本作は、武器やアイテムを駆使して極限状態からの脱出を試みるサバイバルホラー『バイオハザード』シリーズの最新作。これまでのシリーズに登場したレオンとクリス、エイダに加えて、新たな主人公ジェイクの物語が描かれる。

 インタビューでは、グラフィック担当の福井誠さん、背景グラフィック担当の津田壽彦さん、アートディレクター担当の高野友憲さん、エフェクト担当の黒田和正さん、イベント制作の宮崎政人さんにさまざまな質問をぶつけている。キャラクターやクリーチャーの生い立ちから、膨大な量を制作する過程など、さまざまなことを聞いているので、見逃さないように!

『バイオハザード6』
▲左から宮崎さん、高野さん、津田さん、福井さん、黒田さん。1時間に及ぶインタビューは、笑いであふれていた。

⇒プロデューサーとディレクターへのインタビューはコチラ!
⇒サウンドチームへのインタビューはコチラ!
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■ベテランの演じるゾンビは一味違う!

――まずは本作における皆さんの役割について、簡単に教えていただけますか?

『バイオハザード6』

福井:本作のキャラクターモデルのリードをしていました。以前だと『5』にもかかわっています。

津田:背景のリーダーをしていました。品質のチェックから、ステージの決まりごとを考えてまとめるという作業でしたね。

高野:アートディレクター(AD)として参加しました、高野です。ライトと一部の敵デザインをはじめ、もろもろをやっていました。シリーズだと『5』の時に敵のモデラーとして参加していましたね。最初は『5』同様にモデラーとして呼ばれて、「クリーチャーを作るのかな?」と思っていたら、人がいないということでデザインに専念するようになりました。その後いろいろあって、ライトをする人がいないということで、代打でライティングを始め、どうやらADもいないということで、ADもするようになりました。

(一同爆笑)

高野:コンセプトアートやビジュアル面にかかわることは、大抵やらせていただいています。最初から役割がしっかり決まっていたのではなく、やりながら変化していきました。

黒田:ビジュアルエフェクトのディレクションをさせていただきました。過去のシリーズだと『4』や『5』も開発していました。

宮崎:インゲームのモーション演出を担当させてもらいました。他にもスタッフがいるのですが、今回はモーションまわりを代表してお話できればと思います。

――同じチームとして開発していたということで、仕事が終わったら飲みにいくこともあったのでしょうか?

黒田:初めて『バイオ』に携わる人も多かったので、コミュニケーションの一環として、チーム全体での飲み会はたまにしていました。

高野:定期的に動くものを制作して、自分たちで作っている現状のゲームを全員で遊ぶという機会があるのです。それは、打ち上げのような雰囲気になっていましたね。

『バイオハザード6』

――『バイオハザード』シリーズは作ったものをやり直すというイメージがある作品ですが、今回もあったのですか?

黒田:制作の下準備では多少ありましたが、開発中にはあまりなかったですね。

高野:もちろん一部はありましたが、前作やこれまでのナンバリングほどはないです。比較的順調な開発でした。

――アクションの手触りはこれまでとは大きく異なっています。この操作感が気持ちよくて驚きました。

宮崎:回避をはじめとするアクションは、初期の段階で佐々木の方からオーダーがありました。モーションについての要求は最初はざっくりしたものなので、それを各担当が動きとして作成して提案を行い、ジャッジしてもらうという流れです。イメージやキーワードをもとに作っていくのは、皆同じじゃないですかね?

高野:いや、ライティングは結構細かく指示されましたね(笑)。

福井:クリーチャーも結構細かかったです(笑)。

宮崎:……人によるみたいですね(苦笑)。

『バイオハザード6』

――本作では『4』や『5』に出てきていないゾンビが登場していますが、作るにあたってこだわったところを教えてください。

福井:モデルの面だと、今回はゾンビの体を撃つとボロボロと崩れていく表現があるので、そこにはかなりこだわりました。大量のゾンビが体が崩れながらもジリジリにじり寄ってくる様子は、ゾンビらしさを出せているんじゃないかと思います。

――ゾンビの数が多いと感じたのですが、ポリゴン数やメモリの面で苦労したことはありますか?

福井:ポリゴン数はそこまでタイトではなかったのですが、バリエーションが必要なので、少しでも多く見えるよう服や体のモデル・テクスチャの持ち方は相当工夫しています。かなりの種類を作ったのですが、メモリの関係で最終的に削らざるをえないステージもあって、結果的にあまり登場しなくなったゾンビもいます。

――ゾンビやジュアヴォを倒した時の消え方が印象的だったのですが、こちらは黒田さんの担当でしょうか?

黒田:モデルセクションとエフェクトの合わせ技です。モデルの方で壊れ方を作り、こちらのエフェクトをマッチさせて作っています。レスポンスが早いので、消え方にはかなり微調整をしています。

――他に印象的だったのは、ゾンビと戦っている中に列車が走ってくるシーンでした。

高野:それに関しては、セットする人が大変だったかもしれませんね。素材の管理はこちらですが、タイミングとしてか、来てほしい時にちょうど列車が来るのは組み立てている人の作業なので。

津田:いろいろなセクションが連動している要素だと思います。大量のゾンビが出て、やっつけきれないとユーザーが感知したタイミングで、列車が来てゾンビをつぶしてくれる。これはゾンビだけでなく、背景や効果などが混じった上で、1つの感覚を生み出しているもの。

 それらの演出もあわせて、今までとは違ったゾンビを見せられるということで、ステージごとにいろいろな感覚を与えられるような工夫をしました。

――開発者はゾンビに対して、こだわりや愛情を持っていますか?

『バイオハザード6』

福井:「今回はリアルに作ったるぜ!」と思って、資料を見たり、切磋琢磨したりしていると、どんどんゾンビがエスカレート……グロくなっていくんですよ。逆にいきすぎてやめてくれというのはありました。

高野:『バイオハザード』は線引きが難しくて、やりすぎると痛そうだったり、かわいそうに見えたりする。自分ではそういうのがわからないので、席の後ろを通り過ぎた人が「それはやりすぎだよ」って注意する場合もあります(笑)。

宮崎:モーションキャプチャーを撮る時、うちの会社は結構、モーションマン自らがアクターを演じることがあるのですが、ゾンビ役は、最終的にゾンビを担当しているモーションマンが一番うまくなっていました。ゲームモーション以外の演出モーションを撮る時も、その人を呼んで「やってください」とお願いしました。

――そんなに違うんですね。

宮崎:大抵は、どこか演技しているようになるのですが、彼は自然に脱力してゾンビになっている。

(一同笑)

宮崎:2年くらいやっていたので、モーションを作るだけでなく演技の腕も上がっていたんです。佐々木とも話したのですが、海外の人にゾンビをやってもらった時、我々の思っている動きとは違う動きになってしまい、撮り直すこともありました。

 それから余談ですが、プレビズ映像に平林(平林良章プロデューサー)がゾンビで登場しているのを始め、ゾンビへ愛情を持っているスタッフは多いですね。

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