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2012年10月22日(月)

【電撃PlayStation】ダウンロードタイトルの星『俺に働けって言われても 乙』のロングインタビュー!!

文:電撃PlayStation

――前作のDL数が好調だったこともあって、今回発表された『乙』があると思うのですが、制作決定の時期や経緯を教えてください。
吉田:制作を決めた時期は僕個人の意見と会社の意見でずれるのですが、個人的には「前作の開発中に作った膨大なリソース(モンスターやアイテム、AIなどのデータ)を1作だけで使い捨てたくない」と思ったんです。例えばモンスターやアイテムなどは全部同じで、今度は冒険者側として遊ぶ3DダンジョンRPGを作るなどですね。
 そして実際に開発が終わったとき、会社から最初に言われたのは「ちょっと時間かけすぎ」だと。プランニングで2、3カ月、制作期間で10カ月くらいかかったので。売り上げが出る前の段階ということもあり「これを今後も続けるのはキツイ。せめて半年くらいに抑えて」と言われていました。そこで最初は「じゃあ、いわゆる『G』や『バースト』みたいなものを作りますか」という話をしていたんですが、そうこうしているうちに売り上げが好調なことがわかりまして。
 でもまだ次の企画が固まっていなかったので、パッチを作ることで1カ月の時間を稼いだんです。スタッフが何もできない期間を作るのは、会社的によくないので(笑)。それで改めて次の企画を考えているとき『G』や『2』はなんか違うなと。自分が本当にやりたいことは何かと考え、「『俺働』ってまだ、やり残していることがある」と思ったんです。もちろん発売したときは「これが今やれる精一杯です」と思ってましたが、実際に発売されてたくさんのユーザーさんにダウンロードされたら「本当にあれが限界なのか」と。
 この気持ちで『2』を作ってしまうのは、『俺働』にかかわったスタッフ、そしてキャラクターや世界観に申しわけない。あのキャラクターや世界はもっとおもしろくなると思ったんですね。またネット上に書き込まれたユーザーさんたちの「●●を改善したらもっとおもしろくなる」「ユニーク冒険者のイベントがもっと欲しかった」などの意見を読んで、『2』を作ったらこれらの意見を反映できないとも思いました。「だったら全部作り直しませんか?」と。『俺働』と同じストーリー、同じキャラクター、同じ世界観。だけど“これが本当の『俺働』だ”というものもう一度作りたい、とスタッフに話しました。スタッフも同じ気持ちでした。そしてフルリメイクの『乙』を作ることになったんです。
――ようするに、昔のハードで作ったゲームを、最新ハードで作るときみたいに根幹以外すべて作り直しているということだと思うのですが、それを同じハードでこの短期間にやってしまうというのがとても珍しいですよね。
吉田:まさにそのとおりです。じつはその『短期間でのフルリメイク』がユーザーに受け入れられるかという点は、とても心配しているのですが。隠さずに言いますが、予想以上のDL数があったからこそフルリメイクの『乙』を作ろうと思ったのです。「楽しんでもらった『俺働』をもっとおもしろくします!」という気持ちで。
 だからタイトルは本当であれば前作と同じ『俺に働けって言われても』がよかったのですが、SCEさんが困りそうなのでいろいろな意味を込めて『乙』をつけました。パッと見『2』に見えるとか、甲乙丙で考えれば2番目であるとか、ユーザーがんばれという意味で乙(ネットスラングで“おつかれ”のこと)であるとか。

――それでは現時点で話せる『乙』のことを聞かせて下さい。まずは操作まわりでしょうか。
吉田:ユーザーインターフェースの改善は最初に手をつけました。そこを変更するということは、当然アイコンなどのグラフィックも変わるということです。便利さや、わかりやすさを重視してすべてのグラフィックを描き直しています。『編成がしにくい』『派遣先の選択が面倒』などの部分は僕らも反省点でしたし、ユーザーさんからの不満も大きかった部分です。ですから今回はワールドマップで派遣先と行動を決めたあとに派遣するパーティを選ぶ仕様に変更し、5パーティを派遣する時間は前作の大体3分の1まで短縮できました。
――キャラ関係のグラフィックはどうなりますか?
吉田:ユニークキャラに関してはすべて、なぐも。先生描き下ろしの新デザインになっています。また前作で下級職がなかったキャラには、下級職でのデザインを追加しました。仲よくなればクラスチェンジしてくれます。
――いまだにロードンに上級職があるのかどうかが話題になっていますね。
吉田:ないです(笑)。OPムービーでネタバレしてるとおりです。『乙』でロードンはクラスチェンジできるんですかねー(笑)。
――汎用冒険者はいかがでしょう。
吉田:そちらもすべて新デザインに描き直しました。さらに汎用冒険者に関しては前作のデザインもすべて残しますので、お好みのキャラクターで冒険してもらえればと。

俺に働けって言われても 乙 俺に働けって言われても 乙
▲ユーザー人気も高いロードン(左)など、ユニークキャラと汎用冒険者のデザインはすべて新規描き起こし!! 汎用冒険者は前作のデザインも使用可能なので、好きな見た目のキャラを選べる。

――ダンジョンと戦闘はどうなりますか?
吉田:前作ではモンスターの特徴や属性などを知る方法がなかったため、ユーザーはモンスターへの対策を立てることが難しかったのです。だからどのダンジョンへも汎用的に強いパーティを派遣することが多かったのではないかと。こちらもそれがわかっていたので、尖った特徴を持つ個性的なダンジョンを作ることができませんでした。
 しかし今回はモンスター図鑑を用意したので、モンスターの特徴がわかるようになりました。ですので「魔法しか効かない敵だけ」「派遣費用が高い代わりにレアドロップ確率が高い」など、個性的なダンジョンをたくさん用意する予定です。「強い敵はより強く、難しいダンジョンはより難しく」というテーマで、前作よりも攻略するのが楽しくてメリハリがあり、達成感のある冒険ができるように調整しています。発売から3日で変異種に毒が効くのがバレたり、サキュバスのマナが高値で売れることがバレたりしたことを悔しがっていたスタッフもいたので(笑)。また前作はダメージのレベル差補正が大きかったため、レベルさえ高ければ初期装備でもなんとかなったのですが、今回はそのバランスも変更して装備の重要度を上げています。モンスターのパラメータ調整やスキルの変更・削除などももちろん行ってます。

→新要素や価格はどうなっちゃうのか気になる!!(3ページ目へ)

(C)2012 E-smile., Co. Ltd. All rights reserved.
メインキャラクターデザイナー:なぐも。
キャラクターデザイナー:岡美里 ゲームデザイナー:山田真之

データ

▼『電撃PlayStation Vol.528』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年10月11日
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